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社会に求められるトレーナーとして 矢継ぎ早に移り変わる「〇〇メソッド」や「〇〇式トレーニング」という、一見あたかも新しい理論が発見されたかの様な方法論が生まれては消えるという流れも、ある意味今の時代を反映している様な気がします。 その様な中にあって、近年は逆行する様に「不変」であるもの、すなわち原理・原則に則り、人間、いや動物が本来持っている能力を引き出す様な方法が見直されている流れも感じます。それは、ヨガや禅といったものや、ジョギングや動作自体に抵抗を加えたもの(ファンクショナルトレーニング)が、一時のブームでは無く長く実践され続けている事からも見てとれます。 情報過多とも言える時代だからこそ、そのものの本質が問われる様になって来ているのではないでしょうか。 そもそもトレーニングの原理・原則自体は100年前と比較しても殆ど変っておらず、変化しているのはそれをどう効率良く、個体差に合インストラクター、トレーナー、治療家の顔を併せ持つ、自称『ハイブリッド・トレーナー』。秋田県内を中心に、ジュニアからアスリート、高齢者まで幅広くトレーニング指導にあたる。ワタナベ整骨院院長・柔道整復師・健康運動指導士・NSCA-CPT。ミス・ユニバース・ジャパン秋田大会ボディメイクトレーナー。NSCAジャパン東北AAD。NEXTトレーナー・オブ・ザ・イヤー2013。 渡部真吉Shinkichi Watanabe 毎年12月12日に清水寺で発表される、その年の世相を反映した漢字1文字が選ばれる「今年の漢字」。昨年は東京オリンピック招致やサッカーW杯といった、我々には馴染みの深い分野が大きく影響し『輪』という文字が選ばれました。ご自身の今年1年の活動を1文字で表すとしたら、皆さんはどんな文字を選ばれますか? それぞれに違う文字が思い浮かんでいる事かと思いますが、私が今年1年の活動から選ぶとしたら、『変』の1文字でしょうか。 『変』には、「事態が移り変わる、思いがけない」という意味があり、本誌のトレーナー・オブ・ザ・イヤーを受賞させて頂いた事から始まり、様々な新しい取り組みや法人の設立など、まさしく「変化」「変動」の一年でした。 情報や流行の周期が目まぐるしく変化する今の時代、我々トレーナー自身も社会・クライアントのニーズにマッチする様に変化し続けて行かなくては、生業としてこの仕事を続けて行く事は困難でしょう。『漢字一字から考える今年の動向と次年度の展望』今年からの新しい取り組みの一つ。冬季スケルトン競技オリンピック代表選手へのパーソナルトレーニング。わせて行くかと言う方法論的な側面です。今後デジタル化は更に進み、加速度的に状況は変化して行く事でしょう。既にデジタルデバイスを活用してのトレーニングプログラムの提供やデータ管理がなされて来ており、以前はトレーナーの仕事であった部分がスリム化して行く事は想像に難くありません。 しかしトレーナーとクライアントは人と人。全てがデジタルで対応出来るものではありません。その隙間を埋めて行く事が、これからのトレーナーに求められる要素ではないでしょうか。フィットネス・スポーツの業界に限らず、今日の社会情勢は実に不安定ではありますが、来る年は我々にとって飛躍の1年となる様に期待したいものですね!(株)フィットネスビズ代表取締役社長。プロサッカー選手を目指すも挫折、フィットネス業界ではトレーナーやマネージャーを経験し、開業集客などを多数担当。現在はクラブ運営と収益改善のコンサルティングを実施。得意分野はマーケティングとマネジメント。伊藤友紀Profi le 皆さま、こんにちは。今号でも事例を交えつつ、顧客創造につながるキーワードを取りあげます。早速ですが、今回のキーワードは「購入までのプロセス」です。 このキーワードを説明するにあたって取り上げるのは茨城県東海村にあるバイク屋さん「オートショップテラカド」です。こちらはハーレーダビッドソンの正規店で、ハーレーのバイクが主な商品ですが、何よりも面白いのはその取り組みにあります。お店としてのコンセプトは「乗るまでも楽しい、乗ってからも楽しい」でそれがお店のハードやソフトとして具現化されています。 最も分かりやすい例は全長600メートルの試乗コースです。ここには一本橋やスラロームなどバイクの教習所と同じ設備が揃っており、ここを無料(30分間)で貸し出ししています。また排気量50㏄から400㏄、700㏄の専用練習者も用意してあり、自分のバイクで走るだけではなく、新しいバイクに乗って走るきっかけも提供しています。そのため二輪免許を持たない人でも車の免許さえあれば、まずは50㏄の原付でコースを走って楽しみを味わうことができます。その楽しみを覚えて、そこから二輪の免許取得とハーレーを購入する人が同店では購入者の1割にも達しているそうです。二輪免許を持たない層にとって一見すると敷居が高そうなハーレーにおいて、購入者の1割が免許も持たないところから全く新規での顧客創造というのは、なかなかスゴイことでしょう。 また同店ではハーレー購入者に占める女性の比率も非常に高くなっているのが特徴です。ハーレーダビッドソン全体の女性ライダー比率は7%程度だそうですが、同店の女性比率は12~13%と2倍近くにもなっています。その背景にあるのは前述した「乗るまでも楽しい、乗ってからも楽しい」を突き詰めていることだと思います。同店では試乗コースのみならず、4,000坪という巨大な敷地にはキャンプやバーベキューができるエリアをはじめ、野外ステージなども設けられています。そして施設としてのハードだけではなく、毎月のように試乗会やツーリングイベントを実施して、ユーザーとの関係性を太いものにしています。 HPにはツーリング活動の報告なども掲載されていますが、その様子からもユーザーとの距離感の近さがうかがえるはずです。こういった面がコンセプトで言うところの「乗ってからも楽しい」部分に相当するものでしょう。 このような同店の取り組みというのは、フィットネスクラブでも参考にすべき部分があると思います。特に入会するまでのプロセスでは「もっと身近なものにできないのか」、「もっと楽しいものにできないのか」、といったことです。購入までのプロセスではフィットネスクラブもまだまだ改善の余地があるので、先の例に倣い一考してみる契機にしてもらえればと思います。マーケティング思考を養う顧客創造のヒントvol.4January,2015 www.fitnessjob.jp37

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