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編集している。トレーナーの視点で子どもの環境を再定義する 遠山さんは、自身の子どもの成長とともに、幼少期の子どもの身体づくりへの理解を深めてきた。そうした経緯もあり、9つの基本動作の習得は1〜2歳から始められるとして、幼少期の子ども向けにも、ママやパパとの遊びの中で基本動作の体験を増やす方法をまとめている。歩けるトレーナーの視点で子どもをとりまく環境を再定義すれば、運動能力は高められるリトルアスリートクラブ(LAC)代表トレーナー 遠山健太さん02子どもの体力低下の本当の問題とは 『スポーツ子育て論』『ママだからできる 運動神経がどんよくなる子育ての本』の著者であり、教育サービス大手の学研とオリジナルの子ども向け運動能力向上プログラムであるリトルアスリートクラブ(LAC)の開発を進めてきている遠山健太さん。スポーツトレーナーの立場から子どもの運動能力向上を啓発する。遠山さんは、そもそも子どもの体力低下の課題として2つの問題を挙げている。 「子どもの体力測定は1964年のオリンピック開催を機に学校体育に導入され、1999年に新体力テストに変更されて今に至っていますが、『体力低下』といっても50年くらい前の体力測定の数値と比較しているわけです。この間、日本人の体格も変わり、50年前に比べると身長が高くなり、足の長さも長くなってきています。一般的に体格が大きいことは運動には有利なはずですので、子どもたちの体力が下がっているのは、体格に見合った身体づくりができていないということです。もう一つの問題は、自分の動きや体力に興味を持たない子どもが増えていることです。社会環境の変化で友達と一緒に外で遊ぶ機会が減り、ゲームや勉強の時間が増えることで、子ども本人が運動の必要性を感じる機会が減っている。周りに大自然がある環境でも同様で、長野県東御市の身体教育医学研究所によると、山や緑が豊富な長野県でも子供の体力低下は深刻な問題という現状があります」 こうした問題意識の中、遠山さんは選手の身体づくりを専門とするトレーナーとして、2つの観点で子ども向けプログラムを開発してきている。一つは多種多様な動きに繋がる基本動作を楽しんでできること、そしてもう一つが将来どんなスポーツにでも対応できる身体づくりである。それを実現するうえで着目したのがアメリカの発育発達学者であるデビッド・ガラヒューの著書『幼少年期の体育―発達的視点からのアプローチ』で提唱している84の動作。特に重要と考えられる動作を9つに絞り、プログラムにまとめたのが、リトルアスリートクラブ(LAC)の運動プログラムである。子どもの運動能力を伸ばす9つの「基本動作」 遠山さんが推奨する9つの基本動作とは、平衡系動作として「バランスをとる」「回る・ひねる」、移動系の動作として「跳ぶ・着地する」「走る・きりかえる(切り返す)」、操作系の動作として「投げる」「捕球する」「ボールをつく」「蹴る」「打つ」。 この9種類の動作を行うことで、将来どんなスポーツにもスムーズに対応できる運動能力が身につくという。特に小学生には学校体育との関連づけることで、子どもたちも高いモチベーションを持って取り組みやすくなる。そのため、この時期の指導ニーズが高い「マット運動」「なわとび」「鉄棒」「とび箱」についても、動きを分解して取り組めるようなメニューを用意しており、効率的に上達できるようになっている。運動会シーズンにニーズが高まる「走る」動きも同様に、上達するうえで効果的な動作に分解。9種類の動作が効果的に習得できるプログラムにEx.「走る」動きを上達させる11のドリル● スキップ● 縦ギャロップ● 横ギャロップ● グージャンプ● グーパージャンプ● ケンケンパ● グーチョキジャンプ● チョキチョキジャンプ● ケンケン● 走る● 走り幅跳び(片足踏切)14August,2014 www.fitnessjob.jp

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