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戦略的にトレーナーとしての職場環境を創る15予測鑽、およびコミュニケーション力の向上が求められるようになると話す。また、トレーナーとして個性が必要とされるようになるともいう。 「今後、多くのトレーナーがメディアにも登場するようになるでしょう。そこで『○○選手がやっているトレーニング』『○○チームのトレーニング』など、具体的で専門性の高い情報が発信されることで、トレーナーはそうした情報にも敏感でいないと、一般生活者の指導ニーズに沿う指導が提供できず、満足度を高めることが難しくなるでしょう。ただしニーズはあくまでニーズなので、指導に関しては、科学的裏付けのある『ぶれない軸』を身につけておくという前提があってのことです。ただ これまで日本のスポーツチームは一部のプロチームを除いてはトレーニングに関する予算が限られており、五輪選手やチームに帯同するコーチでさえ、その多くはボランティアに極めて近い形で協力している環境にあるという。その条件でもトレーナー活動ができるのは、コーチたちが所属する企業や団体、家族の協力があるからこそだ。 岡田さん自身も、本務の了德寺大学が特別に認める形で、ナショナルチームへの派遣を許可されている。大学側がそれを認めるのは、の流行り物に流されず、信頼を得ないといけませんから」 また、トレーナー需要が増えることで、トレーナーが増え、トレーナー業界が発展すると同時に競争も激しくなることも当然予測される。トレーナーとしての差別化、つまり個性を出していくことも今後必要となっていく。 単に「トレーナー」というだけでは淘汰される時代に入る。「腰痛改善に強いトレーナー」「格闘技に理解が深いストレングストレーナー」「柔道整復師の資格を持つアスレチックトレーナー」など、いかに自身をマーケティングしていくかも、高い顧客満足度を提供できる競争力のあるトレーナーであり続けるうえで欠かせないポイントとなる。そうしたトップレベルのコーチが所属していることで、学生のモチベーションに繋がったり、大学のブランディングにもなるというメリットがあるからだ。また、岡田さんが以前一緒に世界大会に帯同したコーチは、自営で接骨院を経営し後進を育成してきており、そのコーチ本人が接骨院にいなくても運営が続けられる体制を整えていたという。この場合でも、そのコーチがチームに帯同している間、直接的な収入は少なくなるものの、ナショナルチーム帯同の実績を得ることで、運営する接骨院のブラ 日本柔道の男子ナショナルチームの体力トレーニングコーチ、および水球チーム日本代表のアスレチックトレーナー兼体力トレーニングコーチを務める岡田隆さん。2020年の東京五輪が決まったことを受けて「選手はもちろんですが、トレーナーにとっても、一生に一度あるかないかの大舞台を経験することになる。プレッシャーをモチベーションに変えて、相当の勉強と研鑽をつむことが必要」と兜の緒を締める。 岡田さんは、現在大学で教鞭をとりながら、ナショナルチームのトレーナーも務めており、トレーナーを目指して勉強している学生にとっては身近で憧れの存在となっている。トレーナー志望の学生 岡田さんは今後7年間にわたり、今まで以上にトレーニングに関する情報が社会的に浸透し、一般生には「将来はスポーツ現場で働きたい」という希望を持つ人は依然多く、五輪が東京で開催されることは、学生にとっても高いモチベーションで最大の努力ができるまたとない機会と捉えている。 岡田さんが教えている了德寺大学は五輪会場の中心となる有明近くに位置し、そこで学ぶ学生たちも、トレーナーとしてだけでなく、様々な形で五輪に携われるチャンスが広がる。「それぞれの立場で、この貴重な機会をモチベーションに変えて、自身を成長させて成果に繋げることが重要」とナショナルチームのトレーニングを預かる自身にも言い聞かせるように話している。活者の知識がさらに高まることから、一般生活者に向けたトレーニングにおいても、相当の勉強と研最高のモチベーションで、自身を成長させるチャンス13予測トレーニング指導における顧客満足のハードルが上がる14予測東京五輪以降(2020年~)公共スポーツ施設や地域スポーツの活性化12予測 東京五輪の開催が近づくにつれて、スポーツ関連の情報やイベントが大幅に増加することが予想され、年齢やレベルを問わず一般の多くの人がスポーツに関心をもつようになることが予想される。公共スポーツに関連する予算についても議会の承認が得られやすい環境となり、全国各地の公共スポーツ施設の拡充も期待される。1964年の東京五輪時に会場として新設された国立競技場や霞ヶ丘競技場、西が丘競技場などは、五輪終了後に一般開放されている。そこに指導者のニーズが生じ、それをみてほかの公共施設も同調していった傾向がみられた。公共スポーツ施設では、指定管理者制度によって民間の運営会社が入札によって管理業務を獲得するが、公共ニング指導者、アスレティックトレーナー、栄養の専門家、メンタルの専門家、映像分析の専門家、試合分析のアナリストなどです。この事業はすでにスタートしていますが、東京での五輪開催の決定を受けて、予算や活動の規模は拡大する方向に進むでしょう 」 この事業のスタッフをは、国立科学スポーツセンターの公式サイトにて随時公募情報が公開されるという。こうした情報をチェックしておくことで、実際に〝チームニッポン”をサポートできるチャンスが広がる。スポーツ施設関連の予算が拡大すれば、民間会社にもチャンスとなる。 有賀さんは、もうひとつ期待されることとして、これまでに文科省が取り組んできた『総合型地域スポーツクラブ』の活性化を挙げる。幅広い年齢の人達が、どんなレベルでもさまざまなスポーツに参加できる機会として、地域独自にNPO法人を立ち上げて運営するもの。 「その盛り上がりはこれまで十分とは言えないものでした。2020年の東京五輪までのスポーツへの追い風が、五輪後の総合型地域スポーツクラブの振興につながれば、フィットネス指導者が活動する受け皿も一気に拡大する可能性があるでしょう」 一方、日本での五輪開催が数年後に迫った頃には、トップアスリートやその予備軍において、これまで以上に五輪出場へのモチベーションが高まり、「マンツーマンでトレーニングをやってほしい」というケースが増えることが予想される。こうした機会に対応するためには、いかなる競技にも対応できる指導能力を高めておくことが必要だが、トップ選手やスポーツ関係者との接点をいかに確保するかも大切だといえる。05了德寺大学 健康科学部 准教授 。日本体育大学大学院修了後、東京大学大学院単位取得退学。専門領域はトレーニング科学、アスティックリハビリテーション。全日本柔道連盟男子ナショルチームの総務コーチ(トレーニング担当)、水球日本代表チームトレーナーとして、国際大会へのトレーナー帯同実績も多数ある。2012年より井上康生監督が率いる柔道日本代表チームに招聘され科学的トレーニングよって日本の再建一翼を担っている。著書に「体幹トレーニング・メソッド コア本当の鍛え方」をはじめ著書、メディア出演も多数。全日本柔道連盟男子ナショナルチーム総務コーチ岡田隆さん 予測14November,2013 www.fitnessjob.jp
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