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KOBA☆トレサッカー日本代表の長友佑都選手、なでしこジャパンエースの大儀見優季選手ら多数のトップアスリートが信頼を寄せるトレーナー木場克己さん。鍼灸師で柔道整復師という治療家としての発想から生まれたトレーニングがトップアスリートたちの活躍と人気とともにマスメディアでも注目され、ジュニアアスリートから一般生活者にまで広く浸透している。 理論開発木場克己氏 「KOBA☆トレ」(以下、コバトレ)には、“治療家としての発想”が活かされている。木場さんが治療家としてスポーツドクターのクリニックで仕事をしていた時に、スポーツ障害を患った選手のリハビリに関わったことをきっかけに、日体協ATや健康運動指導士などでトレーニング理論を深めた。その後FC東京のメディカルトレーナーとして、肉離れや靭帯損傷、手術などからスピーディに現場復帰できるトレーニングを追求する中で独自の理論が生み出されていった。 損傷が起こると、身体の機能に制限がかかり、損傷部位の周辺が硬くなり筋力も弱くなる。関節可動域が制限され、筋力にアンバランスが生まれ、姿勢にも動きにも歪みがでる状態となる。そこで回復のためにはまず動きの可動域やバランスを取り戻し、パフォーマンスを高めるというファンクショナルトレーニングに通じる理論と手法が生み出された。その理論と経験と発想力から生まれたトレーニングを体系化した。 基本理論 コバトレの「KOBA」は、「Kinetics(カイネティックス) 運動学」「Operating together(オペレイティング トゥギャザー)連動性」「Balance(バランス)平衡」「Axis(アクシス) 軸」の頭文字をとっており、トレーニングにおいてもこの4つの能力にアプローチしていく。動きを始動したり、動きをコントロールする部位が体幹部であるという視点に基づき、「柔軟性」「安定性」「バランス」「連動性」の4つの能力をパフォーマンスアップの肝として、より多くの人のトレーニングに採り入れて貰えるよう具体的ガイドラインにまとめた。4つの能力を高めるうえで着目するのが、固有受容器を刺激することで関節可動域を広げること。またインナーマッスルを強化することで体幹部の安定性をつくり、そのうえで上半身と下半身の「連動」の中で、安定した動きをつくっていく。セッションの基本構成 ①可動域を高めるストレッチ②フォームローラーなどで身体の軸を確認する エクササイズ③腹圧を高め、インナーマッスルにアプローチするエクササイズ④立位でチューブなどを活用して体幹部を安定させながら下肢の動きとの連動性を高める動きのトレーニング 有吉与志恵さんは、これまでに15冊の著書を出版しているが、すべてこのコンディショニングメソッドに基づいている。 呼吸、筋膜、リンパなどへのアプローチも含まれることから、血流が促されてパフォーマンスはもちろん、日常の体調や組織の状態も改善する。 指導方法もグループでの指導ができるコンディショニングインストラクターと、個別の指導ができるコンディショニングトレーナーとに分けて、それぞれに効果的な指導が行えるカリキュラムを用意して指導者の育成も進めているため、指導現場への浸透も着実に進んでいる。理論の浸透と合わせて科学的検証によるエビデンスも揃ってきている。有吉さんはこのメソッドが注目される背景についてこう話す。 「これまでにトップアスリートから一般生活者の方、高齢者の方まで広い分野のトレーニングに携わってきましたが、アスリートが身体を使いすぎてパフォーマンスが落ちてしまう状態と、老化現象で身体の機能が落ちてしまう状態には共通項がとても多くあることに気づきました。このメソッドでは筋肉にアプローチしますが、共通して使いすぎる筋肉として大腿筋膜張筋、中臀筋前部、大腰有吉与志恵さんのファンクショナルトレーニングマーケティングKOBAスポーツエンターテイメント株式会社代表取締役有限会社コバメディカル・ジャパン代表取締役株式会社ルネサンスプラスアドバイザー、KOBA体幹バランス協会会長。学生時代は格闘技選手として活躍。高校時代に腰椎圧迫骨折で現役を退き、治療家の道へ。スポーツドクターのもとで働いたことをきっかけにトレーニング指導者としての知識と経験を積む。トレーナーとして活動する傍ら、治療院も設立。現在はマイクロジムも併設し、地域のスポーツ愛好家からアスリート、チームやトップアスリートまで機能改善からパフォーマンスアップをサポートしている。お話を聞いた方木場克己さん筋(腸腰筋)が挙げられ、これらをリセットするだけで、ひざ、腰、股関節周りの障害予防や痛みの改善ができます。機能解剖学だけでなく生理学や脳科学に基づいて理論構築してきていますので、医療関係の方からも注目されるようになってきています」 指導者の育成は、グループ指導に必須なバーバル(口頭)指導が学べる講座と、パーソナル指導に有効なコンタクト(触れる)指導が学べる講座に分けて学べるようになっており、スタジオインストラクターからパーソナルトレーナー、アスレチックトレーナー、介護予防運動指導者、理学療法士などが現場の指導に活かしている。身体の部位ごとに細分化したコンディショニングメソッドを学べるワークショップも多数用意されており、ファンクショナルトレーニングの指導においても、その精度と成果を高めることに活用できるメソッドとなっている。July,2014 www.fitnessjob.jp17

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