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医療法人社団飛翔会理事/取締役テクノジム マスタートレーナー理学療法士で、日体協ATを持ち、飛翔会が経営するメディカルフィットネスクラブ「ケアウイング」を拠点に、アマチュア選手からプロ選手まで広くアスリートのリハビリから現場復帰、パフォーマンスアップをサポートしてきている。2008年頃からEXOS社(元アスリーツパフォーマンス社)と情報や人材の交流を進めてきている。EXOS社の理論は日本ではアディダスパフォーマンストレーニングとして展開されており、テクノジム社主催のセミナーやワークショップで講師を務める。お話を聞いた方門田正久さん 「メディカルフィットネス」は、広義では「医療的要素を取り入れたフィットネス」、狭義では「医療機関が運営するフィットネス」とされ、テクノジムが2011年から日本メディカルフィットネス研究会を組織メディカルフィットネスの分野にも、ファンクショナルトレーニングの浸透が加速している。もともとファンクショナルトレーニングは、米国で、アスリートの怪我の予防や、障害からの速い回復と復帰を実現するために開発されてきたトレーニングコンセプト。日本でも医療機関が運営するメディカルフィットネスクラブでもファンクショナルエリアが拡大している。門田正久さんのファンクショナルトレーニングマーケティングメディカルフィットネスクラブケアウイングのトータルパフォーマンスシステムして、経営から運営面までの情報共有をサポートしてきている。 メディカルフィットネスの分野では、これまで有酸素運動による循環器系疾患の予防や改善が注目されてきたが、ファンクショナルトレーニングのコンセプトが浸透するにしたがって、整形外科部門のメディカルフィットネスサービスが拡充されてきている。そこで、テクノジムでは特にメディカルとフィットネスの間を繋ぐ分野で活躍できるトレーナーの育成として、飛翔会で構築したトレーニング理論と経験を共有していく体制づくりを進めている。門田正久さんは、メディカルフィットネス分野でのファンクショナルトレーニングの可能性について次のように話す。 「理学療法士は、医療的視点で機能が低下した部分を正常に近づけることをしてきており、かなり昔から『ファンクショナルテーピング』をはじめ『ファンクショナル』という言葉は存在していました。これまでのトレーニング処方は、医療的視点に基づいたものでしたが、高齢化社会になって、加齢による医学的な機能低下があっても趣味やスポーツを楽しみたい、挑戦したいという人が増えています。私のクライアントでも、63歳でウルトラマラソンに参加したいという夢を持つ女性がいて、医療的には機能不全で止められることも、とにかく挑戦したいという気持ちに応えようとパフォーマンストレーニングの視点から、機能向上の可能性を探り、トレーニングで夢の実現をサポートしようとしています。今後、理学療法の診療報酬点数は下がる方向性にありますので、理学療法士や病院は、医療分野を超えたところで価値をつくることが必要になります。ファンクショナルトレーニングは、メディカル分野でも高い価値を提供できるものだと思います」 門田さんは、プロアスリートやジュニアアスリートの指導に加えて、パラリンピック選手のトレーニング指導にも携わっており、ここでもファンクショナルトレーニングの理論の有効性を感じているという。ファンクショナルトレーニングは人々の新たな可能性を惹き出すトレーニングとしても浸透が期待される。 理論開発EXOS社(元アスリーツパフォーマンス社)飛翔会グループ トップアスリートのパフォーマンストレーニングの提供や、トレーナーの育成に定評のあるEXOS社(元アスリーツパフォーマンス)のファンクショナルトレーニングのコンセプトをいち早く積極的に摂り入れているのが、広島の飛翔会グループ。サンフレッチェ広島のチームドクター寛田司氏(飛翔会グループCEO)のもと、飛翔会グループクリニックでのリハビリから、メディカルフィットネスクラブでのポストリハビリ、パフォーマンスアップをシームレスに提供できる環境でトレーニング指導の実績を積む門田正久さん。EXOSのパフォーマンスコーチや理学療法士の責任者を招いた研修などを通じて理学療法士へのファンクショナルトレーニングの啓発も進めている。 基本理論 EXOSで開発された「ファンクショナルエグザミネーション(個別機能評価)」をベースに、日本式のスクリーニングモデルとして、トータルパフォーマンスシステム(TPMS)として編集し直したもの。病院のリハビリでは患部の機能を戻すことが中心になるが、ファンクショナルエグザミネーションでは、怪我が起きた原因となった動作チェックから行う。そのうえで、最大70項目にわたるチェックから、改善するべき動きを見つけ出し、トレーニング計画に落とし込んでいく。これをさらにクライアントの状態に合わせて効率よく機能評価をしていくスケールを構築した。EXOSのモデルはP.13にあるように「アディダスパフォーマンストレーニング」の基本として体系化されているが、その「コアの基礎」「パフォーマンス」「スポーツ/日常生活」の3段階でのパフォーマンスアップを精緻なスクリーニングとトレーニングによってスピーディに実現するもの。 日本の理学療法でも、特に脳卒中などのリハビリでは、動作改善のためのトレーニング要素があり、理学療法士にとっては理解が深めやすい内容であるという。関節のモビリティや安定性を高めること、動きの連動性をつくる神経筋反応を高めることなど、ファンクショナルトレーニングの理論がリハビリの分野でも活用されることになる。飛翔会におけるトレーニング概念図メディカルゼロフィット(奈良県)のファンクショナルトレーニングエリア24July,2014 www.fitnessjob.jp
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