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中国武術ラタンリングを立体ウェーブに 牧直弘さんがウェーブストレッチリングの開発に取り組み始めたのは約10年前。フィットネスクラブで太極拳や中国武術のフリーインストラクターとして働いていた時だ。働いていた地域密着型クラブのすぐ近くに大手フィットネスクラブの進出が決まり、フリーながらに「何か差別化できるプログラムを開発しなければ」と感じた牧さんは、それまで温めていたアイデアを形にしようとクラブに提案したことに始まる。 そのアイデアとは、中国武術で使われるラタンリングを、より身体の動きにフィットするウェーブ形にしたリングを使ったエクササイズ。それまで既に25年以上の運動指導をしてきた牧さんは、人間にとって最も心地良い動きは、自然の波の動きである「ゆらぎ」や「しなり」であるとの結論に達し、そうした身体の動きをサポートするものとして、本来円形のラタンリングを独特な立体ダブルアーチのウェーブに変形させて使うアイデアを温めていた。 そこでまず牧さんは東急ハンズに行きラタンリングに近い太さの蛇腹の筒を購入。思い描く立体ウェーブの形をつくり布テープで固定した。世界にどこにもないウェーブストレッチリングが生み出された瞬間だ。不屈の思いがモノづくりのプロに伝わる ここから商品化に向けての試行錯誤がスタートする。最初に目を付けたのが、木を整形する方法。なめらかなウェーブを実現するうえで、自由に整形が可能な木を用いることで、いくつかのサンプルをつくることができた。だが、木で作ろうとすると、1本1万円以上の“木工製品”になってしまい、牧さんが思い描いていた「多くの人の身体を快適にするもの」としては高価すぎる。職人の手に委ねられるため、制作にも時間がかかり過ぎる。そこで、プラスチックで大量生産が可能になる方法を模索した。独特な形状をイメージに極力近く実現するうえで、対面で話せることを重視し、都内に限定してプラスチック工場を検索した。 その時出会ったのが、現在もウェーブストレッチリングの製造を手掛ける総合プラスチック代表取締役の長谷川英暁さんである。長谷川さんは当時を振り返ってこう話す。 「最初に牧さんの話を聞いて、率直に『少し様子見てからのほうがいいのでは』とお伝えしたんです。こう開発者NPO法人ウェーブストレッチ協会理事長有限会社MAKIスポーツ代表取締役牧直弘さん世界に1つの手作りリングから累計販売個数20万本を超える大ヒット商品に!Hit File01 今や「ウェーブストレッチリング」といえば、フィットネス業界関係者だけでなく広く一般生活者にも知られる存在になっている。さらに「Zen Ring」といえば、イタリアや米国のフィットネス指導者に支持者を増やし、中国では模倣品が出回るようにまでなっている。10年前には世界のどこにも存在しなかった独特なダブルアーチ形状のリングが生み出され、「ウェーブストレッチリング」として一つの市場を作り上げるに至っている。牧さん手作りのウェーブリング試作品第一号8March,2014 www.fitnessjob.jp
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