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August,2012 www.fitnessjob.jp1313年齢運動要素エクササイズ例3歳前後まで一般的コーディネーション専門的コーディネーション模倣運動リズム音楽に合わせて手をたたくバランス不安定なマットの上を歩く/走る連結くまさん歩き、逆さくまさん(仰向けで両手両足を床について進む)など四肢の歩行パタンの練習3~4歳対人での反応運動変換合図に合わせて走る方向を変える反応寝た状態から「朝の6時!」と言ったら走る。他の合図では寝たまま4~5歳モノを扱う運動識別お手玉、リフティングなど定位輪投げ、ボールでの的宛て6歳~(プレゴールデンエイジ)複合運動逆上がり「柿さん(手と足でぶら下がる)」+「柿さんまわり(鉄棒を掴んだ両手の間から足をくぐらせる)」+「駆け登り逆上がり(指導者が手を持ち足でよじ登って回転)」跳び箱「走っていって両足でマットの合間を飛び越える」→「くまさん歩き」→「キリンさん歩き」→「カエルさん」9~12歳(ゴールデンエイジ)競技特性に合わせた運動バスケットボール1人で行う⇒両手を使ってのドリブル、陸上集団で行う⇒複数のボールを使ってのミニゲーム等様々な腕脚の動きを伴ったスキップ動作ラダー、ハードル、コーンなど道具を使ったフットワークなり、脳が活性化されないことで、その潜在能力を使わないまま大人になり、能力を発揮しきれていない人も少なくないと思います。コーディネーショントレーニングが浸透することで、自信が持てて、運動や様々な活動に積極的に参加することで、脳も発達させることができ、人生を前向きに過ごせることにも繋がります。それぞれの人が自身の能力を最大に発揮できるように導けるのがコーディネーショントレーニングなのです」みんなが運動好きになれる科学的トレーニング 「運動能力とはすなわち、外部からの情報をいかに脳で処理し、脳が的確に全身の筋肉に信号を送れるかという能力です。誰でも初めて行う動きはぎこちなくなりますが、これは脳が、どの筋肉をどのタイミングでどう動かしていいかが分からないから。コーディネーショントレーニングは、脳での情報処理スピードを高め、様々な身体運動を体験しておくことで、効果的な身体の使い方ができるように導くものです。また一方で、予期しない場面に遭遇した時に引き出せる情報処理パターンを増やすことも目的としたトレーニングなんです」 こう話すのは、今年5月からキッズコーディネーショントレーナー養成コースをスタートさせたNESTA JAPANで同指導カリキュラムの開発を担当する齊藤邦秀と林智史さん。コーディネーショントレーニングは、これまでもサッカーをはじめ日本のスポーツ界でも部分的に採り入れられてきていたが、これを子どもの発育段階や、日本の学校体育やスポーツ教育環境などに合わせて提供できるように指導者向けに活用法を編集した。子どもの運動やスポーツ指導に携わる人が、確実に子どもの「できた!」を引き出せるようになり、子どもが運動好きになる環境づくりが進めやすくなる。 コーディネーショントレーニングは、目的とする運動動作を必要とされる運動要素に細分化し、順を追って7つのコーディネーション要素(能力)を身につけることで、誰でも最終目的の運動動作ができるように導く方法です。例えば、跳び箱であれば、①走って高くジャンプする(水平移動から垂直移動への移行)練習、②床についた上肢~肩甲帯で身体を支える姿勢の練習、③両手を床についてお尻と脚を宙に浮かして肩より高く持ち上げる練習、という運動要素に分解し、各要素に合わせた運動を練習することで、その場で跳べるようになる子が何人も出てきます。これまでの学校教育やスポーツ指導では、跳び箱動作自体を繰り返し繰り返し練習し、できない子は何日練習してもできなかった。「できる/できない」が、根性論で語られることも多かったと思います。これを、科学的に動作を細分化し、跳び箱を使わない運動も採り入れて練習させることで、確実に『できた!』という体験を提供でき、『もっとやりたい』と思えるように導くことができるのです」 一方で、コーディネーショントレーニングの7つの運動要素を子どもの発育発達に合わせて体験することで、新しい動きへの適応力を高めることができる。俗に言う「運動神経」を育てることも可能になる。具体的には3歳までは「リズム」「バランス」「連結(体全体を意のままに動かす)」を中心に体験し、3~4歳では「反応(合図に反応する)」「変換(音や状況に合わせて動きを切り替える)」といった能力を高め、4~5歳では「識別(手先や足先を器用に動かす)」や、「定位(空間を把握する)」などの能力を習得していく。小学校低学年までにこれらの「一般コーディネーション能力」を習得しておくことで、高学年に向けて「専門コーディネーション能力」の割合を増やし、複合運動へのチャレンジを増やしていく。この順序を辿ることで、スキャモンの発育曲線で言われる「ゴールデンエイジ」での動きの巧さ、つまり運動やスポーツのスキル習得を最も効果的にできるようにもなる。齊藤さんは、特に小学校の運動指導現場でコーディネーショントレーニングを採り入れることで、日本のスポーツ界も、日本の社会さえ変えられる可能性があると話す。 「これまでは潜在的な体力や身体能力があっても、体育の時間に上手くできないことがあったことで運動が嫌いにお話を聞いた方齊藤邦秀さんNESTA JAPAN副代表。東京学芸大学教育学部健康スポーツ科学科卒業後、パーソナルトレーナーの道を進み、様々なアスリート・著名人のトレーナーとしてキャリアを築く。携帯フィットネスのプログラム開発、後進の育成、クラブの人材教育、雑誌や書籍などの監修なども数多く手がける。お話を聞いた方林智史さんNESTA JAPANテクニカルアドバイザー。パーソナルトレーナーとして活動する傍ら、KIDSの運動能力を飛躍的に高める教室の運営、プログラム開発・教育を行っている。運動要素を分解して習得すれば、誰でもできるようになる根性論でなく、科学的に、「できた!」を導くキッズコーディネーショントレーニング知育としてのフィットネス412歳歳*上の表はあくまでも標準的な考え方であり、各々の発育発達、身体的特徴、種目特性によって多少アレンジして行う。コーディネーショントレーニングキッズコーディネーショントレーナー資格情報は、P39をチェック!!
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