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エクササイズ要素が強かったことから、曲調に合わせて身体を動かすというよりも、音楽はペースメーカー的存在だった。だが、ダンスの要素が多く入ることで、曲調やリズムに合わせて表現する要素が増える。この力をつけようとダンススクールに通い始めている人も多い。だが、ダンススキルと指導スキルは分けて考える必要があると竹ヶ原さんは注意を促す。 「これまでのエアロビクスの多くが体幹をまっすぐ安定させることを重視してきたので、ダンスでの曲線的な動きや、下半身と上半身の動きを連動させること、動きのためをつくることなどをダンスで練習することはとてもいいと思います。ですが、ダンス教室では〝振り写し〞と呼ばれるコリオをまとめて伝える部分があるのに対して、ダンスフィットネスでは、フィットネス効果を出すべく、動きにレイヤリングをかけながらコリオを完成させていくという全く違うアプローチをとっています。指導スキルはあくまでエアロビクスから学ぶ必要があるのです」 竹ヶ原さんがマスタートレーナーを努めるリトモスの養成コースでは、ダンススキルと指導スキルの両方が効率的に学べることから、リトモスのインストラクターを目指す人に限らず、広くエアロビクスのインストラクターにも受講を勧めている。 その他のダンスフィットネスにおけるトレンドとして挙げるのが、「インサーション」と「リズムチェンジ」だ。 「インサーション」は、日本では「挟み込み」「差し込み」などと訳され、欧州で英語が外国語であるインストラクターたちは「サンドイッチ」と呼ぶレイヤリングの手法のこと。世界的にはスタンダードな手法だが、日本ではまだ一部のインストラクターがこの手法を採り入れるにとどまっている。この手法が世界的に支持を集めている要因について竹ヶ原さんはこう分析する。 「インサーションとは、最初にアシンメトリのコリオを32カウント(①)、シンメトリのコリオを32カウント(②)を用意して、それぞれレイヤリングをかけながら完成させた後に、①の32カウントを2つに分けて、そこに②のコリオを挟み込む方法。①の32カウントを例えば、8の倍数のカウントで区切って②を挟み込み、面を変えるだけでも変化が加えられますが、①を8の倍数ではないところで区切ると、カウントと動きがずれていくことになり、コリオに新鮮さが生まれて、レッスンが盛り上がります。これは〝クロスフレージング〞という手法ですが、最終的には合計64カウントで終わりますので、その新しい感覚がワクワク感や達成感につながりやすいのです」 もう一つのトレンドである「リズムチェンジ」は、「ボールチェンジ」「パドブレ」といったダンスのステップを採り入れること。パドブレからピルエットは動きの流れも良く、格好よく見えることもあり、レッスンでもよく使われる動きのパターンになっているという。 こうした構成上のトレンドを学ぶことで、ダンスフィットネスのエッセンスを自身のレッスンにも採り入れることができ、新たな楽しさをお客様に提ダンスフィットネスが、日本のフィットネスをスタイリッシュに、グローバルに!ダンスフィットネスが、新時代を切り拓く 米国から生まれたエアロビクスダンスが、欧州の特にラテン諸国のダンス文化を採り入れながら、世界的に新たなダンスフィットネスのブームを作り出しつつある。このスタイルのレッスンをいち早く日本に紹介してきた竹ヶ原佳苗さんは、ダンスの要素をレッスンに採り入れることで、日本のフィットネスやエアロビクスがよりスタイリッシュなものとなり、新たな顧客層にアピールできるようになると期待を寄せる。 「世界的には、フランス、イタリア、スペイン、ロシアなどで、このダンスフィットネス文化が若年層に急速に浸透していて、こうした国々では、20歳代中盤から後半にかけての、とても魅力的で指導力のあるプレゼンターが数多く誕生しています。ダンスフィットネスは言葉の壁がありませんので、グローバルに活躍でき、欧州では世界で活躍するワールドプレゼンターが新たな職種として注目されています。日本でも同様に、ここ数年で20歳代のダンスフィットネスのインストラクターが活躍を始めていて、エアロビクスが新しい時代に入りつつあることを感じます。中学校のダンス必修化で、ダンスフィットネスが浸透する環境は益々整っていくでしょう」 人気のダンスフィットネス3大トレンド 世界的に活躍するワールドプレゼンターのレッスン構成をよく知る竹ヶ原さんによると、現在のダンスフィットネスのレッスンに、大きく3つのトレンドが見られるという。 まず1つには、「曲調やリズムを活かす」こと。これまでのエアロビクスは竹ヶ原佳苗さんKanae Takegahara株式会社TAKE-G代表取締役日本体育大学卒業後、体育教師を経てフィットネスインストラクターに。その後、カナダ・ガンクーバーへ留学。現地でエアロビクスインストラクターを務め、帰国後「スポーツスパアスリエ」のスーパーバイザーやレッスン、養成コースを担当。リトモスマスタートレーナー、日本でのルーキーコンテスト審査委員長など。竹ヶ原佳苗さんの動向予測供できることになる。「普段のレッスン」と「英語」がこれからの宿題に エアロビクスやフィットネスが益々グローバル化する中、そこで活躍し続けるうえで必要となる要素として竹ヶ原さんが挙げるのが「自分らしさ」と「英語力」。どちらも日々の努力があってこそ身につくもの。この努力が、インストラクターとして長く活躍できる力をつけることに繋がる。 「大きなステージでは、普段自分がやっていることがそのまま出ます。その日のためだけにコリオやウェアを選んでも多くの人を惹きつけることはできません。特別なステージで力を発揮するうえで一番重要なのは、日々のレッスン。毎回のレッスンで最高の自分を出すことが、自分らしい魅力を磨くことに繋がるのです。また、英語ができることで、収集できる情報量が格段に変わってきます。今やフェイスブックで日々多くの情報がやりとりされていますし、プレゼンターが来日して直接話せる機会も増えています。私も週1回90分の英語レッスンは欠かさず続けています。直接聞きたいことを聞けるようにしておくことは、今後の自身の成長に大きなプラスになると思います」InstructorインサーションとはFebruary,2013 www.fitnessjob.jp15アシンメトリのコリオ32カウントと、シンメトリのコリオ32カウントをそれぞれ完成させる①アシンメトリのコリオ (8×4カウント)①のコリオを2分割し、そこに②のコリオを挟み込むここで面を変えたり、①のコリオを8カウントごとの区切り以外で分けることで、クロスフレージングが生まれ、コリオが新鮮に生まれ変わる。②シンメトリのコリオ (8×4カウント)STEP1STEP2
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