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でキャリアの広がりや報酬を高められるのは、パーソナルトレーナーやスモールグループでの指導で高い価値を提供できているからに他ならない。従来のフィットネスクラブでは、これまで主に「筋力トレーニング」と「有酸素トレーニング」で、同一のマシンでの重量や強度設定により、トレーニングによる体形や体組成の変化を主な成果として提供してきた。これに対して、NASMでは柔軟性やバランスの改善により「姿勢」や「動き」を改善する成果を提供することで早い段階でトレーニング成果を感じて貰える。また、クライアントの個別の課題に合わせてトレーニング要素や方式を効果的に組み合わせて提供することで、「パーソナル」ならではの価値が認められやすいことが要因にあると考えられる。 米国のフィットネスクラブでは「パーソナルトレーナー」とは別に、「ムーブメントスペシャリスト」などの名称でNASM認定トレーナーやファンクショナルトレーニングが指導できるトレーナーを際立たせて、パーソナルトレーニングのマーケティングを行っているところもある。NESTAスペシャリスト資格NESTA JAPANが開発するスペシャリスト資格は、クライアントの属性や目的に合わせたソリューションを的確に提供するうえでのガイドラインや具体的な指導法を提供するもの。現在13種類ある資格の中でも、特に「シニアフィットネストレーナー」「テニスコンディショニングスペシャリスト」「ゴルフコンディショニングスペシャリスト」にファンクショナルトレーニングのコンセプトが活かされている。 理論開発齊藤邦秀氏 指導歴18年のパーソナルトレーナーとして、各種トレーナー育成研修やNESTA資格認定カリキュラムの開発などに携わる。米国やドイツを中心とした国内外様々な文献や研究結果等を基に、これまで個々の関連性があまり考慮されずに実施されてきた各種トレーニング・エクササイズを下記の図のように整理し、包括的にパフォーマンスを向上させるトレーニング概念を確立。NESTAスペシャリスト資格の指導カリキュラムに反映させている。 基本理論 スポーツパフォーマンスや日常生活でのパフォーマンスを高めるうえでは、図のように様々な要素が関係している。そのうち、トレーナーとしては図の「フィジカル」のエリアを中心に提供する。 トレーニングはフィジカルのピラミッドの下層から順にアプローチしつつ、心肺能力を向上させる「カーディオ」や器用さなどを養う「コーディネーション」などの要素もバランス良く高めることが重要として、トレーニングを構成することを啓発。ファンクショナルトレーニングはあくまでも土台の一つとして位置付けている。骨格や筋バランスを整え、姿勢・体軸を保持し、関節の安定性と可動性を向上させたうえで、動きを連動させ、正しい動作を習得する。そのうえでストレングスやパワー・クイックネスの要素を加えていく。 シニアフィットネスでは、加齢に伴って機能低下しやすい関節の安定性・可動性を取り戻し、歩行や日常生活をスムースに行うための正しい動作(姿勢、体の使い方等)を学習する。そして、サルコペニア(加齢による筋委縮)予防としてレジスタンストレーニングを採り入れている。 テニスコンディショニングでは、フットワークとサーブ、ストロークといった主要動作に着目し、サイドステップや前後の切返しの動作に必要となる下肢~体幹の連動性、およびサーブやストロークの捻り動作に必要な下肢~体幹~上肢の連動性のトレーニングを組み立て、さらに様々なツールを用いて負荷・スピードを加えたトレーニングでパワーやクイックネスを向上させていく。 ゴルフコンディショニングでは、安定した(再現性の高い)スイングを獲得するために、股関節&胸椎の可動性、腰部の安定性などを向上させ、下肢~体幹~上肢の連動性のトレーニングを行い、最終的に様々なツールを用いて、負荷・スピードを加えたトレーニングを行っていく。NESTA JAPAN副代表有限会社Welness Sports代表取締役パーソナルトレーナーとして業界屈指の実績を持ち、子ども~高齢者、低体力者~トップアスリートまでのサポート経験がある。現在も現場の指導を行いながら、各種トレーナー資格認定のカリキュラム開発や指導にも携わる。お話を聞いた方齊藤邦秀さんプログラミングのガイドラインがあることで、2~6人程度のスモールグループでも同じ流れでセッションが進行できる。グループでも個別性が担保できることで、トレーニングの価値も確実に提供でき、有料での商品設計が行いやすくなっている。※フィジカル(体力)の3つの要素と、スキルとフィジカルは明確に分けることはできないが、便宜上分けて記載パフォーマンス(競技力)向上の概念図July,2014 www.fitnessjob.jp13
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