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武田淳也さん形外科医、日本ピラティス研究会会長、医療法人明和会スポーツ・栄養クリニック院長。ポールスターピラティス®・コンプリヘンシブ・エデュケーター。ジョセフ・ピラティス氏の著書『Return to Life Through Contrology ~リターン・トゥー・ライフ』(現代書林刊)の翻訳監修・編著者でもある。福岡と東京・代官山の「ピラティス・ラボ」、ストレッチ&コンディショニング「Dr.Plus」を経営お話を訊いた方提供できる認定システムも整えた。武田さんは将来展望をこう話す。 「今後、自治体での指導や、企業フィットネス、幼稚園や学校でも採り入れて貰えるものにしていきたいと考えています。ピラティスが目指した、よりよい社会の実現のための一助になればと考えています」ピラティスの信頼性と分かりやすさを高める 武田さんは、こうした草の根的な活動の一方で、ピラティスの専門性の高さを啓発する動きも確実に進めている。 一つには、日本のメディカル分野でのピラティスの啓発がある。武田さんはこれまでもドクター向けの学会でピラティスの効果を共有。医療従事者向けのコースも持つポールスターピラティスの特色を活かして、ドクターや理学療法士にも積極的に認定コースを紹介、コースの参加者や見学者も年々増えている。「認定ピラティス医」制定への準備も進めている。 資格認定の分野では、国際的なピラティス協会であるPMAの資格が、NCAA(米国において資格認定の価値を認定する第3者機関)に認められたことを受け、武田さんを中心に、日本語でPMA認定資格試験が受けられる環境を準備している。これが実現すると、現在NSCAやNESTAのように、国際機関に認められた資格としてピラティスが位置づけられるようになり、指導者としてさらに信頼を高められることになる。 さらに、武田さんはピラティスメソッドにも活用できる、新たなプログラムの日本導入も積極的に進めている。 一つには、立位でのエクササイズでピラティスメソッドを活用しやすくする新しいエクイップメント「コアアると考えている。 「ピラティスの生みの親であるジョセフ・ピラティスが目指したのは、自分の身体の使い方を、一人ひとりに知ってもらうことです。心も身体も含めて、一人ひとりが自分の扱い方を知り、自分を大切にできるようになることで、世界がより良くなると考えていたのです。決して『ピラティス』というトレーニングメソッドを広げようとしていたわけではないのです。ピラティスやフィットネスに携わる人には、まずここに立ち戻って、ピラティスを捉え直すことが必要だと感じます」「自分のカラダの使い方を知り、大切にする」という原点を伝える 武田さんはこの考え方に基づき、「カラダ取説®」というコースを開発、既に2年間定期的に提供してきている。ピラティスの根底にある考え方と、整形外科医としての経験の中から日本人が自分のカラダの基本的な使い方を知るうえで優先順位の高い内容を80分間×全8回のコースとしてまとめたもの。基本的な内容からわかりやすく学べるとして、当初参加者は一般生活者が中心だったが、最近はピラティスインストラクターや理学療法士、ドクターなどが増えている。武田さんは「ピラティス」という言葉が浸透した今だからこそ、プロからのニーズが増えていると分析する。 「『ピラティスってどんなもの?』と聞かれる機会が増える一方で、すぐに答えられる人はまだ少ないのが現状だと思います。実際に体幹トレーニングの一種としか認識していないフィットネス指導者も少なくない。ピラティスインストラクターとして認定をとり、その良さを多くの人に伝えたいと思っている人でさえ、ピラティスのテクニックを伝えることに走ってしまう方もいる。上手く自分のお客様にピラティスの良さを伝えきれていないと感じる人も多いのではないでしょうか。『ピラティスとは、カラダの取り扱い説明書』と捉えることで、かなり本質に近いイメージでピラティスを捉えてもらうことができるようになる。さらに、カラダの使い方を確実に教えられるようになることで、フィットネスやトレーニングの効果も高められますし、安全に行えることで、長く続けていただけることに繋げられるのです」 武田さんはこの「カラダ取説®」をより多くの指導者が提供できるようになることが将来のフィットネス業界の発展に繋がると考え、この内容をマニュアルにまとめ、指導者が習得しやすい体制を整えている。また、同コースを2回以上アシスタントすることで、自身でも「カラダ取説®」のコースが世界のどの国よりも日本の生活者に求められている 「ピラティスの広がり方は、アメリカやヨーロッパと同じである必要はないと思っています。世界一の超高齢化社会という特異な環境の日本では、ピラティスは世界のどの国よりも生活者の方々に求められているのです」 こう断言するのは、整形外科医であり、ポールスターピラティス®エデュケーターとして、日本でのピラティスティーチャーの育成やピラティスの啓発にあたる武田淳也さん。高齢化する社会の中では、フィットネスを啓発するほどリスクが高まる。年齢を重ねれば身体の組織が弱ることは自然な摂理であるからだ。だからこそ、基本的なカラダの使い方が学べるピラティスの価値は、今後日本の社会の中で、また、フィットネス業界にとっても益々高まピラティスティーチャーに訊く、ピラティスの今とこれからJune,2013 www.fitnessjob.jp17

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