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September,2012 www.fitnessjob.jp1313人格心理学を核に、交流分析や行動変容論、コーチング論をはじめ、各種心理学の理論と、トレーナーとしての現場での経験をもとに構築された、運動指導者向け心理学。クライアントの人格や要望・願望に合わせた指導を提供することで運動を続けるモチベーションを高く維持できる方法論。(社)モチベーションアカデミーで認定講座を開催している。モチベーションテクニックとはモチベーションテクニックは運動を続けるための心理学 モチベーションテクニックとは、パーソナルトレーナーとして15年以上の経験を持つ中野ジェームズ修一さんが、心理学の様々な理論やメソッドの中でも、特に運動指導場面に活用できる内容だけを抽出した、運動指導のための心理学。米国でトレーナーとしての知識とスキルを高めて帰国した後に、改めて心理学を勉強。健康心理士となり、このテクニックをまとめ上げた。2003年から「フィットネスモチベーター」の認定もスタートさせ、多くのトレーナーの成功をサポートしてきている。その思いについてこう話す。 「私自身駆け出しのトレーナーの頃、クライアントにやる気を持ってエクササイズを継続して貰おうと、『こうすればやる気になってくれる』と、自分の感覚だけで指導にあたっていました。ただ、クライアントは十人十色。たまたま自分と同じタイプの人であれば、その方法でやる気を出して貰えても、その方法が響かない人も多くいる。どうしたらより確実にすべての人にやる気を持ってエクササイズに取り組み、続けていただけるかと追求した結果生まれたのが、このモチベーションテクニックです。主な方法としては、交流分析法やクレッチマーの気質類型論、フリードマンの「タイプA行動人間」などの分析手法で、クライアントの人格を把握し、さらに、その方の欲求や願望(動因)をできるだけ多く引き出し、優先順位をつけて、優先順位の高いものから、その実現のためのエクササイズプランを提示することで、エクササイズに対する高いモチベーションを維持していただけるというものです」ストレスマネジメントで身体が変わる モチベーションテクニックはもともとトレーナーのためのコミュニケーションテクニックとして開発されたものだが、クライアント自身が取り組めるものもある。ストレスマネジメントとして位置づけているものがそれだ。特にストレスを感じやすいフリードマンのいう「タイプA行動人間」に該当する人にとっては、ストレスマネジメントをすることが、運動の継続に大きく影響するという。中野さんはそのメカニズムをこう説明する。 「ストレスによって僧帽筋上部が拘縮することは、様々な研究で明らかになっています。また、ストレスを感じやすい『タイプA行動人間』の方が虚血性心疾患になりやすいということも医学的に証明されています。つまり、ストレスと身体の状態は密接に関係しているわけです。そのため、ストレスを感じている人に、いくら運動や栄養の指導をしても、さらにストレスを高めてしまう場合もあり、身体の状態が改善される可能性は低く、効果も感じられないまま運動をやめてしまうことになりかねません。『タイプA』の方には、『心の状態と身体の状態が関係している』ことに興味を持っていただけるように話し、ご本人が自身の行動習慣が問題と認識されて、改善したいと思われた場合は、それを改善するエクササイズをご紹介して、運動や栄養改善よりも優先して取り組んでいただくようにしています。多いケースでは高血圧で毎日降圧剤を飲んでいた方が、この方法で、飲まなくても良くなるほどに改善されるというもの。毎日薬を飲んでいた方にとってはその変化は貴重で、とても感激されて、習慣を変えることが楽しくなるんです。そこまでくれば、運動も食事の改善も、自ら続けていただけるようになるのです」 その他、ストレスマネジメントとして唯一医学的に効果が証明されている自律訓練法や、筋弛緩法なども採り入れながら、確実に身体を変えることで、運動の継続に繋げている。 目標設定や運動プランも、人格に合わせて 人格によっても運動の継続しやすさに違いがあるという。例えば交流分析でFC(自由な子ども)に類される人は、何に対しても飽きやすいという性格を持っている。こうした人には、短調なマシン指導でなく、日々変わるメニューや楽しいエクササイズ、楽しい話題が必要となる。また、A(大人)や、CP(批判的な親)に類される人は、自分にも厳しいため目標を高く設定しすぎる傾向がある。そこで自分が目標を達成できないことが失敗経験として認識され、運動をやめてしまうケースも多いという。 また、褒め方についても注意が必要で、成果が出たことについてばかり褒めていると、却って運動継続に消極的になってしまうという。心理学ではこれを「条件つきストローク」と言うが、成果に関係なく、努力したこと、続けていること自体を褒める「無条件ストローク」の重要性も強調する。 「運動を続けていただくための働きかモチベーションテクニック、ストレスマネジメントとその活用法CASE03お話を聞いた方中野ジェームズ修一さん(社)日本健康心理学会認定心理士パーソナルトレーナー、フィットネスモチベーター。15年以上のトレーナー経験に裏付けられた効果的かつ継続を促す独自メソッドで、トップアスリートからモデルまで絶大な人気を誇る。ロンドンオリンピックでは卓球の福原愛の銀メダル獲得をサポートした一人。けは、トレーナーがそれぞれ感覚的にやっていることが多いですが、心理学を活用することで、適切にそれができる可能性が高まります。人の気持ちに効果的に寄り添えることで、運動に対するモチベーションを確実に引き出し、成果に導けることで、自ら継続しようという気持ちを引き出すことができるのです」心理学クレッチマーの気質類型論3タイプの体型から人格を類推する交流分析法人が心の中に持っている5つのキャラクターのバランスから、その人の性格や行動の特徴を類推するタイプA行動人間時間的圧迫を感じていて、競争的、野心的、完全主義、攻撃性を持っている。早口で大声、断定的に話す。「~ねばならない」という思い込み、信念が強い細長タイプ分裂気質静かまじめ神経質従順など肥満タイプ循環気質社交的温厚躁鬱など筋骨タイプ粘着気質粘り強い頑固気分安定などフリードマンの「タイプA行動人間」話し方や口調からその人の人格を類推する批判的な親(厳しいけれど正義の味方のお父さん)養育的な親 (温かくやさしいけど、少し甘やかし気味のお母さん)大人( 論理的、客観的なしっかりものの大人)自由な子供(自由奔放でワガママだけど創造力のある子供)順応した子供(従順で協調性のある、少し引っ込み思案な子供)CPNPAFCACクライアントの人格を類推する人格構造理論

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