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健康日本21の改正にともなう環境変化とビジネスチャンス項目に対し目標の設定と評価が具体的かつ明確に数値化されている点です。実際に企画運営していくのは地方自治体であり、都道府県、市町村、企業などへと細分化され、国民全域に実施されることになります。今回は、ライフステージ(乳幼児期、青壮年期、高齢期等の人の生涯における段階)に応じて、目標数値が明確に出ているので、各ライフステージへの運動指導力を身につけると良いでしょう」 さらに今後伸びる分野として、4分野(表2)を挙げている。 「こうした注目分野を意識して、現在既に教えているプログラムを活用することが有効です。例えば、親子エクササイズは、運動習慣の少ない子どもの世代と親世代両方に運動習慣を身につけてもらうのに適しているので、今以上に必要とされるプログラムとなります。今後も、国の施策を理解しながら自身の活動をPRすることで、現在既に指導しているプログラムに新たなニーズが生まれることになります。それにより、仕事の場も、地方自治体や病院、公民館などに広げられ、活躍の幅を大きく広げられる可能性があるのです」お話を聞いた方漆崎由美さんNPO法人生涯体育学習振興機構理事長、有限会社パワーリンク代表取締役福井県で17年にわたり地域の仕事に携わる。8年前にこの活動をNPO法人化して、登録インストラクター60名とともに地域の健康づくりを担う活動を続けてきている。県や市町村の子育て支援から、学校、福祉協議会、地域包括センターの仕事をはじめ、地域の運動指導者や地域スポーツリーダーの育成なども行っている。健康運動指導士、ヘルスケアトレーナー 今年7月10日、厚生労働大臣から、健康日本21の改正に関する公示が公表された。フィットネス指導者が関係する改正の主なポイントと、これによる環境変化で生まれるビジネスチャンスについて、自治体の運動指導現場に詳しい漆崎由美さんに話を聞いた。 健康日本21は、平成15年に「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」として出されたもので、これまでは厚生労働省の健康局長による発信だったものが、今回内容が全部改訂となり、平成25年度4月1日から平成34年度まで適用される第二次国民健康づくり運動(健康日本21 〔第二次〕)として、厚生労働大臣小宮山洋子氏の名前で公示された。平成20年にも一度改訂が行われるなどしたが、これまでの活動の評価で「健康格差対策に取り組む自治体」は11都道府県に留まっていることも分かり、これを47都道府県とすることも目標値に置かれている。今後全国で具体的な取り組みが本格化することが予想されている。 漆崎さんは今回の改正の着目点についてこう話す。 「今回の改正のポイントは、表1の5国の施策とフィットネス指導者のビジネスチャンスstudy 03 昨年11月、50年ぶりにスポーツ基本法(旧:スポーツ振興法)が改正された。運動指導者として今後国や社会に貢献できる機会が増えることに大きな期待を持った方も多いのではないだろうか。 今年7月には、厚生労働大臣から、健康日本21の改正が公示された。これにより一般生活者の健康づくりという点からも、運動指導者が活躍できる場が広がることが予想されている。 こうした国の施策をもとに、今後地方自治体や独立行政法人で予算が組まれることから、地域の運動指導に、仕事として関われる可能性が広がっていくことになる。そこで本稿では、その主な改定内容と、この環境変化をいかにビジネスチャンスに変えていくかについてまとめる。厚生労働省 健康局■ 表1 今回の改正のポイントとなる5項目■ 表2 特にこれから注目される4分野1健康寿命の延伸と健康格差の縮小例:介護予防事業など2生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底例:特定保健事業・メタボ対策など3社会生活を営むために必要な機能維持及び向上例:ロコモティブシンドローム予防・メンタルヘルスなど4健康の支え、守るための社会環境の整備例:ウォーキングロードなど運動施設などの整備など5栄養、食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣、及び社会環境の改善例:都庁・県庁・市町村などの健康教室・講座の実施など1子ども運動習慣子どもへの運動指導(保育園・幼稚園・学校(PTA)/児童館などへアプローチ)2ロコモティブシンドローム・足腰の痛みのある高齢者減少・認知症の減少運動療法の指導力(コンディショニング力)・整形外科のお医者様とタッグを組む3歩数の増加・運動習慣の割合の増加ウォーキング指導の増加・イベント企画(地方自治体事業や各種団体とタッグを組む)4住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加(17→47)運動施設の増加・仕事場の増加November,2012 www.fitnessjob.jp21
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