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July,2012 www.fitnessjob.jp1717 スポーツエリート校の一つ桐蔭学園。そのラグビー部は昨年、高校ラグビーの聖地、大阪の花園で行われる全国高校ラグビー大会で見事優勝を勝ち取った。そのラグビー部で9年間にわたりトレーナーとして選手たちをサポートしてきている浜中健次さんは、その他にも、実業団ラグビーで一部リーグに名を連ねるチームや、数々のトップアスリートをサポートし続けてきている。その一方で、浜中さんはゴールドジムでスタジオディレクターとしての顔も持つ。アスリートの世界とフィットネスの世界を日々行き来しながら、広い視野でトレーナー活動にあたっている一人だ。 浜中さんがトレーナーを志すようになったのは、高校を卒業して、進路先の1年生の時。弟がラグビーの試合中に相手チーム選手との接触で、大けがを負ってしまったことがきっかけだ。内臓破裂に加えて肋骨を数本骨折し、意識不明に陥る重体。この事故に大きなショックを受け、「けがをしないためにはどうすればいいのか」「人の命を助けるにはどうしたらいいのか」と真剣に考えるようになった。そうして、自身はそれまでけがもなく、ラグビー選手としてまだまだ活躍できる状況だったにも関わらず、現役を引退し、アスレティックトレーナーへの道に進むことを決めた。同時に人命救助をはじめ、人の身体や命に関することを片っ端から勉強していった。資格も、取れるものはすべて取ろうと、ATの資格やPTの資格等、むさぼるように勉強に没頭した。 そして社会人になり、先ずは一般のスポーツクラブに就職したが、数个月後に、その思いと知識が生かせるチャンスが舞い込んだ。ゴールドウィンが、「スポーツサポート」という事業を立ち上げるという。スポーツとフィットネスの両方の知識を備えていた浜中さんは、そこで、アスリートのケアやコンディショニングに携わる「アスリートサポート」と、フィットネスジムで一般生活者の方々にトレーニングを提供する「フィットネスサポート」の両方の事業に関わった。 「スポーツサポート」では、ゴールドウィンは数々のスポーツブランドを抱えており、数多くの幅広い種目の契約アスリートがいた。その選手たちの活躍をサポートすることをミッションとして、来る日も来る日も、トレーニングに立ち会った。その活動がクチコミで広がり、やがて契約選手以外もその施設に訪れるようになる。そうして、「スポーツサポート」として契約する選手は間もなく100名を超えた。 一方、フィットネスサポート事業は当時大規模総合施設の勢いに押されて苦戦が続き、浜中さんがマネジャーも兼務して経営の立て直しに尽力。その指導力と発想力から見事に黒字化を達成した。現在携わるゴールドジムとの縁は、この時に始まった。その経営力が人づてに伝わり、当時苦戦していたゴールドジム店舗のマネジメントを手伝うことになる。以来、フリーの立場でアスリートをサポートする仕事と、クラブのマネジメントという2つの仕事を持ち続けている。浜中さんは、そのメリットをこう話す。 「アスリートをサポートするトレーナー業と、スポーツクラブでの一般の方々の指導やクラブ運営、そして、サービス業として求められる資質や成果は異質のものです。ですが、その両方に日々携わることで、頭の切り替えができて、視野が広げられる環境ができますので、新しい発想がどんどん湧いてくるんです。トレーニングについても多くの事例の中で検証できます。それにより確実な成果に繋げられる確率が高まります。ゴールドウィンのスポーツサポートで働いていた時は、トレーナー同士で毎日勉強会を開き、日々ケーススタディを共有していました。それを重ねたことで、自分にとっては初めて出会うケースでも、すぐに対応できるようになっていきました。現在でもアスリートをサポートする場面で多く見られる関節の痛みや、体重のコントロール、パフォーマンスアップのための課題のほとんどは、一般生活者ラグビーはあらゆるスポーツの中でも、最もけがの多いスポーツとされていますが、体幹部のトレーニングで、動きの軸を作り、高い強度の動きの中でも、自分の身体をコントロールすることができるようになることで、ラグビーの試合中に起こる肩の脱臼や捻挫、肘や膝の障害など、すべてのけがを減らすことができます。体幹部はお腹周りとイメージする人が多いですが、肩や胸からお尻まで、四肢の付け根までの全体を体幹部と捉えて、左右差や前後差のバランス、強さだけでなくしなやかさも含め、体幹のトレーニングを提供しています。けががなくなることで、選手寿命も伸ばすことができる。今後もアスリートや一般の方々の生涯現役をトレーニングでサポートすることでスポーツ振興に寄与していきたいと思います。浜中健次さんTHE POWER STATION コンディショニング・スペシャリスト、ゴールドジムスタジオデイレクター・チーフトレーナー。現在一般の方からトップアスリートまで指導中。生涯現役をモットーに、フィットネスの底辺の拡大、全ての方々に健康でいられる様に、ストレッチ器具等のホームトレーニングマシンの開発、プログラム作成も行なっています。多くの事例の中で検証できることで確実な成果に繋げられる確率が高まるトップアスリートのトレーニングの現場浜中さんに訊くの方々の指導で体験してきたからこそ、的確に対応することができると感じます。常に視野を広く持つこと、仲間との繋がりを大切にして学び合うことで、トレーナーとしての指導力や活躍の場を大きく広げることができるようになると思います」04CASE Case Study アスリートを支える仕事に就くということ

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