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HIITの導入法High Intensity Interval Training[ハイ インテンシティ インターバル トレーニング]る人の中には最大心拍数の80%超でATラインがくる人もいる。つまり鍛えれば、ATラインが上がっていくわけです。すなわち、HIITでの効果を追求するには、自分の、またはクライアントのATラインを把握し、それ以上の強度設定が必要になります。さらに強度設定は、通常、最大心拍数を100%として設定しますが、この最大心拍数は一般的には、「220-年齢=最大心拍数」。ただし、同じ年齢でも人によって最大心拍数は異なります(前述の数式よりも高い人もいれば低い人もいる)。そう考えると○%という一律の設定では相応の効果は見込めないということです」 齊藤さんは、実際のトレーニング現場では、〝きつくて話し続けられない状況〟を目安に、その時の心拍数をATラインとして強度の設定をしているという。初心者のためのHIITは、無理なく楽しく 根強いマラソンブームで、大会に出る人が増える中、なかなかタイムが伸びない人も多い。そうした人にもHIITが有効だという。 「まず、有酸素系のトレーニングとして、最大心拍数の60%くらいからスタートし、70%、75%、80%とあげてATラインを見極めます。そのうえで、最初は強度設定の幅を小さめにインターバルの練習をしていきます。例えば70%の1分走と60%の2分走を組み合わせる。慣れてきたら、強度設定の幅を少し広げて80%で1分走った後に、わせてトレーナーはプログラムを細かく作る必要があるでしょう」 齊藤さんは、キツさが伴う運動だからこそ、グループ練習の時にHIITを採り入れるようにしているという。一人でのトレーニングでは得られないACSMも高強度トレーニングに注目 「日本のフィトネス界には、もともと高強度な運動は危険だというイメージが定着しています。レジスタンストレーニングでも、できるだけ強度は低く、ゆっくりというのが主流ですね。それに関連する研究成果からまずはお話ししましょう」 トレーニング指導者の教育やトレー60%で3分走るなど。徐々に無酸素系のエネルギーシステムを活用できるようになることで、それまでは苦しくなって長く走れなかった速いペースでも楽に走れるエネルギーシステムを身につけることができるのです」 ランナー以外の一般生活者の場合、走るだけではモチベーションが保てない人も多いのが現状だ。いかに楽しみながら強度をあげられるか。そこにトレーナーのアイデアが活かされる。 例えば、小さなスタジオくらいのエリアで、お尻にヒモをつけて、“しっぽ取り〟を30秒間やって、休むという設定などはゲーム感覚で楽しく取り組めます。また、いくつかのステーションを作って、シャドーボクシングや、縄跳びなど、好きな運動でサーキットを作るといった具合。対象者や目的に合わせてHIITは無限に作り出せることも、今HIITが急速に広がる要因にあると言える。 最後に、初心者向けにHIITを導入する場合の注意点として、高強度と低強度の時間配分にも注意する必要があることを加える。 「一般生活者の場合、高強度運動:低強度運動の比率を、最初は1:3(例えば30秒:90秒)や1:4くらいから始め、これを5~10セット行うことからスタートするといいですね。高強度の運動により乳酸がでて、乳酸がたまることでキツさを感じるため、最初は、運動中に乳酸を除去できる時間を設けておくのです。これはトレーニングを続けるに従って1:1でも乳酸を除去できるようになります。一般の方でも目的があると思うので、その目的に合効果が、グループHIITなら得られる。そうした図式が実現できることで、HIITは日本のフィットネスシーンにも価値あるものとして受け入れられるに違いない。ニングプログラムの研究・開発を行っている菅野昌明さんは、これまでのフィットネスプログラムに疑問を投げかけつつ、HIITの可能性について解説する。 「まず、レジスタンストレーニングで伝統的に行われているゆっくりな動きについて。この手法は筋肥大や筋力の獲得には有効です。しかし、日常生活動作は速い動きで行われることがあります。そこで、私は高齢者に自体重負一般生活者にも有効なHIITの可能性 菅野昌明齊藤邦秀さんNESTA JAPAN副代表/理事。「ライフスタイルコーチング」の理念を掲げ、在宅パーソナル指導、ランニングサークル・ダイエットスクールへのアドバイザー、後進の育成、教育コンサルティング、ITフィットネスをはじめとしたプログラム開発など、パーソナルトレーナとしての知識を活用し広い分野で活動。お話を訊いた方July,2013 www.fitnessjob.jp11
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