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February,2015 www.fitnessjob.jp29 「とにかく、立ち止まっていても何も始まらないと思い、フランス行きを決めました」 この判断が、吉と出た。なんと、インターナショナル部門で4位入賞という成績を掴み取った。同年日本のルーキーコンテスト優勝者が6位という結果だったことを考えると、駒澤君の実力を証明できた形にはなったが、逆に日本でのコンディショニング不足が悔やまれる。 「結果的には4位という成績を出せましたが、これは私一人の力ではないんです。フランスのルーキーコンテストでは、一次審査でまずはステップを60分、そしてエアロを60分行うのですが、ここでリードのキャッチに苦しみ思うように動けないまま時間だけが過ぎていきました」 焦りからどんどん動きも小さくなり、世界から集まった強者インストラクターの中で埋もれてしまいそうになったその時、「駒澤君、このままではまずいよ」という声を聞く事になる。審査員として参加者の中をラウンドしていた竹ヶ原佳苗さんからの叱咤だった。この言葉で目が覚めた駒澤君は集中力を極限まで高め、残りの時間全力で動き切った。 「あの時、佳苗先生に言葉をかけてもらえなかったら…」 と回想する駒澤君の表情には感謝の思いが溢れていた。そして、ここで掴んだ結果を自信に変え、ラストチャンスとなる4回目のルーキーコンテストに向けトレーニングを開始した。 「まだまだ身体が使えていないと感じていたので、パーソナルトレーナーをつけて身体のバランスを整え、肩甲帯の柔軟性を高めるようなトレーニングでコリオやインストラクションを伝授してもらいました」 結果はセミファイナル止まりだったが、何となく掴めた感があったという。そして2年目、初挑戦で掴めた感覚を形にするため一年間練習を重ね、十分な準備をして挑んだ。結果は、準優勝という本人もびっくりするほどの高評価を得、頂点まであと一歩のところまで迫った。ここまできたら3年目は当然優勝を目指す以外ない。 「絶対に優勝する、できるという強い気持ちで3年目のルーキーにチャレンジしたのですが…」 と、突然歯切れが悪くなり、 「完全にプレッシャーに負けました」 という駒澤君。絶対的な自信を持って挑んだはずだったが、必要以上に自分に期待という負荷をかけ過ぎ、自滅したという。 「決勝でのリードが6人中5番目だったのですが、他のインストラクターのリードが気になり、自分の順番の寸前までガンガン受講してしまったんです。その結果完全にピークを外した状態でステージに上がる事になりました」 そのような状態では当然思うようなリードはできず、結果は惨敗の6位。厳しい現実を突きつけられ、茫然自失の状態になったという。 「一年間、優勝だけを目指して練習し、トレーニングも積んできて、最後の最後にコンディションをピークに合わせられなかった自分が、本当に情けなく、悔しさでいっぱいでした」 数日間、立ち直れない程のショックを受けたという駒澤君だが、結果に飢えていたのであろう、一ヶ月後、自費でフランスのルーキーコンテストに出場する事を決める。ンス発祥のコンペティションだ。レッスン受講形式の一次審査では、難解なコンビネーションを一瞬でコンプリートし、最高のパフォーマンスを発揮しなければならない。一次をクリアーしたものだけが二次、決勝のリード審査に進めるというシステムになっているが、一次審査では、巧緻性、動作スキル、体力要素を主にチェックされる。そして、二次、決勝では、プログラミングスキル、コミュ二ケーションスキル、ティーチングスキル、オリジナリティ性、カリスマ性などを点数化し最終的な順位がつくという今までにない形のコンテストだ。駒澤君はこのコンテストに出場すること4回、そして年齢的にも最後のチャレンジであったため、今回の優勝は喜びもひとしおだったという。 「何も分からずに初トライしたのが27歳の時で、この時はステップの指導を殆どしていない状況での挑戦だったため、厚さん(島田厚さん)に一夜漬けや施術を継続的に行っていきました」 前回このページに登場頂いたときにも書いたが、彼の動きは無駄がなく本当にナチュラルだ。それでもなお、動きを追求するあたりは彼の動きに対するこだわりが見て取れる。そして、プログラミングに関しては、「シンプル」、「伝わりやすさ」、「サプライズ」の3つをポイントに練り上げた。 「昨年まではとにかくボリューム重視だったのですが、今年はバランスに重点を置き、難易度だけを追い求めるようなコリオにならないよう気をつけました」 動作、そしてプログラミング面の強化に妥協なく一年間取り組んだ結果、絶対的な自信を持ってルーキーコンテスト当日を迎えた。この絶対的な自信、実は本番直前に完成されたという。 「自分の中で一つだけはまらなかった『心』というピースを、いつもレッスンに参加頂いているお客様に気づかせてもらい、ぎりぎりでしたが現在私が座右の銘としている心・技・体ができあがりました」 さて、この「心」とはどういう事だろう。 「これはお客様への感謝の気持ちです。本当に心から感謝できる精神状態に持っていくことが出来ました」 結果、2次審査、決勝ともに2位に大差をつけ文句なしの圧勝。審査委員長の竹ヶ原さんに「一人だけ突き抜けていた」と言わしめるほどの、完璧なステージングだった。駒澤君は今年の優勝でルーキーコンテストを卒業する事になるが、これからこのステージを目指すインストラクターに向けての言葉を頂いた。 「もしも、このコンテストを目指すのであれば、世界を見るべきだと思いま有限会社スポーツゲイト代表取締役社長有限会社スポーツゲイトホームページURL:http://www.sportsgate.co.jp個人BLOG:http://ameblo.jp/sportsgate2001/取材後記今回の取材、約20年前に私がエアロビック競技で世界チャンピオンを本気で目指していた時とオーバーラップする部分が多々あり、話を聞いていて楽しくてしょうがなかった反面、羨ましくも思った。仕事の延長線上にここまで打ち込めるものがあるなんて、本当に幸せな事だ。私は道半ばで世界チャンピオンになる夢を諦めたが、駒澤君には絶対に世界を取ってもらいたい。そして、日本のフィットネス指導者レベルの高さを世界に見せつけてきて欲しい。INTERVIEWER 丸山 寛す。世界には本当に素晴らしインストラクターがたくさんいるので、一度は体験するべきだと思います。事実、私も世界を意識するようになって変われたと思っていますから」 世界を意識する。日本という小さな島国でインストラクターをやっていると、なかなか言えた台詞ではないが、上を目指すためには大きなビジョンが必要ということなのだろう。その駒澤君は5月にフランスで開催される世界大会に日本代表として出場する。彼はすでに世界に向け始動し、虎視眈々と世界チャンピオンの座を狙っているはずだ。フランスの地で彼が最高のパフォーマンスを披露し喝采を浴びる姿を願い、今回の章を終わりたいと思う。

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