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福岡と代官山でピラティススタジオを併設した整形外科クリニックを運営する広域医療法人明和会 スポーツ・栄養クリニックでは、2012年4月から通所リハビリテーションセンター(デイケア)の運営もスタート、ピラティスの知識や経験を持つ理学療法士を通じて、ピラティスの効果を介護保険事業にも活かす取り組みを本格化させている。現在、Pfilates(Pelvic Floor+Pilates由来)のアジア全体のライセンスセンターとして国内はもとより、アジア各国にて指導者育成コースのコーディネートもしている。 理学療法士で、ポールスターピラティス認定インストラクターとして、通所リハビリセンター長も務める大雄義弘(おおたか・よしひろ)さんは、介護保険事業分野でのピラティスの可能性についてこう話す。 「ピラティスがリハビリ目的に開発されたことから、現在日本でもリハビリの分野で活用される事例が増え、理学療法士でピラティスの認定資格を持つ人も増えてきました。当施設ではピラティス器具を治療に用いることで、エクササイズ動作での筋力や可動域をスプリングが補助するので、さまざまな介護度の方に対して、より安全で効果的な治療を行うことが出来ます。近年介護保険事業の分野で、理学療法士の配置が多くなり、理学療法士がこの分野で仕事をするケースが増えています。高齢者を対象とした施設だからこそ、器具を使ったピラティスがリハビリに大変有効であると実感しています」 スポーツ・栄養クリニックが運営するデイケアでは、利用中のスケジュールを利用者が自身で選ぶ「自己選択・自己決定方式」で個別のメニューを組んでいる。ピラティス器具も導入して、より本質的な機能改善エクササイズも提供しているが、特に広く利用者の人気を集めているのが、Pfilates。グループで行う15分程度のエクササイズとして提供している。Pfilatesは米国の婦人科医ブルース・クロフォード医師によって開発され、2008年に米国でリリースされたもの。同医師が、100種類を超えるパーソナルトレーニングやヨガ、ピラティスなどのエクササイズについて、それぞれの動きにおける骨盤底筋群の筋電図を測定し、最も収縮が促されたエクササイズトップ10をまとめた。トップ3は、ランジ、ブリッジ、スクワットで、その他ピラティスやヨガの動きも含まれている。大雄さんは、このプログラムの価値についてこう話す。 「米国では、家族を施設に入所させる一番の要因は、失禁と言われています。日本でも高齢者尿失禁ガイドラインにおいて、高齢者における尿失禁の頻度は極めて高く、在宅高齢者の約10%、病院や介護施設などに入所している高齢者では50%以上に尿失禁がみられると報告されています。失禁におけるアプローチとして、骨盤底筋群のエクササイズは、行えば最も効果が得られるプログラムと介護保険事業にスポーツ・栄養クリニックピラティスを05スポーツ・栄養クリニック薬院通所リハビリセンター長、理学療法士、ポールスターピラティス認定インストラクター・メンタートレーニング、Pfilates認定インストラクター・インストラクタートレーナークリニックでの保険適用の理学療法業務からスタートし、ピラティスインストラクターの認定を受けてからは、日中は理学療法士、夜間はピラティスインストラクターとしてリハビリからパフォーマンス向上までを指導。2年前より現職。デイケアのセンター長として高齢者の運動指導にも携わりつつ、ピラティスの指導も続けている。お話を聞いた方大雄義弘さん目的にスタートしたレッスンだが、ピラティスで姿勢や各関節が適切な位置に戻ることで、X脚やO脚、外反母趾などの女性の悩みが解消したり、繁忙期の後に体調を崩したり業務効率が下がっていた状況が改善され、経営的にもいい効果が得られるなど、副次的な効果も出てきている。 渡部さんは、この成果をもとに、今後職業別の環境や症状に合わせてに活用していきます。ローラーの上に座りバランスを崩さないようにするだけでインナーマッスルが活性化したり、骨盤を立てた状態で身体の動きをつくることができます。また、脊柱をローラーに沿わせながら立位での動きを行うことで、ローラーが自然に正しいポジションや動きを教えてくれるのです」 当初は、職業病の腰痛改善を主な提供するピラティスプログラムの開発や、近年問題になっている子どものロコモーティブシンドローム予防のためのピラティスも開発したいと準備を進めている。12June,2014 www.fitnessjob.jp

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