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『Life is beautiful』出会った人の人生を少しでも美しくするお手伝いをしたい。―Hinohara8April,2013 www.fitnessjob.jp役者として体力作りから始めたジム通い 東京・浅草と浅草橋に2店舗ある『加圧スタジオ Lib』は、スタイリッシュで、洗練された空間ながら、不思議な細工がある。トレーニングを行う場所が、小上がり、つまり一段上がっているのだ。「ここは舞台、という意味を込めて作りました。お客様にもスタッフも非日常的な気持ちでトレーニングをしてほしい」という代表、兼トレーナーの日野原大輔さん。こんな発想をする彼、ちょっと変わっているが、じつは、役者という肩書きも持っている。 「売れない役者ですよ」という屈託のない笑顔。日野原さんは、初めて会った瞬間からこの笑顔で、緊張をほぐしてくれる。おそらく、彼自身が相手のいろいろな感情をすぐに察知する能力に長けているのだろう。 「中学・高校と野球部に所属していましたが、高校は強豪校で、同級生との実力の差を思い知らされて、挫折(笑)。情けなかったですね」 それでも、大学で演劇部に入って演じることに夢中になった。人を笑わせること、喜ばせること、感動させること。役者になろう。自分の天性の職業だと思ったという。しかし御多分にもれず卒業後は貧乏役者生活に突入する。 「年4回程度の舞台では、時間はかかるわ、稼げないわ。ですから、配送業のアルバイトをしていたんです。そのころ、尊敬する演出家から、『役者は体力が必要だから、お前はまずは体を作れ』と言われて。それでジムに行き始めたんです。当時はトレーニング理論なんてものは微塵も知らず、ただ生卵2個と納豆を口に流し込んで、ベンチプレスを続ける日々。でも本当に貧乏だったので、1万円の会費がきつくて。ジムでバイトをすればタダで施設が使えると聞き、これだ! と思ったんです」 24歳からは、配送業のバイト、トレーニング、そして夜8時からジムのアルバイトの掛け持ちを始めた。でも、じつはトレーナーという職業にはまったく興味がなかった。ひたすら役者として体を鍛えたかった。 ところが、この考えが一変する。役者の前に、トレーナーの仕事を全うしようという決意 「あるときジムのチーフにボディパンプのインストラクターをやらないかと言われたんです。それまでもグループレッスンを担当しないかといわれていましたが、芝居の稽古などで代行を出さなくてはならなくなることもあるので、断っていました。でも、そのときのチーフが代行はなんとかするから、と後押ししてくれたんです。 ボディパンプを始めてから、トレーナーという職業が少しずつ楽しくなりました。さらに2002年にはパーソナルトレーナーの試験を受けて合格。ひのはら・だいすけ 1976年千葉県出身。株式会社image of life 代表取締役。ルネサンスでのパーソナルトレーナー活動を経て、2010年に浅草橋に『加圧スタジオLib』1号店をオープン。11年には浅草に2号店、12年には浅草橋に女性限定サロン『PRINCESS SMILE』をオープンさせた。日野原大輔さん(36歳)トレーナー部門 最優秀賞TRAINERトレーナー部門写真/長塚健
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