NEXT91
27/60

お話を訊いた方深代泰子さんJAFA業務執行理事、ヘルス&フィットネスコーディネータ東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。鹿屋体育大学助手、株式会社ザ・ビッグスポーツ・フィットネス研究所所長を経て、日本におけるACSM-HFI(現在はHFS)の認定事業に開始当初から関わり、その後JAFA認定資格講師などを担当。2010年JAFA理事、資格認定委員会委員、2011年常務理事、2012年より現職。資格検討部会委員として、GFIの普及に務めている。●観察は「指導の循環」の要である。●修正も動機づけも、いかに参加者 を観察するかにかかっている。●観察のポイント・クラス全体に対し運動の強度や 難易度に無理はないか。・個々の参加者の動き方、 表情や顔色はどうか。●実演しながら、姿勢や 動きの説明、注意を行う。●やる気を起こさせるための はたらきかけ。●努力を認め、励ましや 称賛の言葉がけを行う。●動きの注意やポイントを クラス全体に指示する。●身振りやアイコンタクトで 注意点を伝える→ 本人の傍へ行き見本を 示すなど個別指導する。動きの指示できているできている次の動きへできていない観察動機づけ確認修正や介護施設、教育現場などで運動指導ニーズが高まっているが、そこで働く保健師や介護士、理学療法士、栄養士などが、自身の専門分野と合わせて運動の指導ができるよう、基本の規定動作を覚えて教えられるカリキュラムとなっている。音楽を使用しないグループ指導者も認定 新しく分けられた6つの専門分野の中でも特徴的なのが、「ストレッチング」と「ウォーキング」。これまで「グループエクササイズ」と聞くと、「音楽に合わせて踊る」というイメージが強かったが、図3GFIの「ストレッチング」や「ウォーキング」などは音楽を使わないグループ指導を習得できるのが特徴。音響設備がなくても、屋外でもグループ指導が行えるようになる。「音楽に合わせるのが苦手」という人の中にも、グループで優れたコミュニケーション力を発揮する人も少なくない。そうした人も指導者として認定されるチャンスが広がる。例えばストレッチングエクササイズベーシックインストラクターコースでは、規定の3種類のストレッチングについて、「基本姿勢」↓「準備姿勢」↓「伸長姿勢」の3つをまず自身ができるようにする。その上で、指導者向けのスクリプト(セリフ)が用意されているので、それらを覚えてグループに対して伝えられれば、すぐに指導現場に立てることになる。認定コースでは、実演能力・実演しながらの指導能力の習得に重点を置き、指導のポイントも体験しながら習得できるようになっている。日本のエアロビクス界が培ってきたグループ指導のノウハウが習得できる 日本のエアロビクスインストラクターは世界的に見てもレベルが高い。それは、JAFAをはじめとした協会のカリキュラムのもとに、トップインストラクターたちや各フィットネスクラブが「インストラクター養成コース」として、その指導ノウハウを構築、ブラッシュアップしながら、脈々と後進インストラクターたちを育ててきたからに他ならない。 その指導ノウハウの根幹にあるのが、「指導の循環」(図3)で、この考え方はJAFAに限らず広くグループ指導のインストラクター育成現場で伝えられている内容であるが、GFIのテキストに入ることで、グループ指導のインストラクターが、徹底してこの考え方を持ち指導にあたっていく体制が整った。これは、日本のエアロビクス業界の財産を後世に受け継いでいくうえでも大きな意味を持つ。近年、特に米国やアジアではプレコリオプログラムが主流となり、参加者に合わせた指導やプログラミングができる指導者が育たないという課題を抱えている。日本のエアロビクス業界が30年をかけて培ってきたグループ指導ノウハウを基盤に、数多くの質の高いインストラクターがステップアップしながら育っていくことが期待される。深代さんは、その思いをこう話す。「日本の社会では、今後益々運動指導者のニーズ、それもグループインストラクターのニーズが高まることが予想されています。特に人口の高齢化を迎えて、中高齢者の指導機会が増え、そこで相手の気持ちに寄り添える運動指導者が益々必要となります。今回のカリキュラムでも、これまでになかった章として『心と運動』が加わり、指導者としての心くばりにも重点を置いた内容となりました。相手の気持ちを汲みながら、にこやかに対応することは日本人や日本文化の優れた部分でもあります。日本人ならではのグループインストラクターが自身の興味や強みを活かしながら育ち、活躍していくことを楽しみにしています。JAFA-GFIも時代に合わせて、まだまだ進化を続けていきます」

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です