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運動指導者の活躍モデル 高齢者の介護予防プログラムとして年々ニーズが高まっている分野にロコモ予防がある。「ロコモティブシンドローム」は2007年に日本整形外科学会が提唱しはじめた概念で、高齢者の運動器の機能低下を総称したもの。現在推計患者数は4,700万人にのぼると言われている。その対策プログラム「ロコモ美立体操」は、整形外科治療の現場で提供されていた運動処方をプログラム化したもので、これまでにデイサービスからサービス付高齢者住宅、有料老人ホームなどに導入されている。同プログラムの開発に携わったクリスタルスポーツの大矢満洋さんは、その経緯をこう話す。 「ロコモ美立体操の原型は、整形外科医でロコモ対策の権威である渡曾公治先生が、病院内で患者さんを対象に指導していた体操です。渡曾先生は、スポーツドクターであり、体育教員として実技指導をした経験もお持ちで、日本ロコモティブシンドローム研究会として『ロコモ体操』を考案され、実施されていました。ですが、病院での運動教室がすごい人気で病院内では収容しきれなくなり、近くにあった当クラブで教室を開くことになりました。以降、患者さん、当クラブメンバー、一般生活者の方々にクチコミで広がり、毎月の人気イベントとして継続開催し、そこから集団で指導できる『ロコモ美立体操』のプログラムへと進化させていきました」 「ロコモ美立体操」は、15~60分間で行う簡単な体操で、背骨の動きに焦点を当てながら下半身のストレッチや筋力トレーニングを行う。適切な姿勢を理解し、気づきによって自分で修正できるようになることを目指したエクササイズである。認定インストラクター養成コースでは、クリスタルスポーツが協力して開発した60分間の指導内容とロコモ予防についてのエッセンスが学べる。60分間のプログラムは、前半は立った姿勢で、背骨を動かすエクササイズと、気功法の一つ「八段錦」の動きを採り入れたスクワットなど、後半は座った状態や寝た状態でさらに背骨や股関節を動かすストレッチやエクササイズで構成されている。大矢さん自身もクリスタルスポーツで既に2年間レギュラーレッスンとして提供してきており、音楽を使わない地味なプログラムであるものの、常に根強い人気があると話す。 「ロコモティブシンドローム予防では、各種の運動器の機能改善が必要になりますが、渡曾先生がよく『人間は脊椎動物』というように、身体の不具合のもとをたどると背骨の動きが悪くなっていることに行きあたります。逆に言えば、介護予防という観点では、背骨のアライメントや動きを適切に維持することで、関節症や変形症をはじめ各種の機能低下も防ぐことができ、姿勢が整うことで、気持ちも明るく保てて、健康寿命を延ばせることにも繋がります。高齢者の指導現場では、痛みを感じている方には運動指導を遠慮してしまいお話を聞いた方大矢満洋さん株式会社クリスタルスポーツ 副チーム長ロコモ美立体操Profile名前 江藤誠さん(42歳)肩書き (株)クリスタルスポーツクラブ 副チーム長資格 水泳教師(日本体育協会) 水泳教育(スイミングクラブ協会) 社員としてクラブ内指導歴22年を経て、現在は、プールの指導業務などクラブでの指導をしながら、クラブ外の高齢者指導として「ロコモ美立体操」を指導中。サ高住を中心に7施設/月20本のクラスを実施。Message 高齢社会と騒がれる中で自分に出来る事は運動指導での貢献しかありません。この体操により、姿勢が改善され少しでもロコモ予防のサポートをしていきたいです。運動をただただすれば良い訳はなく、機能にあった動かし方というものがある事を指導し、膝痛・腰痛・肩こり・首こりの改善へ繋げたいです。運動指導を通して人生の大先輩方から教わる事が沢山あります。それが自分の財産になってます。日本の歴史や高度経済成長について本物の状況を聞く事も楽しみの1つとなってます。日本を支えてくれた方へ、いつまでも元気に健康でいて欲しいと願い、これからもロコモ美立体操を指導していきます。がちですが、整形外科医の運動処方の視点からつくられた運動ですので、原則的な対処手段も理解でき、指導者としても自信につながるライセンスです。今後、医療や介護に頼らない社会に近づけていくためにも、元気な高齢者の方々に早めに知っていただけるように広めていきたいエクササイズです」26November,2014 www.fitnessjob.jp

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