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脳科学の研究が進むにつれて、運動することが脳にいい影響をおよぼすことが注目されている。脳が急速に発達する幼少期の運動は特に重要で、「運動が好きな子=頭がいい子」という図式が成り立ち始めている。外遊びが日常にあった数十年前は、そこに知育教育をすれば、子どもたちはどんどん吸収していった。だが、現代の子どもたちは、外遊びできる環境を失い、知育が活きる脳づくりが必要となっている。ここに、子どものフィットネスへの大きなニーズが生まれている。本稿では、子どもの心も頭も育てる幼少期の運動を、知育フィットネスと位置づけ解明していく。フィットネスフィットネスが知育に繋がるメカニズムの「運動野」から、心を司る「46野」に波及効果があることが分かってきている。日本の格言に『健全な肉体に健全な精神が宿る』という言葉があるが、脳の構造もまさにそうなっているというわけだ。 脳で筋肉の動きを司る運動野は頭の上部に位置するが、その前方に46野がある。この46野は前頭葉の一部で、自分の行動を統制する働きをしている。前頭葉は人ならではの「思考・感情のコントロール」を司る部分で、この46野はそれを行動と結びつける役割を持っているのだ。 幼少時に運動をすることで、運動野全体が活性化され、その部分に血液が大量に流れる。それにより、運動野に隣接する46野にも脳が育つうえで必要な酸素などが血液に乗って送られる。さらに、運動の中に頻繁に出てくる「動きを始める/止める」という体験を数多くすることで、46野が使われ、脳神経細胞がシナプスの活性化によりどんどん結びつき、脳の働きが向上していく。こうして、思考や感情をコントロールできることになり、適切な判断や行動がとれる子どもに育っていくことになると考えられている。幼少期の運動で心が育ち、その心が知能を高める フィットネス業界関係者には身体を動かすことが好きな人が多い。おそらく学生時代に「運動ばかりしてると頭まで筋肉になるぞ」と言われたことがある人も多いはず。だが、運動ばかりしても、頭は筋肉にならないばかりか、むしろ頭が良くなることが様々な研究で明らかになっている。松本短期大学の柳澤秋孝教授は、「運動することで頭のいい子に育つ」と最初に提唱した一人。子どもの運動と脳の関係にいち早く着目し、これまで約30年にわたり脳科学で明らかになってきたことを幼稚園での運動指導で検証してきた。そのメカニズムをこう説明する。 「以前は、運動は身体を鍛えるもの、勉強は頭を良くするものと、全く別々のものと捉えられていましたが、ここ数年の脳の研究の深化により、運動と頭脳が密接に関係していることが解明されています。幼少時に運動することによって、脳神経細胞を結びつける結合部であるシナプスが活性化されます。これにより、まず注意力や自己統制力を司る脳がしっかりと出来上がります。そのことが適切な判断力や集中力を生み、それによって学力や社会の中での生き抜く力を高められることになるのです」 筋肉に司令を出す「運動野」から心を司る「46野」に波及効果 身体の筋肉に指令を出す前頭葉6August,2012 www.fitnessjob.jp運動野身体の各部位の運動を司る運動連合野順序や方法が決まった運動をするときに、体の動かし方を運動野に伝える 46野思考・感情を行動と結びつける前頭連合野思考・意欲・情動などの精神活動全般を司る 前頭葉(赤枠で囲まれた部分)
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