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April,2013 www.fitnessjob.jp27一つあったという。 「養護学校とはいえ、期末になると生徒を評価しなければいけないんです。掛け算や割り算が出来るようになったとか、学校での生活態度が悪いなどを段階評定する普通の学校の評価のようにはいきません。正直、特別な支援が必要な子の場合、成長スピードにかなりの個人差があるので、評価する事が本当に正しい行為なのか思い悩みました。この事については、教員の間でもしばしば議論になりましたが、明確な答えは出せずじまいのまま、退職という道を選びました」 何事も突き詰めて考えてしまうという金濱さん。考え苦しんだ末の退職、難しい決断であった事は、察するに余りある。しかし、時をほぼ同じくして、エアロビクスの楽しさ、おもしろさに引き寄せられている自分がいたという。 「もともとフィットネスクラブには通っていたのですが、エアロビクスのクラスに頻繁に参加するようになり、自分が求めている集団指導はこれだと思いました」 金濱さんが求めていた集団指導の形とは、指導する側と指導を受ける側、双方が求めている事が明確に一致している形だという。エアロビクスは集団で行うからこそ楽しさや面白さが増幅されるが、養護学校の場合はそれとは全く反対。本来個別に指導できた方が子供達の自立の手助けを出来る事は間違いないのだが、集団という形でしか指導する事ができないもどかしさが募っていたという。退職の際には父親の強い反対もあったというが、フィットネス指導に対する思いを論理立ててぶつける事で理解を求め、エアロビクスのインストラクター養成コースへの 「大学卒業後は、『養護学校』の教員になると決め、教員免許が取れる学部を選んで受験しました」 小さい時から漠然と学校の先生への憧れを持っていたという金濱さんだが、当時高校生だった彼女が、なぜ〝養護学校〟の教員を目指したのか。その理由を聞いてみた。 「障害を持った子どもの純粋さ、素直さが好きだったというのが一番の理由です。そして、その子どもたちの自立活動の手助けをしてあげたいと思いました」 彼女が「養護学校」の教員を目指した理由はこれだけではない。 「教科書の内容を伝える事が中心の通常教育よりも、生きていくために必要な術、つまり、自分が実際に経験してきて身に付いたことなら、自分にも自信や根拠をもって教育ができる、と思ったからです」 しかし、4年ほど養護学校で教員として働き多くの事が分かるにつれ、やりきれないジレンマに苛まれてていったという。 「養護学校で私が受け持っていた6~12歳の生徒には、脳性麻痺、肢体不自由など、難病を患っている子ども達ばかりで、その大抵が言葉を発する事ができないですし、うまく感情表現をすることもできません。いつの日からか、この子たちの求めているものは何だろう?私にはこの子たちの気持ちに本当に応えてあげられているのだろうか?と考えるようになり、考えれば考えるほど、養護学校での集団指導の難しさに直面し、迷いが出てきました」 特別な支援が必要な子ども達への集団指導に限界を感じてきたという金濱さんだが、退職を決意する理由はもう積極的にインストラクターとしてのキャリアを築くべく、貪欲に仕事に勉強に取り組んでいる。 「昔から学ぶことが好きで、興味があるものに対してはどんどん突き詰めて勉強し、チャレンジしたいと思うんです」 勉強嫌いな私からすると、「学ぶ事が好き」と言える人は尊敬に値するが、金濱さんは大学受験の時に既に就職先を決めて大学を受験したという。入学を認めてもらった。 「父親は元々教員になりたかったらしいのですが、経済的な理由で断念したという事をこの時はじめて聞かされました。おそらく、その夢を私に重ねていたんでしょうね。だから、余計に反対されたんだと思います」 今では、お父様も応援してくれていると言うが、金濱さんの今後の活動についての展望を聞いてみた。 「今はまだ引き出しを増やし貯める時期だと思っていますが、将来的にはまた教育する側の立場になれれば嬉しいです。ただ、強制力のある教育ではなく、参加者個々に考える事を促せるような教育現場に携わりたいと考えています」 自分で考え、道を切り拓いてきた金濱さんらしい答えだ。取材後半に入ると本当にインストラクター歴5年なのかと思わせる風格と、この仕事を真摯に捉えている様が言葉の端々から伝わってきた。そんな金濱さんにフィットネスクラブ業界について何か思う事はないか聞いたところ、期待通りしっかり考えている意見が聞けた。 「私がこんな事を言うのはおこがましいですが、フィットネスクラブはどっちつかずな気がしてなりません。ターゲット、施策などをもっと絞り込んで打ち出していくことで、お客様が本当は何を望んでいるかが見えてくるのではないでしょうか」 養護学校というやるべきことが明確で、且つ、責任度の高い環境で教員キャリアを積んできた金濱さんらしい答えだ。人生にしてもビジネスにしても、短・中・長期的なビジョンを描く事はキャリアを積む上での道しるべとなる。その時に成功している例、流行を取り入れる事は一時的には成果が上がるが、一本の軸の上に成り立った計画や施策でなければ、その場凌ぎの数字合わせにしかならない。金濱さんの言う、〝どっちつかず〟というのは、おそらく自分の人生にも重ね合わせた率直な意見なのだろうと、その表情から感じ取れた。今後は、参加してくれたお客様一人一人が高いレベルで満足して頂けるクラスを提供したいという金濱さん。5年後、彼女のキャリアが10年を超える頃、フィットネス業界に今までにない何か大きなムーブメントを作り出してくれている事を期待し、今回の章を終わりたいと思う。有限会社スポーツゲイト代表取締役社長有限会社スポーツゲイトホームページURL:http://www.sportsgate.co.jp個人BLOG:http://ameblo.jp/sportsgate2001/取材後記養護学校という、責任度の高い環境で教員経験のある金濱さんの言葉には、重みと深みを感じた。奇しくも、この4月から、私が代表を務める(有)スポーツゲイトでも、特別な支援や介護を行う施設での運動指導業務を受託する。フィットネスインストラクターの指導技術、知識を発揮できる市場が増える事は非常に良い事だが、その流れとは反対にフィットネスクラブは提供する健康プログラムの内容と質を突き詰めて考える必要性があると感じている。取材の中で金濱さんが言っていた〝どっちつかず〟という言葉。実は私自身が一番「ドキッ」とさせられた一言であったことは言うまでもない。INTERVIEWER 丸山 寛

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