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大まかな目標を把握するのみで、トレーニングの大切さを体感してもらうコミュニケーションを大事にする。体のバランスをしっかりと見る。クライアントが継続するために黒井正子さんがやっていること超人気パーソナルトレーナーがやっていること康になったと実感できているクライアントが、長く継続している。中には体重が1kg増えても、服のサイズが13号から9号になったというクライアントもいる。隠れ肥満が改善されたり、体のバランスが良くなったりした結果だ。 彼女自身も毎日何人ものクライアントのセッションをしているうちに、相手が悩みを言うだけでどこに問題があるかわかるようになってきた。悩みに耳を傾けながらストレッチやトレーニングをして、筋肉の固さやどの筋肉が動いて、どこが動いていないかを確認し、立ち姿を見ることで全体のボディバランスもチェックしながらアドバイスする。それによって、客観的に自分の状態を知り、改善させる努力を続けるようになる。時にはクライアントから教えられることもある 黒井さんは短大の服飾科を卒業後、1年ほど旅行会社に就職した。体調を崩して旅行会社を辞めた後、縁あってセントラルスポーツに入社。同期は元国体選手などの体育会系出身者ばかりで、10分走っただけで息切れしているのは彼女ぐらいだったという。だが、この入社後のトレーニつことで情報収集ができる。異年齢の方や趣味や指向の全然違う方とも自然に広く浅く色々な話題を楽しめるようになったという。 「ありがたいことに私のクライアントは人として尊敬できる方ばかりで、アドバイスをいただくこともたくさんあります。おかげで私は勉強させていただいています。トレーニング以外のことで、わからないことは素直に聞くようにしていますが、会話の幅が広がって多くの学びを得ています」 最近は、若い世代のトレーナーに向けた勉強会をすることも増えてきたという。さまざまなアドバイスをする中で、基本は「酒を飲みに行こう」というのが前提だと笑うが、実はここにコミュニケーションを学ぶ大きなチャンスがある。 「若い世代の人たちはもっと勉強すれば、もっと資格を取ればと考えている人もいますが、伸ばすべきはそこだけではありません。お酒の場で楽しく過ごすことでコミュニケーション能力を高めることも大事で、そういう時間を作りなさいと言うようにしています。私は知識として持っているものは少ないけれど、今までそこを大事にしてきたから、この仕事を続けられてきました」 また、彼女にはもう一つの肩書がある。「押し花アーティスト」。結婚式でもらったブーケを保存したくて習い始めたのがきっかけだというが、まったく別世界の二足のわらじをどうやって履きこなしているのだろうか。 「どちらも大事なのはバランスです。押し花も空間や色のバランスによって構成されているし、人間の体もバランスよく維持することが大事。バランスが取れることで美しさを引き出せるのが何より楽しいんです」ングで、自分の体が良い変化をしていることを実感した。この時代にパーソナルトレーナー養成講座を社内研修で受講し、ペアストレッチやダイエット、機能改善などの有料プログラムを受け持つことになった。 その後、結婚でいったん退くが、32歳の時に交通事故に遭い、また離婚という人生の節目を迎える。 「交通事故で1年ほどリハビリをしてから、プールでのアルバイトを始めました。そのころ、パーソナルトレーナーの募集があったので、応募して採用されましたが、ジムの道具がかつてのものとは全然違っていて、昔の記憶と知識だけではだめだと思い、パーソナルトレーナーとして勉強し直しました」 そのときの縁で、現在のクラブに移籍することとなった。移籍後は彼女自身も社員だった経験があることやアットホームな雰囲気から、ついスタッフの仕事を手伝ってしまうと微笑む。以前から、コミュニケーションがイコール信用だと考えていた彼女にとって、こうした行為も周囲との関係をスムーズにしていくことに役立った。 伝えたいメッセージを相手に明確に受け取ってもらうには、コミュニケーションがカギとなる。「実はコミュニケーションが苦手」という黒井さんだが、旅行会社勤務の時代に鍛えられた。また、興味があれば色々な経験を積んだり、人との交流を持その日の様子を観察することでコンディションを知る 黒井正子さんがセッションで大切にしていることは、その方の日々のコンディションやニーズにどれだけ近いものが提供できるかだと語る。 「最初のカウンセリングで年齢や危険因子などの必要最低限のことはお聞きしますが、それ以上は聞きません。セッション開始後も、何を何回何セットしたというデータは記録しません。体調には波がありますので、その日の声のトーンや雰囲気などに注意しながらコンディションに気を配ります。一般的なクライアントはアスリートと違い、トレーニングの目標を数値のみに設定していません。気持ちよく汗を流したいとか、痛む膝が楽になることを望んでいる方のために日ごろからできることやトレーニングでできることをお伝えしています。トレーニングとは一生かかわっていくことが大切だということを実感していただくのがいいと思います」 そのためにも、クライアントの要望にトレーニングの面からどれだけ寄り添えるかが重要だと考えている。続けていくことで気持がいいと体感してもらい、気付いたら以前より健コミュニケーション能力を高めることはとても重要September,2013 www.fitnessjob.jp13

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