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July,2012 www.fitnessjob.jp1313 JISSで2001年の設立当初よりトップアスリートのトレーニング指導に携わり、現在ではスポーツ科学研究部の主任専門職として数多くのアスリートの指導や、非常勤トレーナーの選任にもあたっている田村尚之さんに、トップアスリートをサポートするトレーナーになるために必要な資質について訊いた。 「トレーナーには、選手が要望していることを理解し、やるべきトレーニングと、その意図することを伝え、選手が高いモチベーションで目的に向かってトレーニングに臨めるように導ける力が最も重要。それができて初めて結果を出すことができるわけです。そして、2つ目が問題解決力、3つ目は発想力です。オリンピック選手はもともと数万分の1の確率の優れた身体能力を備えています。教科書に書いてあるようなトレーニングでは体力のベース向上を図れますが、世界の舞台で勝てることには必ずしも繋がりません。ここで必要となるのが、問題解決力と発想力。JISSではトップアスリートに様々な分野の専門家からなるチームでサポートするケースが多いのですが、そのサポートチームが見抜いた選手の課題に対して、トレーニング面で何ができるのか、数々の解決の選択肢の中から、最も効率的・効果的な方法を見つける力が必要になります。そして、トレーナーとしての視点と発想力でそれを実現できるトレーニング方法を見極めていかねばなりません。トップアスリートのトレーニング現場を見ていると、極めてベーシックなトレーニングと、トレーナーのアイデア溢れる変わったトレーニングの両方が見られます。トレーナーとしても、最も基本となる身体や動きへの理解を究極的に高めることが、問題解決力と発想力を生み出します」 専門知識や資格を持っていることはスタート地点でしかない。それを活用できる資質を磨くことが必須ということだ。個別の課題解決のためのトレーニング例1.スクワット2.ベンチプレス3.デッドリフト4.クイックリフト5.ラットプルダウン北島選手をはじめ競泳陣のトレーニングの一例(考案:田村尚之さん@JISS) 競泳では水の抵抗を極力少なくする「ストリームライン」という水中での姿勢が重要。平泳ぎでもクロールでも、腰が反ってしまってお腹が落ちても、顔が上がっていても、水の抵抗が増して泳速が落ちてしまう。そこで腹筋周りはドローインした状態にすることで、水の抵抗を最小限にするストリームラインがとれるが、一方で、腹筋に力を入れると、肩にも力が入りやすくなり、肩の動きが制限されて十分な可動域が確保できなくなりなったり、効率的な力のエネルギーの伝達ができなくなってしまう。そこで、体幹部の固定と肩甲帯の自由な動きを分離する目的で次のようなエクササイズを実施している。仰向けになり、足を少し床から離した状態でメディシンボールを投げたり、バランスボールに仰向けになり、上半身を支持しない状態を作って、強制的に腹部の固定に必要な筋群の動員を強いた状態で肩関節をリラックスさせながら上肢を回す練習などを行なっている。ロンドンオリンピックで金メダルが期待されているシンクロナイズドスイミング選手のトレーニングの一例(考案:田村尚之さん@JISS) シンクロナイズドスイミングでは、動きを大きく華やかに見せるために、上半身が大きいほうが有利。だからといって上半身に筋肉をつけて大きくすれば、水上で上半身を水から出して行う演技で上半身の筋肉の重さで沈みやすくなってしまう。また空中に跳ぶなどの演技に不利となる。そこで考案されたのが、肋間筋のトレーニング。胸郭の可動性を拡大し、肋骨と肋骨の間の筋肉(肋間筋)を鍛えることで胸郭の自動的な可動域が広がり肺活量も多くなる。その肋間筋を鍛えるトレーニングが右の写真。ペットボトルなど肺に入れる空気が制限される環境の中で、強く吸い込む練習を重ねることで、肋間筋が鍛えられる。最近はこのトレーニング専用機器も開発され、強度の調節もできるようになっているという。井上康生選手をはじめ数多くの柔道日本代表選手を輩出した東海大学でのトレーニングの一例(考案:有賀誠司さん@東海大学湘南校舎15号館) 柔道で良く目にする道着の襟首を掴む動作。柔道着を持って離さない能力や、そこから相手を引っ張る力が勝つために欠かせない。これを「把持力」と言うが、それを強化するために編み出されたのがこのトレーニング。鉄棒に掛けた柔道着をつかんで懸垂運動を行う。このトレーニングは近年では世界的にも採り入れられているという。トップアスリートをサポートするトレーナーになるために必要な資質トップアスリートのトレーニング内容1…コミュニケーション力 2…問題解決力 3…発想力トップアスリートのトレーニング内容は、極めてベーシックな内容と、競技や選手別に勝つための課題克服のためにトレーナーによって編み出された“一風変わった”トレーニングの組み合わせ。時期によって、その配分や強度は変わり、同じトレーニング種目でも違う目的で行うことになる。Ex1Ex2Ex3ベーシックなトレーニングとして広く採り入れられているフリーウェイト5大種目

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