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June,2012 www.fitnessjob.jp1919自分の身体と心の使い方が練習できるヨガ細部の動きが全体の動きを作る ヨガティーチャーやセラピストのための解剖学の講義が分かりやすいと評判の野見山文宏さん。自身もヨガインストラクターとして活動している。その野見山さんが解剖学の講義で特に意識しているのが、部分でなく全体で捉えること。そして、実践のパフォーマンスに活かせる学びが得られるようにすることだと話す。 「解剖学の勉強では、一般的には骨や筋肉の名前を覚えて、骨の形や筋肉の起始停止などを学びます。ただ、解剖学を追求していくことは、身体にどんどんズームを当てていくことになり、見ている範囲が狭まってしまいます。『その部分の仕組みは分かっても、身体全体の繋がりは分からない』ということになりかねません。そこで、解剖学の講義でも、筋肉や骨の名前を覚えることと、同時に、ヨガやその他のエクササイズをするうえで各関節をどう動かせばケガを防げるか、どう動かせばもっと大きく身体が動かせるかに焦点を当てて伝えるようにしています」 野見山さんは身体の動きを部分で捉えるのではなく、全体の中の一部としての視点を重視するが、さらに、最近はインナーマッスルとアウターマッスルの協同にも注目している。 「ヨガやピラティスの浸透で、インナーマッスルがより注目されて、アウターマッスルの価値が下がっている印象がありますが、身体がいいパフォーマンスを発揮するためには、インナーもアウターも両方重要。ただ、アウターはコントロールしやすくアウターが動きを作ってしまうとインナーが動きにくい。そこでヨガではできるだけアウターをリラックスさせた状態で、インナーを活性化させます。インナーで身体の安定性が得られるからこそアウターの大きな動きが可能になる。そうしたお互いの関係性と、べストなバランスを見つけることの大切さを伝えていきたいと考えています」ポーズや形より、自分がどうありたいかを探る 野見山さんはヨガインストラクターとしても、日常でのパフォーマンスに繋がることを重視して指導にあたっている。ヨガのポーズがキレイにとれることよりも、ヨガを通じて自分のあり方が学べるクリパルヨガを追求する。 「多くのヨガ流派は、ポーズをとることに焦点を当て、そのポーズに近づこうとすることで身体や精神を良い状態に近づけようとします。それに対してクリパルヨガは、ポーズができることが目的ではなく、そのポーズを活用しながら自分の身体と対話することを重視しています。ポーズができなくても、そこにいる自分がポーズに近づこうと頑張るのか、逆にすぐに諦めてしまいがちなのかなど、自分の心のバランスにも注目します。それによって、自分の身体と心のあり方に多くの気づきが得られます。自分で気づいて自分のいいところを伸ばしていこうとするのがクリパルヨガ。ビジネスでいうコーチングの考え方に似たアプローチをとるところが特徴です」 クリパルヨガは現在米国でも注目されている現代ヨガの一つで、特に高いストレス下でパフォーマンスが下がりがちな人々に厚い支持を受けているという。クリパル・ジャパン代表の三浦CASE 03徒志郎さんは、こう加える。 「日本でも不況や震災を経て、仕事でも家庭でも、また人生にさえストレスを感じている人が増えています。職場で成果が求められ、家庭でも相応の役割を果たすことが期待され、その形に近づこうとして疲れてしまう。そこでヨガを始めても、ポーズという形をとることが求められたら、またストレスが増えてしまいます。クリパルヨガでは、シンプルなアーサナを一つひとつゆっくり行いながら、自分の身体と心のあり方を見つめ、安心してそのままの自分を認めます。つまり自分らしさを大切にすることをヨガで学び、その自分らしさを安心して生活や人生にも活かすことで、心豊かに日々を送ることをサポートするヨガなんです」YOGAUnplug-lab Japan代表。銀行員としてトップセールスに上り詰めるも、病気を患い東洋医学を学ぶため鍼灸師に転身。治療とともに有機農業・地球環境・ホリスティック医学について学ぶ。セラピストのためにスタートした「日本一わかる!解剖生理学講座」が好評で、解剖学講師として仕事が増える中、2007年頃クリパルヨガに出会い、その考え方に共感。2010、2011年にはクリパルヨガのティーチャートレーニングに参加して認定を得る。現在は、伊豆で半農半講演の生活を送り、自宅でのヨガセッションも行なっている。著書に 『感じてわかる!セラピストのための解剖生理』などがある。クリパルヨガ教師トレーニング・ディレクター81年より鍼灸治療の傍らヨガ指導を始める。クリパル教師となった後、気づきのプロセスを重視したフェニックス・ライジング・ヨガセラピーの要素を取り入れ、参加者の体験から学びを引き出すメソッドを生かした集中コースをデザイン。あくまでもヨガは人生に活かす為の手段をいう現実的な視点から、分かり易く自分自身の生き方を見つめるヨガとして指導を続けている。Story野見山文宏さんとヨガProfessional 三浦徒志郎さん

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