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田畑泉教授立命館大学スポーツ健康科学部 1980年 東京大学大学院教育学部卒業後、同大学院教育学研究科体育学を専攻、鹿屋体育大学体育学部助手を経て、文部省在外研究員として米国ワシントン大学医学部、博士(教育学)取得。1992年国立健康・栄養研究所に入所し、2003年より健康増進研究所長、2010年より現職。厚生労働省運動所要量ワーキンググループ座長のほか、運動所要量・運動指針の策定検討委員会、日本人の栄養所要量―食事摂取基準-策定委員会等の委員を務める。専門は運動生理学。お話を訊いた方エビデンスがある内容はオールアウトまで追い込む相当にキツい内容で、「トレーニング自体は4分間で終わるものの、その後、20分立てない」ほど。そのため、20秒の高強度運動の部分は、基本的には固定バイクを利用することで、ケガなどのリスクを回避している。 一方、今広がりを見せているタバタトレーニングには、この20秒の高強度運動部分に、実に様々なトレーニング要素が盛り込まれるようになっている。もともとサーキットトレーニングはアスリートの間では広く活用されるトレーニング手法で、通常競技特性に合わせて、高強度部分の動きの種類や、インターバルの長さも決められる。これがフィットネス分野に応用される過程の中では、ここ数年注目が集まるファンクショナルムーブメントを中心にした自重のトレーニング種目や、世界的に広がりを見せるクロスフィットでもタバタプロトコルが採用されていることで、クロスフィットで利用されるウェイトリフティング系の動きやプライオメトリクス系の動きも採り入れられるようになってきている。 田畑教授は、こうした動きを非常に寛容にとらえ、自身が受け持つ立命館大学での授業の中でも「自分なりのタバタトレーニングを考案してYoutubeに投稿すること」を宿題にし、クラスの中で最もユニークなプログラムを表彰するといったこともしているという。 このたび英国で商品化される「タバタトレーニングプロトコル」では、高強度運動部分は、ファンクショナルムーブメントを活用した全身運動で、ボディメイクも意識した動きが採り入れられている。 プログラムのブランディングも含めた、全体的なプロモーションプランは、ユニバーサルスタジオインターナショナルで18名のチームのプロジェクトとして進められており、既に、「田畑」という漢字をアレンジしたロゴも完成。世界的なHIITブームに乗って、このプログラムが、そしてトレーニングやフィットネスをする習慣が広がることに期待をかける。 「将来的には、京都でタバタトレーニングプロトコルの世界大会も開催したいと思います。日本発祥のプログラムとして、世界の人が日本に目を向けることで、日本の文化を紹介したり、日本を訪れてくれることにも繋げられたらと思います。それにより、日本のトレーニング業界はもとより、日本経済にも貢献できることに繋げられると期待しています」多くの人が『タバタトレーニング』を採り入れるようになったのです」 一人歩きを続けた『タバタプロトコル』 だが、この後現在に至るまで田畑教授は、この『タバタプロトコル』について語ることは控えてきた。というのも、「タバタトレーニング」の本来のエビデンスは酸素摂取量や最大酸素借(無酸素性エネルギー供給量)を高める部分であり、フィットネストレーナーたちが注目した「脂肪燃焼」ではない。ネットの効果もあって、世界のトレーナーたちがノウハウを共有し合ううちに、20秒・10秒というインターバルのプロトコル自体も、運動の強度設定も本来研究で証明された内容とはかけ離れていく。ただ、今回晴れて「タバタトレーニングプロトコル」の開発に協力することにしたのは、この商品が世界的なコンテンツ企業により商品化されて、多くの人の注目が集まることで、フィットネスやトレーニング人口を増やすことに繋がると考えたからだという。 ユニバーサルピクチャーズインターナショナルとの契約は立命館大学として行い、田畑教授はひとつの象徴としてプログラムの監修はするものの、プログラムの開発や指導者の教育などは、現地イギリスのトップトレーナーが行っている。リナックスのように世界のトレーナーが開発に参加 タバタトレーニングは、前出のとおり本来は「20秒の高強度運動と10秒のインターバルを8セット」の4分間で終わるトレーニングである。強度設定も論文で20July,2013 www.fitnessjob.jp

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