NEXT74号
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「最初は本当に何もわかりませんでした。お客さまがどこにいるもかもわからなければ、売り方もわからない。でも、商品を探して、見つけて、それに値段をつけて販売するというプロセスがすごく面白かったんです。自分で決めることの楽しさを知りました。そのためにいろいろなことを学びましたね。ものすごくたいへんでしたけど、楽しさのほうが大きかったです。このころから、いつか独立したいと思うようになりました」 さらに、その後は社内で開発したプログラムの販売も始め、少しずつ部署が拡大していった。 酒井さん自身は、その後、クラブ運営や法人営業を経験。その間に、同社と株式会社ティップネスが事業統合する。その後、再び同部署に異動するが、2004年、同社はソフト販売の事業から撤退することになる。 撤退が決まって、同部署の責任者だった酒井さんがまず考えたのは、これまでマシンやプログラムを提供していたクラブのことだった。そして、会社と話し合い、部署ごと株式会社プレシジョンジャパンに移行することが決まった。 部署の存続が決まったものの、商品であるプログラムは持ち出すことができない。よいプログラムがないかと探していたところ、株式会社文教センターの高田香代子さんからラディカルフィットネスの情報を得た。技術的に信頼できる創始者と、魅力的なプログラム。「必ず日本でも人気が出る」。そう確信した酒井さんは、アルゼンチンにあるラディカルフィットネス本部と契約することに決めた。 本国にあるプログラムのうち、まずは「ファイドウ」「ラディカルパワー」、その後「リトミクス」を展開。順調に導入店舗を増やしていった。しかし、ここでまた新たな分岐点が訪れる。会社の合併が決まり、プログラム部門からは撤退することが決まったのだ。 そして、酒井さんはラディカルフィットネスの日本代理店として独立した。2007年のことである。 事業譲渡というかたちで独立を果たした株式会社プライムエデュケーションは、すでにお客さまもおり、順調にスタートした。しかし、その数ヶ月後、予期せぬできごとが起こる。プログラムのひとつ「リトミクス」が、アルゼンチン本国でラディカルフィットネスと分裂してしまったのだ。さまざまな対応策を考えたが、本国が分裂した以上日本代理店も分けざるを得なくなり、社員のひとりだった桑原裕子さんに「リトミクス」を譲渡した。現在リトミクスは株式会社カリテスの扱いのもとリトモスと商標を変更し、ダンスプログラムの中核をなしている。酒井さんは当時を振り返ってこう語る。「これは、今振り返っても、独立してからの6年間で一番厳しい出来事でした。リトモスだけでもすでにかなりのお客さまがいましたから、それが全部なくなってしまうのは経営的にも痛手でした。本国で何かあればどうすることもできないのだと実感しました。設立1年目でそれがわかったことは、今考えればよかったのかもしれません」 また、このころから日本でプレコリオプログラムが注目され、同時に競争環境も激化。そのなかで、「教育」と「フリースタイルを取り入れられるプログラムの自由度の高さ」を強みとして展開。順調に導入店舗を増やしてきている。 酒井さんが今一番やりがいを感じるのは「教育したインストラクターがお客さまやクラブのスタッフから評価されたとき」、そして「お客さまが楽しそうにラディカルのプログラムに参加しているとき」と言う。各地で行われているイベントには酒井さんも積極的に参加。そこで見るインストラクターの頑張りやお客さまの笑顔が、酒井さんの原動力だ。 当初2種類だったプログラムも現在は10種類となり、本国に追いついた。2009年にはスタジオも開設し、これから企業としても第2ステージに突入する。「インストラクターの研修や機材調達の面から、徐々にプログラムを増やしていきました。今まではそちらに注力していましたが、昨年ですべてそろいました。今年からは新たなことにチャレンジしていきたいと思っています」 その新たなこととは、インストラクターの教育システムを構築することである。「ラディカルのプログラムに限らず、フィットネスクラブの、特にスタジオレッスン全体の人材マネジメントを行っていきたいと考えています。アメリカなどでは、各クラブで研修を行うことは少なく、共通した教育システムがあります。中小のフィットネスクラブが人材育成の機能をもたなくていいような、教育システムをつくりたいですね」 すでに、一部のフィットネスクラブに対してはスタジオプログラムのインストラクターのマネジメントを行っている。インストラクターの教育に注力してきた同社ならではのビジネスである。「いつの日かフィットネスクラブをつくりたい。それが、ずっと思い描いている、最終的な大きな夢です」 これまで着実にステップアップしてきている酒井さん。必ずやこれを実現することだろう。ミーティングを行い、社員とビジョンを共有03IRの頑張りとお客さまの笑顔が原動力04教育システムを構築IRをマネジメントラディカルフィットネス2004年ナザニエル・レイバス、ガブリエラ・レイバス夫妻によってアルゼンチンで設立。本拠地のアルゼンチンを始め、ヨーロッパ、オセアニア、南米などで約1万人のオフィシャルトレーナーが活動している。プログラムは全てプレコリオグラフィーで構成されるが、メンバーの変化に対応するため、またトレーナーの創造力やキャラクターを最大限に引き出すために、フリースタイルを取り入れることができる。Product02ラディカルフィットネスとの出合い、独立所在地 〒103-0014 東京都中央区日本橋蠣殻町1-11-3 中銀マンシオン1FTel 03-6410-7990webサイト http://www.prime-e.jp設立 2007年5月資本金 600万円組織 6名収支構造 【売上】ライセンス許諾販売、インストラクター研修、 フィットネス機器・備品・グッズ・ウェア輸入販売、CD・DVD輸入販売 など 【経費】人件費、スタジオ運営費 などMay,2013 www.fitnessjob.jp29Organization Data株式会社プライムエデュケーション
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