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日本スポーツ振興センター(JSC)http://www.jpnsport.go.jp/五輪をはじめアスリート育成に大きく関わりのある団体。国が考えるスポーツの捉え方を理解することによってトレーナーにビジネスチャンスも生まれやすい要チェック! スポーツドクターでありながら、体育教員として実技指導もした経験を持つ渡會公治さん。整形外科医として臨床に携わりながら、運動の指導者としての経験を活かして、「ロコモ体操」を考案した。ロコモ体操は、2007年に日本整形外科学会がロコモティブシンドローム(運動器症候群)を提唱しと『3つのS』を基本としています。『3つのA』とは、『Anatomy(アナトミー)』『Alignment(アライメント)』『Awareness(アウェアネス)』の頭文字。身体の構造と機能を理解し、適切な姿勢やフォームを理解し、気づきによって自分で修正できることを目指します。『3つのS』は、『Squat(スクワット)』『Stretch(ストレッチ)』『Sebone(背骨)』の頭文字で、この3つの体操を行うことで、しなやかに動く体幹部と、そこから動きを四肢に伝えるような体操を行うことで、 2020年に向けてスポーツに興味を持ち、スポーツを始める子たことを受けて、その提唱者である中村耕三さんとともに渡會さんが開発したもの。外来の患者さんの動きや反応を見ながら生まれた体操で、誰でも無理なく、正しく続けられる内容にまとめられている。渡會さんはロコモ体操についてこう説明する。 「ロコモ体操は『3つのA』『美しく立つ』ことができ、『上手に身体を使う』ことができるようになるというものです」 家でも毎日続けられる主な体操としては、部屋の角を利用して下肢の適切な動きと強さをつくる「コーナースクワット」と、肩甲骨や背骨の関節に柔軟な動きを取り戻せる「肘まる体操」。この2つを行うだけでも、健康寿命を伸ばせるという。 2012年ロコモ体操指導者の養成コースもスタートした。運動指導者を通じて高齢者の生活に浸透させることで健康寿命を伸ばすことに貢献できる可能性が広がる。どもが増えることは確実だ。そこで危惧されるのが、怪我や障害の増加だと渡會さんは話す。その背景には子どもの生活環境の変化がある。 「まだテレビもモバイルゲームもなかった時代、子どもたちの遊びは『外遊び』が中心でしたので、ほとんどの子どもが基礎的な体力を持ち、身体の使い方を知っていました。ですが、昨今の屋内の遊びが浸透するにつれて、運動をする子としない子で体力や運動能力が2極化しています。普段運動する環境がなかった子どもがいきなりスポーツをすれば、当然様々な怪我や障害につながります。また、運動をする子でも、小さい頃からスキル練習が中心になっているケ健康志向が高まり、「上手に身体を使う」「美しく立つ」ロコモ体操浸透へ19予測子どもたちの基礎トレーニングの重要性が高まる20予測コーナースクワットロコモ体操の例肘まる体操①顔を上げ正面を見る②ひざとつま先の向きをそろえる③下腹とおしりに力をいれる④背筋を伸ばす⑤ひざを曲げたとき、ひざがつま先を超えないようにする①右手で右肩の袖口をつかむ②右ひじで丸を描くように後ろから4〜5回まわす③反対方向に4〜5回まわす④左手にかえて、同じ運動アスリートサポート分野にもビジネスチャンス18予測 これまでスポーツの世界は、プロスポーツとして浸透している一部の分野以外は、選手たちのトレーニングやサポートにかけられる予算が限られており、この分野でのトレーニングサービスをビジネスとして捉えることは難しかった。だが、東京五輪開催が決まったことを受けて、アスリートサポート事業の予算は増える可能性が大きい。今後、その予算が、より具体的にどの分野にどのくらい組まれるか着目しておくことによって、どの分野のサービスがビジネスになるかが見えてくる。 アスリートサポートに関する動向は、日本スポーツ振興センター(JSC)や文部科学省との関わりが大きい。こうした動向をいち早くキャッチし、チャンスに変えていくには、同団体や省庁のホームページで最新の情報を手に入れることが欠かせない。 また当然ながら、ジュニア世代の育成は今後必ず脚光を浴びる分野である。学校体育や部活動など、民間サービスがこれまで浸透していない分野にも積極的に働きかけることが将来の選手育成、選手サポート事業新興の第一歩となる。トレーナーとしてできることを広く社会に知って貰える千載一遇のチャンスが訪れている。07東京大学医学部卒業。スポーツ整形外科医。帝京平成大学(スポーツ医学)教授、日本ロコモティブシンドローム研究会メンバー。五輪代表やプロスポーツなど、トップレベルの選手の診察・治療を手がけた経験を生かし、同研究会が提唱する「ロコモ体操」を考案。整形外科医として毎週、帝京大学病院でスポーツ外来を受け持つ傍ら、中高年層向けのロコモ体操教室を開催。一般社団法人美立協会を設立し、この運動の指導者育成にも携わっている。スポーツ整形外科医渡會公治さん 予測16November,2013 www.fitnessjob.jp

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