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August,2014 www.fitnessjob.jp37続けたというが、仕事では学ぶことも多かったという。 「フィットネスクラブにある大概のセクション業務を担当させて頂き、後輩の育成、管理する側の立場も経験させて頂きました」 その後、8年間の社員生活で学んだ経験基盤をもとに、フリーランスのインストラクターとしての活動をスタートさせることになる。 「社員を辞めた当初はフリー一本でやっていけるか不安で、最初の3年間はアルバイトで事務仕事も行っていました」 現在では、その不安をもバネにし、エアロ、ステップ、ダンス系のプログラムを指導する傍ら、インストラクター養成コースの講師やフィットネスクラブのスタジオアシスタントディレクターとしてレッスンチェックや研修なども行うなど、フリー一本で忙しい毎日を過ごしている。現場レッスンは現在13本行っているというが、その中には毎週車に自前のステップ台を参加人数分積み込んでレッスンに行っている場所があるなど、草の根的なフィットネス活動にも余念がない。 「社員時代からそうだったのですが、人の面倒を見ることことが好きで、とにかくみんなに笑顔になってもらいたいんですよね。この気持ちは、実はあることをきっかけに余計その思いが強くなったのですが…」 それまでの明るい表情とは対照的に目線を下げ、トーンを落としながら呟いたある事とは何だろう。 「今から8年前、親友が突然病気で亡くなったんです。彼女の体調の異変に、なんで気づいてあげられなかったのか…。その事が今でも心残りで、それ以だが、この夢は残念ながら文字通り夢で終わり、中学生になると新たな夢が芽生えてきたという。 「子供のころのアイドルになりたい名残で演劇部に入っていたのですが、秘めていた夢は看護師になる事だったんです。高校では看護科に入学し准看護師の免許も持っているんですよ!」 しかし、高校卒業を目前に控え、持ち前の好奇心旺盛さと負けず嫌いが顔を覗かせる。 「大学の推薦入試に失敗した事が心のどこかでモヤモヤしていて…。もう一度走りたいと思ったんです!」 その後、走れる環境を模索しているときに体育系の専門学校が地元にあることを知り、学校説明会に行くことを決めた。ここが彼女の〝今〟を形成する上で重要な分岐点となる。 「説明会でお話をしてくれた先生を見て、『この人タダ者じゃない』と衝撃を受けました。言葉では言い表せない程のオーラに一気に引き込まれていく自分がそこに居たんです」 この時の説明会を担当した先生と言うのが、長年北陸のフィットネス業界を牽引し、カリスマ性、実力ともに抜群の実績を誇る高木みどりインストラクターだ。彼女のバイタリティ溢れる活動を引き継いだ高木門下生が北陸では多く活躍しているが、その中でも福島さんは群を抜いてアクティブな活動が目を惹く。 「専門学校卒業後はフィットネスクラブに入社したのですが、出社前でも夏は海、冬はスキーに行ってから夜遅くまで仕事を行うという、とにかく24時間寝る間も惜しんで、仕事でも遊びでも体を動かし続けていましたね(笑)」 こんな生活を退職するまでの8年間たー」 北陸の空とは正反対の晴れやかな笑顔で登場してくれた。今年でインストラクター歴20年という福島さんだが、このキャリアがスタートした当初から石川県を中心に北陸で活動を行っている。 「高校卒業後、大阪の大学に行こうと思い、陸上推薦で、とある大学のテストを受けに行ったのですが、中距離のレース形式のセレクションで周回遅れになるほどレベルの差を見せつけられました。当然の事ながら不合格となり、地元のスポーツ系の専門学校に入ることになりました」 ここまで聞くと、さぞ運動好きの活発な幼少期、そして学生時代を過ごしてきたのだろうと思うのだが、どうやらそうでもないらしい。 「子供のころの夢はアイドルになることだったんです!カラオケ大会には頻繁に出場していて、地元のTVにも出たことがあるんですよ(笑)」 アイドルとはこれまたぶっ飛んだ夢来、人に対してできることはすぐに行動に移そうと誓いました」 親友の死を目の当たりにし、それまで以上に他者に対しての思いが強くなったという福島さんだが、今では亡くなった親友の分もという気持ちで、積極的に仕事に取り組んでいる。 「若いころは東京に出て力を試してみたいという気持ちもありましたが、今は『地方からでもできるんだ!』という事を証明したいと思っています」 そう力強く話してくれた福島さん。今後の展望についてはどう考えているのだろう。 「私は、人が好きで、そして楽しませる事が大好きな、根っからの〝楽しませ屋〟だと思うんです。だから、これからも現場指導に軸足を置いて、一般のお客様から後輩の育成など、とにかく直接的に人に関わる仕事に携わっていけたら、こんなに嬉しいことはないと思っています」 取材も後半に差し掛かったところで、最後に何か伝えたい事は?という質問に言葉を選びながらも答えてくれた。 「最近では海外のプレゼンターに触発された若いインストラクターの台頭が著しく、本当に素晴らしいレッスンをする人が増えてきました。反面、独自性や特徴がやや乏しく見えてしまうと感じるのも本音です。高いポテンシャルと可能性を持ったインストラクターばかりなので、もっと『自分にしかできない事』を強みとしたレッスンスタイルを築いて欲しいと思っています」 福島さんのこの意見には私も同調する。語弊を恐れずに書かせて頂くと、〝海外プレゼンターの物真似〟から早く脱却しなければ一過性の流行りものとして、近い将来賞味期限が切れるこ有限会社スポーツゲイト代表取締役社長有限会社スポーツゲイトホームページURL:http://www.sportsgate.co.jp個人BLOG:http://ameblo.jp/sportsgate2001/取材後記私は打算的な人間だ。何か物事を始めようとするとき、それは得なのか?損なのか?を先に考えてしまう。概ねそんな性格の自分が嫌でしょうがない。だから、福島さんのような「人が喜ぶ事」が最優先基準となっている人とお話をすると自分が恥ずかしくさえ思える。フィットネス指導者にとって最も大切なものは何なのか?この事を深く考えさせられる今回の取材であった。INTERVIEWER 丸山 寛とになるだろう。本来フィットネスインストラクターが担っているもの、それは何なのか。この部分を追求することで見えてくることがあると私は考える。 今回のゲスト福島さんは、20年と言うキャリアを背負いながらも昨年のルーキーコンテストにチャレンジをし、若い世代のインストラクターにガチンコ勝負を挑んでいる。他人の土俵に上がってまでもフィットネスに対する姿勢を示そうとする福島さん。彼女の損得勘定抜きの真直ぐな活動に、本当の勇気と人としての優しさを感じたところで、今回の章を終わりたいと思う。

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