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上に座って指導を続けていたが、タオルでは座った時点で潰れてしまい、上手く骨盤底筋群が意識できない場合も多かった。 「もう少し形状が保てるおしゃれなツールがあれば、もっと確実に意識して貰えるし、より広い層の悩みに応えられるはず」 その問題意識に賛同したのが、谷春代さんと、理学療法士の渡辺なおみさんだ。3人寄れば文殊の知恵。自然発生的にひめトレ開発プロジェクトがスタートした。JCCAの活動を支えているのが、ストレッチポールの製造で“ものづくり”には確かな経験と実績を持つ株式会社LPN。同社がこの3人の発案を受けて商品開発を全面的にバックアップしていった。くり返した商品改良と体験会 最初のプロトタイプは、ゴム素材でつくった筒状のもの。全国各地で体験会を実施していった。 ところが参加者から「骨盤が当たって痛い」という声が相次ぎ、すぐに商品改良に迫られることになる。 次にできたプロトタイプは、お尻を乗せた時に一度押し潰されるものの、適度に跳ね返す素材を追求し、発泡ウレタンを使用した。そして最終段階で、円柱が完全な円ではなく、座った時にお尻の下の空間に自然にフィットするゆるやかな山をした筒状が考案された。 形状により、骨盤底筋への刺激が強すぎたり、弱すぎたりと、感覚入力の程度をコントロールして、より多くの人が効果をあげられる形状に落ち着くまでの段階では大きな苦労があった。 商品の最終スペックが決まっていく工程にはさらにクリアしなければならない様々な課題が残されていた。 例えば、発泡ウレタンという素材を使用することで起きる、硬度のばらつきを安定させることに。夏で気温が高い場合には、より柔らかく仕上がる。寒い冬で気温が低い場合には、より硬くなる。発泡にかける時間のコントロールにも細心の注意を要した。 全国にいるJCCAのトレーナーたちの協力で、ひめトレのサンプルを使った体験会も繰り返し行われた。 お年寄りから子供まで、沢山の効果測定データとそこでの生の声を徹底的に集め、改良を繰り返し、ついに今の製品が完成した。指導者ネットワークとメディア戦略がヒットに導く 製造体制が整い、商品を発売してからは期待以上のスピードで浸透していった。同社広報部担当の江川雄一さんは、その要因として2つを挙げる。 一つには、JCCAが培ってきた資源である。特に強い人的ネットワークの中で、すでに骨盤底筋へのアプローチに実績のある優秀な指導者が、指導者育成のコンテンツ作りに名乗りを上げ、指導者が育成できる講師養成ワークショップもすぐに全国で展開されて行った。また、ヨガやピラティスなど、骨盤底筋からインナーユニットの活性化を意識させる運動の指導者へも、協会員から次々に繋がり、早い段階から高評価が得られた。更に普及にも大きな協力を得ることができた。 こうした資源を最大限に活かし、3ヶ月で350人超の指導者が生まれ、6ヶ月で2万本の販売に繋がった。 もう一つの成功要因として挙げるのが、メディア向けのプロモーションである。ひめトレを通して、指導者とユーザーを結びつけたいというのがプロモーションを行う最大目的である。そのため当初から広く一般女性に向けてメディアを通して情報を発信しようと注力した。JCCAの地道な活動実績の背景が功を奏して、発売後すぐにセブン&アイ出版からムック本の出版が決まった。2013年8月に「女子の骨盤力を上げる『ひめトレ』」が発売され、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどのSNSで盛り上がりが見えてきた。同時に全国で広がる体験会での反響と評価がどんどん広がっていく。そうして、ひめトレの体験者の声が届き、anan2013年10月号特集「女性のカラダに良いもの大賞発表!」で、見事に大賞を受賞するにいたった。 江川さんは、現場での実績やエビデンスがあるからこそ、メディアにも興味を持たれやすいと話す。「骨盤底筋群へのアプローチは、意識がしづらい上に、口頭でイメージを伝えることしかできませんでした。現場で生まれたアイディアが、簡単に、安全に、そして誰にでも同じような効果の出せる再現性のあるツールになりました。しかし、ツールだけでは話題が先行したり、ブームで終わる危険性もあります。その中で、多くの指導者の仲間に協力していただき、様々な力が加わったからこそ、今の結果につながっているのだと思います。これからも、引き続き指導者育成と情報発信とを合わせて進めていきます」度重なる商品改良の末、ベストな形状、素材、工場に辿りついた。歴代のひめトレ体験会を繰り返して開発したひめトレは、期待以上のスピードでユーザーの支持を集めた18March,2014 www.fitnessjob.jp

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