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後にプロテインを摂取。これで身体の『適応』効果を高める食事ができることになります」第2ステップは、「燕麦(えんばく)」 「BCAA」「CCD」 基本的な食事バランスを整えることに加えて、食事や栄養の内容を工夫することで、さらに身体の「負荷」への「適応」効率を高めることができる。この点で桑原さんが注目し、自身も活用しているのが、「燕麦」「BCAA」「CCD」である。 「燕麦」はオートミールとして知られる穀物食品で、米や麦に比べて繊維質が多く、血糖値の上昇を抑える作用などもあると言われている食品。特に朝食にこの燕麦を積極的に摂ることで、お話を聞いた方 桑原弘樹さん江崎グリコのスポーツサプリメントブランド「パワープロダクション」生みの親。NESTA JAPAN PDA。国内外で活躍する多くのプロスポーツ選手に対して、サプリメントを活用した独自のコンディショニング指導の傍ら、執筆や講演会など多数。トップアスリートが実践するボディメイクのノウハウを一般に公開する「桑原塾」主宰。桑原さんの朝食。オーツ麦にチョコレート風味のプロテインをかけたもの(すでに水を入れて電子レンジで温めた状態)に、サラダ、鶏肉と、フルーツは桃とオレンジ、バナナはヨーグルトと一緒に。ドリンクはアイスコーヒー(無糖)と野菜ジュース。タンパク質の補充にシェイカーでホエイプロテインと、関節・靭帯成分を配合したプロテインをミックス。空腹感を感じることがなくなり、間食などの余分なカロリー摂取がなくなる。また便通も良くなるため腸内環境が整い、必要な栄養素を効率よく摂取できるという一石二鳥の効果が得られる。桑原さんの朝食は、このオートミールにチョコレート味などのプロテインを振りかけて、水を加えてレンジでチンする。そこに、フルーツ、ヨーグルト、野菜などを添えて、最後に追加でプロテインを摂取しているという。 「BCAA」は、これまでにも運動疲労の軽減、特に集中力を維持させることで注目度の高いアミノ酸であるが、運動中の「負荷」と「適応」の効果をさらに高めるために特に運動中の摂取を推奨する栄養素である。また、「CCD」は浸透圧を上げない糖質で、運動中でもドリンクからエネルギー補給がしっかりとでき、運動中のエネルギー枯渇による筋肉の分解を抑えることができる。BCAAは20分程度で吸収されてしまうことから、運動前および運動中に摂取して血中濃度を適切に保ちつつ、エネルギーをCCDから得ることで、運動という「負荷」による筋肉の分解を最小限に抑え、運動後の「適応」における筋肉の再合成の環境を最良に整えることができる。PFCバランス実現のために、サプリメントを活用する さらに計画的に身体を変えたい場合には「PFCバランス」を精緻に整え、そこにサプリメントを活用することが効果的だと桑原さんは説明する。例えばアスリートの中には、種目やポジションによって、減量が必要な人もいれば、体重を増やす必要がある人もいる。どの場合でも、基本の「PFCバランス」から効果的にバランスの比率を変えていく。多くの場合、それを食品からの栄養摂取だけで実現するのが難しく、サプリメントで調整していく方法をとる。 「PFCバランスは、1日の食事の総カロリーを、たんぱく質15%、脂肪25%、炭水化物60%から摂ることを基準に、目的に応じてこの3大栄養素のバランスを変えていく方法をとります。例えば、身体を絞りたい場合、1日のカロリーを減らす必要がありますが、トータルカロリーを落とす場合も、タンパク質は元の摂取量のままで固定し、炭水化物は率で固定し、残りの減らすべきカロリーを脂質で調整するようにバランスに変えます(表2参照)。逆に体重を増やしたい場合は、脂質を元のカロリー摂取時の時の量で固定をしながら、トータルカロリーを増やしていきます。この時に、例えばタンパク質の量を食品で確保しようとすると脂質とのバランスがとれなくなる場合にプロテインを活用するといった具合です」 身体づくりを目指す人はもちろん、高齢者など食が細い人の健康維持にも、PFCバランスをとるうえでのサプリメントの活用は有効だ。 「たとえば、最近注目されているアミノ酸として、血管を弛緩させる効果が注目されているシトルリンは心血管疾患の方向けへの商品化が期待されています。また、HMβという進化系アミノ酸は、BCAAのロイシンの代謝の過程でつくられ、ロコモ対策としても期待されています。ただ、こうしたサプリメントも、あくまで栄養素の一つであって、薬ではありません。基本は食事バランスを整えることからスタートしなくては効果を発揮してくれません。身体づくりのプロとして運動指導者のみなさまからも食のとりわけバンランスの重要性を発信していただき、そのうえで最適な『適応』をサポートするサプリメントを上手に選んでいただけたらと思います」図2 減量時におけるPFCバランスメソッド1日の摂取カロリー3,000kcalの人が2,000kcalに減らす場合3,000kcalの食事バランス2,000kcalにする場合(量で固定 113g 比率で固定60%)タンパク質450kcal(113g)タンパク質452kcal(113g)脂肪348kcal(38g)脂肪750kcal(83g)炭水化物1,800kcal(450g)炭水化物1,200kcal(300g)September,2014 www.fitnessjob.jp15

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