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August,2012 www.fitnessjob.jp77知育としての運動不足で遅れる心の発達 近年、子どもたちの身体の発達に対して、心の成長が遅れている。 柳澤教授が様々な研究を始めたのも、1995年頃から「小学校で授業が成り立たない」と聞いたことがきっかけだったという。授業中に立ち歩いたり、キレる子が増えている。それは、子どもたちの運動量が減ったことで、脳が十分に育たないまま、身体だけが発達してしまったことがその原因ではないかと考えた。そして検証のための実験を行なったところ、予想通りの結果が出た。 脳の中でも行動を司ると言われる前頭葉の働きを調べる実験に、GO/NOGO実験というものがある。子どもにゴム球を握って貰い、ランプの反応に対してそのゴム球を握ったり握らなかったりすることを指示し、指示に対して間違える確率を調べるというもの。柳澤教授は脳生理学者たちとチームを組み、子どもが遊ぶ環境と、この実験結果の相関関係を調べた。すると、日本で1969年と1998年に小学生を対象に行なった実験で、明らかに1998年では子どもが指示された行動を間違う確率が増えており、また1969年では小学校2年生が間違う確率が最も高かったのに対して、1998年では少学校6年生が最も高かった。つまり、子どもの心が4年分幼稚化したことが示唆された。身体は6年生でも、行動は2年生という状況になっていたわけだ。 1969年の頃は、子どもたちは積極的に外遊びをしていた時期であり、その後、自動車が増え、交通事故が増えて子どもたちが家で遊ぶようになる一方で、テレビが普及し、その後ゲームが普及したことで1998年では、子どもたちの遊びは、ほとんど身体活動を伴わないものになってしまった。そのことにより、脳の発育に遅れが出ていることが実証されたのだ。運動量とコミュニケーションの量は比例する また柳澤教授は、活動量と会話数についての調査も行なった。ここでは、1日の歩数が多い人は会話数も多く、歩数が少ない人は会話数も少ないという結果が出た。その実験によると1日3,000歩ほどしか活動量がない人は、1日ほとんど会話もしていないことが分かった(図参照)。 さらに別の調査では、昭和50年頃には子どもたちの1日の平均歩数は15,000歩だったものが、平成10年には8,000歩、平成20年には4,000歩にまで下がっていることが分かった。つまり、現代の子どもは、運動する機会が減ることで、コミュニケーションの機会も減り、このことがさらに脳の発達を遅れさせる要因になっていることが分かる。25,00020,00015,00010,0005,0005,00010,00015,00020,00025,0000(会話数)(歩数)予測値実測値会話数と歩数の関係歩数が増えると会話が増える(松本短期大学柳澤研究室調べ)外遊びが減ったことで、身体は6年生でも、行動は以前の2年生と同じという状況に
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