NEXT97
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April,2014 www.fitnessjob.jp21フィットネス業界にさまざまな革新が起きつつあることに呼応するように、指導者としての高い実績をベースに、大きなビジョンを掲げ、それに向けて踏み出そうとする姿勢が強く伝わってきました。そんな2014年の選考では、指導者としての実績を基盤として、独自性のあるビジョンと、それに向けての戦略的思考や行動、実績などが評価された方が受賞者に選ばれました。トレーナー部門松井薫さん トレーナー・オブ・ザ・イヤーの選考も5年目になりますが、今年は、トレーナーとしての実績(月のセッション数や、顧客数など)は、応募者ほぼ全員が高いレベルにありました。トレーナーとしての「実績」や「資格」は、基本的に備えているべき資質として重視していますが、そこだけではアピール力に欠ける段階に入ったのが今年の印象です。 今年の選考では、そうした基本的資質をベースに、自身の発想でビジョンを描き、そこに向かう具体的な行動と、その実績がそのビジョン実現に繋がるものになっているかが焦点となりました。最優秀賞の山村勇介さんは、その総評トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー2014NEXT AWARD点が際立っていました。 今回、トレーナーとしての実績をもとに、壮大なビジョンを掲げる方が多くいたことは頼もしい限りです。ただ、一方で、現状の活動がビジョン実現への戦略としては弱いと感じられる方も少なくありませんでした。大きいビジョンとともに、広い視野と論理的思考のもとに適切な戦略を選ぶことも、これから期待される部分です。 ただ一方で、社会的使命や実績を出し続けることが先に立ち過ぎると、自身へのプレッシャーが先行してトレーニングやトレーニング指導の楽しさを忘れそうになってしまうこともあるかもしれません。その意味で、奨励賞の山口敬志さんのように、枠にとらわれず、自身でトレーニングの価値やトレーニングの楽しさを感じながら伝えていくことも大切にしたいものです。インストラクター部門尾陰由美子さん インストラクター・オブ・ザ・イヤーの選考においては、年々クラブ外で活躍される方が増えてきていて、クラブでの仕事と上手くバランスさせながら、自身の活躍の場を開拓してきていることは、とてもいい動きだと思います。また、海外の情報を積極的に取り入れる人が増えていることも、素晴らしいことだと思います。 インストラクターはグループ指導で影響力を高めやすい分、特に活躍されている方々は、その仕事で何をお客様に伝えたいのか、何をお客様と共有したいのか、などを再度見直して活動に繋げていくと、より本質的で将来に確実に繋がっていく仕事ができると思います。 今回最優秀賞の高橋亜紀さんは、自身の体験の中から得た心の底からの想いが、多くの縁を引き寄せています。インストラクターのみなさまも、さらに大きく強いビジョンを持ち、それに向けて突き進んでいただきたいです。プログラムディレクター部門月刊NEXT編集部 今年は、気鋭の研究者、石川善樹さんが選ばれました。石川さんは、行動科学の研究者で、世界的な視野のもとに真の健康づくりを探求し、行動変容などにも非常に多くの知見をもっています。その一分野であるダイエットについては、「ダイエットは学問の総合格闘技」と表現するように、行動科学の他に、運動科学、心理学、脳科学、食品化学、社会学、ネットワーク科学をはじめ、多くの分野の論文を統合させて新たな理論を導いています。今回の「Di理論」や「つながり」の提言以外にも、フィットネス指導者にも多くの気づきを与えてくれる知見をメディアや書籍などを通じて発信しています。今後も、石川さんが研究現場と指導現場を行き来しながら導く新たな知見をもとに、革新的なプログラムや健康サービスが生み出されていくことが期待されます。トレーナー部門審査員松井薫さん Kaoru Matsui国士舘大学体育学部卒。日本医学柔整鍼灸専門学校卒。柔道整復師。パーソナルトレーナー。国士舘大学講師。陸上自衛隊体育講師。NESTA JAPAN設立参画理事。任天堂「Wii Fit」監修者。東京ボディビル選手権3位。講道館柔道二段。トレーナー業界初となる「徹子の部屋」(テレビ朝日系)出演や、著書に「10歳若返りストレッチ」など、他メディア出演・著書多数。インストラクター部門審査員尾陰由美子さん Yumiko Okage有限会社アクトスペース企画代表取締役。NPO法人いきいき・のびのび健康づくり協会会長。大塚製薬フィットネスプロスタッフトップインストラクター、関西大学非常勤講師。公益社団法人日本フィットネス協会理事、財団法人日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー、A級講師。著書、DVD等も多数。全部門審査員古屋武範さん Takenori Furuya1995年より『フィットネスビジネス』編集長。社団法人スポーツ産業団体連合会新規事業構築委員、厚生労働省産業労働モニター等委員等を歴任。IHRSAアンバサダー。テレビ・ラジオへの出演、新聞・雑誌への記事掲載、司会・講演・寄稿・執筆等多数。全部門審査員岩井智子 Tomoko Iwai2007年『NEXT』創刊、編集長。学生時代にインストラクターとなり、以来、フリーと社員両方の立場で指導現場を経験。その後業界誌の編集に携わるようになる。毎年IHRSAコンベンション、IDEAコンベンションなどに参加し世界的にも業界関係者のネットワークを持つ。審査員審査員総評
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