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ですが、女性役員が数多く、中でも地方の美容部員出身の女性役員の話は、いつも心に響くものでした。フィットネス業界もお客様の大半は女性。私自身も体育学を先行し、現場からこの業界に関わり始めていましたので、改めて経営を理解し、実践に活かしたいと思ったんです」 まず大変なのが入学試験だったと振り返る。入学テストは、ケーススタディなどの筆記試験で、その他に研究計画が必要となる。高田さんは入学試験まで約1年半、仕事をしながら予備校としてビジネススクールに通い準備した。入学後は、研究テーマを絞込む段階から試行錯誤。最終的に修士課程の論文は「運動施設における女性消費者の継続要因」として、顧客が利用継続に影響を与えるサービス品質の研究に絞った。そこで現場では気づかなかった知見が得られたことも、博士課程進学への興味を掻き立てた。博士号取得には3本の論文を仕上げることになる。 「経営学といっても、大学院での研究はどうしても研究者的な志向が強くなり、実務と離れてしまいがちです。ですが、私の場合は今後の女性のビジネス力を高めることも同時に実現したいと思っているので、常に実務に照らし合わせながら研究を進めたいと思います」 MBAコースでは、年商100億円規模のケーススタディを多くこなしていたため、その規模の会社をハンドリングできる自信がついたと話す高田さん。フィットネス業界の女性アントレプレナーとしても、今後多くの女性に勇気と可能性を与えてくれるに違いない。お話を聞いた方高田香代子さんKayoko Takada筑波大学大学院 ビジネス科学研究科2012年MBA修了、現在同研究科博士課程(企業科学専攻)在学中株式会社アスリエ商品共同開発部長 株式会社アスリエで商品開発部部長を務めつつ、ピークピラティスのライセンスセンターでもあるピラティスアライアンスの経営にもあたっている高田香代子さん。 指導者でもあり経営者でもある高田香代子さんが筑波大学の大学院博士課程に進むきっかけは、フィットネス業界でも女性が経営に参画することで、業界がもっとよくなると考え、同大学のMBA(経営学修士)を修了したこと。さらに研究したいと、博士課程に進み、忙しい日々の中、校舎がある茗荷谷に通っている。 「私は以前資生堂に勤めたことがあるの女性のビジネス力を実務に活かす方法が見えてきた05STUDYに、自身もエクササイズ指導者として相応の教育を受けることが、スタッフにとってよりよいリーダーであり続けられると判断し、ピラティスマットクラスの指導を始めた。それをきっかけに、指導の醍醐味に触れ、ピラティス指導者としてビジネスをスタートさせた。エクササイズ指導者が学校で学ぶことについて、こう話す。 「マネジャー時代から、インストラクターでも何らかの学位を持っている人を採用したいと考えていました。それは、この分野に強い興味を持っている証であり、基本的な知識を持っていることに加え、卒業までやり遂げていることは、高い問題解決スキルを持っていることを意味するからです。ですので、学校でしっかり学ぶことでキャリアを高められる可能性が高められます。ですが、高い学位をとったからといっても、キャリアや収入を高めることに直結するとは限りません。高い学位をとるには、相応のお金と時間とエネルギーが必要になります。社会人になってから学位をとろうと思えば、勉強に費やす時間のために仕事を減らすことも必要になるでしょう。ですので、本当に自分が情熱を持って取り組める分野を選ぶことが重要です。必ず多くの人に違いをもたらす新たな知見や価値を生み出すでしょう」お話を聞いた方メリー・ジェーン・ロジャーズさんDr. Mary Jayne Rogers ニューメキシコ大学 エクササイズ心理学博士号修了プロファウンド・ウェルネス主宰、ACEファカルティ、FTPピラティス監修者 米国でフィットネス&ウェルネス業界で30年以上の経験を持ち、現在は、プログラム開発者、プレゼンター、著者として活動しているメリージェーン・ロジャーズさん。博士号を持ちながら豊富な現場経験を持ち、すべての年齢層に対するやさしく丁寧な指導に定評がある。米国の『シェイプ』や『ウォールストリートジャーナル』など雑誌や新聞にもコメンテーターとして登場している。 そのメリーさんが博士号までの学位を取得したのは、母親の影響によるものと話す。 「常に教育を重視していた母の影響で、高校を卒業する頃には博士号をとりたいと思っていました。当時は心理学とジャーナリズムに興味を持っていましたが、私が体操チームや〝ポンポン〞チームの活動をしていたことから、友人の勧めもあり体育学を専攻することにしました。当時はエクササイズ科学という学問はなく、偶然その学科を創設しようとしていた先生に声をかけていただき、私はその1期生として学びました。当時から、企業ウェルネスから宇宙環境のプログラム、肥満についてまで様々な興味を持っていました。大学院での論文タイトルは『エアロビクスダンスプロトコルを利用した、心肺機能フィールドテストの開発』です」 博士号を卒業する時点で、2人の子供の育児中だったメリーさんは、卒業後フィットネスクラブのマネジメントの仕事に就く。もともと興味を持っていた分野で勉強してきたことを活かせると思ったからだ。そこで企業フィットネスの仕事に加え、パーソナルトレーナーやグループインストラクターの育成、マタニティ、幼児、小中学生、成人、高齢者など各属性別のプログラム開発に携わる。クラブがピラティスを導入することを決めた際学位とキャリアは直接結びつかないものの追求してこそ新たな価値が生まれるcolumnDecember,2012 www.fitnessjob.jp25

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