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スがほとんど。さらに、富裕層の方々はそれぞれに近い志向を持っている方と強いネットワークをお持ちなので、トレーナーにとっては、適切なサービスが提供できれば、活動する場所も新しいお客様も紹介していただけるのです」「フィットネス」「パーソナルトレーニング」の枠組みから抜け出そう 齊藤さんは、そうした〝手がつけられていないマーケット〞に参入するうえで必要なこととして、従来の「フィットネス」や「パーソナルトレーニング」の枠組みから抜け出す必要性を説く。 「まず『フィットネス』の枠組みから抜け出すコツは、お客様の真のニーズに応えようと努めることです。表面的には〝ダイエット教室〞としていても、そこにいらっしゃる方が日々改善したいと思っていることは腰痛だったり、肩こりだったり。年輩の方の多くは、お孫さんや、お友達とより豊かな生活を快適に送り続けたいという気持ちをお持ちです。そこには、従来のフィットネスのイメージにある〝ハードなトレーニング〞は不要で、まず身体を調整することでフィットネスの効果を感じていただくことができます。多くの場合『これだけでいいの?』となり、『これなら続けられる』となるわけです。『パーソナルトレーニング』の枠組みについても、マンツーマンの指導だけでは将来的にビジネスを成長させ続けることが難しいことは既に多くのトレーナーが感じていることだと思います。『マンツーマン』『プチセミナー』、『スモールグループ』という3つのサービスの組み合わせが、今後効果的にビジネスを成長させるスタイルになると思います」 齊藤さん自身も、この方法で新たな市場を開拓し続けている。前述の富裕層はもちろん、子育てが一段落して自分の体型を戻したいと考える主婦層、運動不足解消のためにランニングに挑戦し始める30〜50歳代の男性、健康維持のためにウォーキングなどに興味を持つ一般シニア層など。それぞれのニーズに合わせたサークルやコミュニティを組織し、数名から数十名のグループでセミナーを開催したり、スモールグループやサークル活動のようなスタイルでフィットネスサービスを継続的に提供していく。齊藤さんの場合は、こうした活動のきっかけに、マンツーマンでの指導があるという。一人の方に確かな効果と満足度を提供することが、セミナーやスモールグループの活動に発展する。そのため、マンツーマンでの指導力を高めつつ、セミナーやスモールグループでの指導力をつける経験を積んでおくことで、新たなビジネスに繋げることができると話す。 「特に『話す力』は今後益々必要になっていくと思います。それぞれの人やグループのニーズに対して、フィットネスで実現できることを分かりやすく伝える力を持つこと。私自身も、プチセミナーでは対象別にプレゼンテーションの資料を作成してiPadなども活用しながら話をします。既にみなさんフィットネスや健康づくりについてたくさんの情報をお持ちなので、それを整理してモチベートしたりファシリテートすることもトレーナーの大事な仕事だと捉えています。頭でも理解いただくと、ご自身で日常生活でも取り組んでいただけることに繋がります」トレーナーにもロジカルシンキングが求められる時代へ 多様化が進む中でのトレーナーの仕事は、単にトレーニングを提供するこ狭い「フィットネス」の価値観から抜け出すと成長市場が待っている!手がつけられていないマーケットに注目 人々のライフスタイルが益々多様化する昨今。価値観も、経済状況も、家族のあり方まで多様化する中、社会における〝フィットネス〞の概念や捉え方も様変わりしてきている。 自らもパーソナルトレーナーとして活動を続けつつ、NESTA副代表&理事としてトレーナーの活動をサポートする齊藤邦秀さんは、2013年に着目すべきことについて、こう提言する。 「今や、フィットネスにおいて『これぞ成功法』といった方法はなく、既に話題になっていることや、一つのメソッドを追求するだけでは、トレーナーとして価値を提供し続けることは難しくなっています。既にある理論や方法論を総合的に学びつつ、それをいかに統合させて、新たな顧客層に提案していけるかが、2013年の活躍のポイントになるでしょう」 齊藤さんが特に注目しているマーケットの一つが、富裕層。フィットネスに投資する経済力もニーズもある市場でありながら、従来型のフィットネスクラブやジムが十分にサービスを提供できていない市場である。 「この市場が特に貴重なのは、初期投資をかけずにビジネスをスタートさせることができることです。近年、マイクロジムを開設するトレーナーが増えていますが、ジムを設けることで初期投資が必要になるうえに、ターゲットする市場に〝立地〞の制約が加わることになります。もちろんジムを設けることで効率の良いビジネスにつなげられる可能性もありますが、リスクや成長性に制約が加わる可能性も否定できません。それに対して、富裕層の方々は、ご自宅や職場などに、エクササイズができるスペースを持っているケー齊藤邦秀さんKunihide SaitouNESTA JAPAN副代表、有限会社Wellness Sports代表取締役、メディカルフィットネスフォーラム理事。パーソナルトレーナーとして業界屈指の実績を持ち、組織の経営、様々なプロジェクトのマネジメントも行う「マルチプルトレーナー」齊藤邦秀さんの動向予測とから、クライアントそれぞれの目的達成へのガイド役へとシフトしていくということだ。 「トレーナーの仕事にも『フレームワーク』を持つことの重要性が高まっています。『フレームワーク』とは、仕事をするうえで、考える枠組みを持つということです。クライアントがそれぞれ持っている『こうなりたい』という気持ちに対して、『それにはどんな身体が必要か』を的確に把握し、『その実現のためにトレーニングや環境をどう組み立てるか』というフレームワーク。そして、『身体の評価』『プログラム設計』『トレーニング指導』をぐるぐると回して目指す身体に近づけるというフレームワーク。自身の知識や経験を統合してロジカルに考え、アウトプットに変えていく。そのためには、インプットは広範囲に、アウトプットはターゲットを明確にして絞り込んでフレームワークを活用する。こうした考える力をつけることで、将来の成長可能性はまだまだ高めることができるのです」Trainer10February,2013 www.fitnessjob.jp
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