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トレーナートレーナー育成・派遣コンディショニングルーム受託運営※会社設立後のグラフは収入の割合で表示していますトレーナー市場の拡大目指して事業を構築西原正成 さん株式会社リアルフィジカルトレーナーズ代表取締役。大学時代のアメフトによる怪我をきっかけに「パーソナルトレーニング」に興味を持ち、海外に渡るなどしてトレーニングを学ぶ。帰国後、NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)の資格を取得し、ティップネス池袋店オープニングスタッフを経てフリーに。2003年1月「リアルフィジカルトレーナーズ」を創業。大手フィットネスクラブへのトレーナー派遣をメインに事業拡張。現在所属トレーナー30名を超える大手スポーツトレーナー会社へと成長させている。数字で課題を特定し、改善への選択肢を探る 「売上=単価×顧客数×利用頻度・リピート率」 「経費=家賃+人件費+諸経費」 たとえば、マイクロジムの経営は、このような数字に分解できる。この構造を理解して、どこが問題なのか、どこを改善するのが全体の成長に繋げられるのかを見つけることが大切。 フィットネスクラブの仕事は、歩合給であるため単価は低いが、顧客数は高めやすい。一方で、自クラブや出張でトレーニングを提供する場合、高い単価設定が可能だが、顧客数と利用頻度が維持できなければ全体の売上は下がってしまうことになる。 利益を出すうえでは、経費にも目を向けることが重要だ。西原さんは、日本でフィットネスやトレーニングが浸透しにくい理由として、インフラコストが高いことを課題と捉えている。将来的にパーソナルトレーニング市場の拡大や、トレーナーの育成を目指すうえでは、この点についても改善への選択肢を探り、行動していくことが重要と考えている。「総合フィットネスクラブでは、家賃や水道光熱費、マイクロジムでも家賃負担が大きく、その分トレーナーの給与や育成にかけられるお金が圧迫されがちです。理想的には、家賃が低く、かつ高い単価設定、顧客数、利用頻度が見込めるエリアを見つけていくことが事業を成長させていくうえで必要です」 西原さんは、トレーニング市場の拡大のために、家賃が低く高所得者が増えるアジアへの進出も視野に入れていると話す。いただく金額以上のものを提供する 西原さんは、これまで右肩上がりの売上と事業の拡大を実現してきているが、「パーソナルトレーナーとして働き始めてから、自分で営業を一度もしたことがない」と話す。現在も「営業もしないが、契約を切られることもない」という。その要因についてこう話す。「いただいている金額以上のものを提供するように常に心がけています。トレーナーにとっては多くのクライアントさんの一人でも、お客様や、契約をいただいているチームや会社にとっては、たった一人のトレーナー。そのオンリーワンの気持ちに応えられるように本気で取り組むようにしています」 トレーナーとしての契約は、選手やクライアントのトレーニングを計画し、一定時間の指導サービスを提供すること。だが西原さんは、トレーニングの時間外に練習の様子を見に行ったり、自分がクライアントの希望する時間に合わせられず代行を出した場合は、別の日にチームやクライアントの様子を見に行くなど、クライアントの気持ちに寄り添う行動を欠かさない。 新たな仕事を紹介される時にも、どちらか一方が利益を得るのではなく、常にウィンウィンの関係づくりを心がける。そのうえで、その契約以上のものを提供していく。この繰り返しが、営業しないでも売上を高め続けられる秘訣になっているようだ。フリートレーナー&インストラクタートレーナー時代は、フィットネスクラブでパーソナルトレーナーとグループサイクルなどのグループレッスンを担当。ともに高集客を続け、個人としての収入はこの時が最大に。クラブから売上をあげられるトレーナーの育成・管理を依頼された。当時パーソナルトレーナーがまだ浸透していなかったため、パートナーストレッチと、鍼灸・マッサージの資格保持者のもと、コンディショニングルームを運営受託する形でパーソナルサービスを提供。アクティブにフィットネスクラブに通う層と、マッサージに通う顧客層に違いがあるとの判断から、フィットネスクラブ外での接骨院の展開にも注力。保険適用の施設を4店舗まで広げる。接骨院は労務管理が煩雑だったこともあり縮小し、パーソナルトレーナーの育成・派遣およびコンディショニングルームの運営受託を強化。学校や社会人の競技チーム、プロ選手からのオファーも増える。トレーナー市場のTrainer's CASE031998年~フリートレーナー会社設立2003年(指導歴5年)コンディショニングルーム運営受託スタート2006年(指導歴8年)接骨院経営スタート2010年(指導歴12年)自社ジムオープン2013(指導歴15年)現在パーソナルトレーナー育成・派遣自社ジム自社ジム民間フィットネスクラブへのPT派遣コンディショニングルーム運営受託接骨院・治療院学校へのトレーナー派遣トレーナー育成・派遣コンディショニングルーム運営受託接骨院コンディショニングルーム運営受託接骨院渋谷に広さ66坪のマイクロジムをオープン。固定費が増えるチャレンジだったが、トレーニングサービスや育成の拠点となり、現在ではジム経営が主軸の一つに。それまでは社員または契約希望のトレーナーに対する育成を行っていたが、多様な将来展望を持つトレーナーが増え、トレーナー育成自体も事業化。このビジネスモデルを学ぼう→P11 Study02・03へ※グラフは、年収(長さ)と収入構成比(色分け)を示しています。10March,2013 www.fitnessjob.jp
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