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RENAISSANCEなってしまい、運動の必要性を身近に感じました。高齢になった時の身体の動き方を、指導する立場から知りたい、もっと元気な高齢者を増やしたいと思い、この仕事を選びました。エアロ等のグループレッスンでは、細かく深い確認は難しいのですが、介護予防の現場は、事前の聞き取りやリスクの管理・把握はとても重要です。高齢者は歳をとるごとに、身体や、特に心に変化が出てきます。その方のバックグラウンドがわかると、相手の立場に立って指導ができます。来館後は、まずは血圧測定と問診をして、その日の体調・痛み・運動ができるかを確認します。その後、ウォーキングや下肢筋力の向上、水中歩行等、その日の運動のポイントをお伝えします。プールに入水して陸上と水中での関節可動域の違いを確認してもらい、バランスのトレーニングや筋力アップの運動をします。多く伝えすぎると混乱が生じます。『ふらつき防止になります』など、具体的でわかりやすい言葉がけが、参加者のやる気に繋がります。また、小さな変化を逃さずキャッチし、出来たことを一緒に喜ぶように意識をしています。シナプソロジーや脳トレ系のエクササイズも入れています。栄養や口腔など、総合的なケアも必要です。認知症の話をしたり、日常生活からの取り組みを、必ず一つは伝えます。『してください』と言うことでやらされている感じにならないよう、参加者の『こうなりたい』という思いを聞いて、その思いや目標を大事にし、やる気をどれだけ引き出せるか。やっていただきたいことに繋げていくきっかけを大切にしています」 介護予防教室は週に一回なので、簡単なホームエクササイズも案内する。沼尾さんの指導する教室では、現在の男女比は半々だ。地域によって年齢や体力も異なる。「この方が二次予防?」という元気な方もいれば、靴を履き変えるのも大変な方もいる。予算や定員の制限のなかで、12回の教室で上手く伝えて運動する気持ちになってもらう。 「最初は、みなさんすごく不安な気持ちで来られます。運動したくない方、自分には縁が無いと感じている方たちが多い。そういう方が『楽しい』と言ってくださると、やっててよかったなと思います。私も含め、運動の強度や難度を上げることが得意な指導者は多いんです。でも介護予防の現場は、強度や難度を下げて、低体力の方が対応できる内容の提供がとても重要。いかにわかりやすく、『できる』と思える運動のプログラムが作れるか。強度を『ここまで下げていいのかな』というくらいまで下げてスタートした方が、みんなが楽しめる。盛り上げて指導者が満足しても、参加者が安心しないと意味がない。できなくても『それでもいいんだよ』と傷つけないように、個別にアドバイスするのが大事です」終了後も継続できる受皿を 沼尾さんが蕨市の介護予防に携わりはじめた頃に比べると、需要も教室も増えている。9月の水中教室も満員だ。教室の常時開催を望む声も多い。ルネサンスでは、少人数のグループでレッスンするオリジナルの「膝痛」「腰痛」の機能改善スクールを導入している。一人でプールを歩くことに自信がない方や、どんな運動をしていいかわからない方に向けたサービスだ。教室に参加された方が、終了後も継続できる受皿を作っている。 「以前、参加者の中に人との関わりが苦手とおっしゃる鬱傾向の方がいました。その方が少しずつ明るくなり、周りの方々とも会話を楽しむようになりお話を聞いた方沼尾史子さん株式会社ルネサンスヘルスケアスタッフ。平成18年から介護予防の仕事に携わる。介護予防主任運動指導員と健康運動指導士の資格を取得。現在は長野県上田市の介護予防事業委託事業者向け指導者養成研修の講師、東京都新宿区サポーター(区民ボランティア)養成研修の講師も務める。相手の立場に立ってやる気を引き出す スポーツクラブルネサンス蕨と浦和で、一次・二次予防のマシントレーニングや水中運動を指導している沼尾史子さん。以前はエアロビクスやアクアビクスの指導をしてきたが、出産と育児の後にフィットネス業界の流れが少しずつ変化する中、グループレッスンの仕事が徐々に減っていく現状を目の当たりにし、「このままでよいのか?」と疑問を感じるようになった。一方で、リスクを抱えた高齢者の方のプログラムへの参加が増え、介護予防のニーズは増加。インストラクターとしての寿命も考え、自分のキャリアのもう一つの柱としての介護予防運動指導員という仕事に、新たなやりがいを感じている。現在蕨クラブのコースでは二次予防対象者といわれている虚弱高齢者を対象に全12回の3ヶ月間行っている。 「私の義理の父親が転倒で寝たきりにました。そのうち『みんなこれ使って記録してやったらいいよ』とホームエクササイズ用の記録プリントまで作って参加者全員に配ってくださいました。教室参加をきっかけに気持ちが前向きになり、周りとのコミュニケーションが広がっていくのも嬉しいですね。そんな時は運動の様々な効果を改めて参加者の皆さんから教えていただきます。運動教室修了後もコミュニティが形成されるのは、地域にとってもいいことだと思います。修了式で号泣して別れを惜しんでくださる方もいらっしゃいます。歳のせいではない、と気づいてもらうことも大事です。運動を続けると、階段の上り下りが楽になったり、お買いものに行けるようになり、生活に張りがでます。地域とタッグを組んだフォローアップ教室やボランティア活動も行われています。運動したくてもなかなかこういったところに来られない方たちが『自分にも行き場がある』と安心して足を運べる場を、もっと作ってあげたいです」『自分にも行き場がある』運動教室から広がるコミュニティ株式会社ルネサンスのリハビリ特化デイサービススタッフヘルスケアスタッフ募集はP23をCHECK!!November,2012 www.fitnessjob.jp13

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