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ピラティスで“才能のある人”を育てる ピラティスを小中学生に啓発する取り組みを始めている花村愛子さん。自身が主宰するバレエ教室のレッスンに4年前からピラティスを導入して、小中学生の心と身体の成長に繋げている。 花村さんがピラティスをバレエ教室に採り入れたきっかけは、バレエ教室の生徒が増え、レベルの高いコ小中学生の身体と心づくりにエトワールバレエスクールピラティスを08ンクール出場やトップレベルのダンサーやバレリーナを目指す子どもが増えるにしたがって、ケガに悩む子も増えてきたことに危機感を抱いたことだった。自身もピラティスを学び始めたきっかけは、ダンサーとして長年腰痛などに悩んできたことだった。フィットネスクラブでバレエ指導を受け持った時に、クラブスタッフから「ピラティスは身体にいい」と勧められてレッスンを受けてみたものの、当初はその良さがまったく分からなかったという。だが、ピークピラティスシニアティーチャーの高田香代子さんの指導に触れ、ピラティスが持つ芸術性に興味を惹かれたと話す。 「私自身バレエやダンス特有の身体の動かし方をずっとしてきたので、ピラティスの動きを身体がなかなか受け入れず、良さが実感できるまで時間がかかりました。ただ高田さんのレッスンでのキューイングが音楽のように、人の身体の動きの美しさを惹きだしていくことにとても共感して、その神髄を学ぼうと養成コースに進みました。ピラティスを深く学べば学ぶほど、今度はエクササイズとしての価値や可能性も理解できるようになり、子どもたちの身体能力の可能性や意識が広げられると思っエトワールバレエスクール代表幼少よりクラシックバレエを学ぶ。日本女子体育大学舞踊科卒業後、現在ダンスカンパニー「カレイドスコープ」に所属。舞踊コンクール上位入賞経験も多数。5年前にエトワールバレエスクール設立し、子どもたちの将来可能性を広げようとコンクールや舞台、テレビCMなどにも積極的に参加させている。2014年ピークピラティスのコンプリヘンシブ認定取得予定。お話を聞いた方花村愛子さんたのです。バレエ教室に通う子どもたちは『バレリーナになりたい』『コンクールで優勝したい』『ディズニーランドのステージで踊りたい』など様々な夢を持っています。でも、現実的には生まれながらにして高い柔軟性やしなやかで強い筋肉を持ち、動きを忠実に再現できる器用さを持った一握りの“才能のある人”だけがその夢を叶えてきた。ですが、ピラティスで正しい身体の動かし方を習得し、“才能ある人”を育てることができると思えたのです」繰り返しで身体も心も強くなる 小中学生を対象にしたピラティスレッスンは、ピークピラティスのPPC1という初級レベルのエクササイズをそのまま導入している。20分程度でPPC1のエクササイズを行った後に、バレエの動きに繋がるピラティスの動きを音楽に振り付けて2~3曲行う。PPC1とは、ピラティスの中でも「クラシカル」に類され、決まった順序でエクササイズを行うもの。ピラティスの様々な動きやテクニックの中でも、レベルに合わせて最も効果的な種類のエクササイズが、効果的な順序で構成されている。花村さんも、そのプログラムの信頼性の高さから、PPC1をそのままの形で提供しているが、流れが決まっていることで子どもも取り組みやすく、実際に子どもたちのケガが減るという初期の目的への成果に加え、副次的な効果にも繋がっているという。「エクササイズの始まりから終わりが分かることで、子どもたちも集中して取り組めます。全身の動きがバランス良く入っていて、子どもは身体の感覚が素直なので、大人のように頭で理解したり意識しなくても、繰り返し行ううちに自然に身体の使い方が習得できるようです。お友だちとリズムや動きを合わせることや、繰り返し行うことでできるようになる体験をすることで、心も成長してきていると感じます。新しいことや、できないことに直面しても、それにチャレンジすることを楽しめるようになってきていて、精神的にも強くなりました」 現在3歳から大人まで、80名あまりの生徒さんにバレエを教える花村さんは、今後もピラティスを年代に合わせた形で提供しながら、ダンサー以外にもそれぞれの可能性を大きく広げて貰えることを期待している。June,2014 www.fitnessjob.jp15
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