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心が安定することでパフォーマンスも安定するアパレル業界で、見た目の美しさ、華やかさを重視する世界で働く中、「もっと内面を磨きたい」とヨガに興味を持ち始める。始めて1年もしないうちに、自身の心の変化に気づき、身体の内側から健やかになることを実感。その喜びを伝えたいとそれまで続けていた仕事をやめ、ヨガインストラクターへの道に進んだ。現在はスタジオ・ヨギーでクラスを担当しながら、インストラクター養成コースでも指導している。ヨガの哲学に共感し、「日常で辛いことがあったときにもそれを受け入れ乗り越える強さを得られ、小さな喜びもより深く味わえるようになった」とその効果を語る。心が安定する、ヨガの考え方 「人々の健康を支えるフィットネスのインストラクターやトレーナーの方が、仕事の幅を広げるためというより、自身の仕事のパフォーマンスを維持するためにヨガを続け、深めようとする人が増えているように感じます」 そう話すのは、スタジオ・ヨギーでヨガのクラスを担当するマリコさん。最近レッスンの参加者に、フリーで仕事をしている人や、30~40代のビジネスマンの姿が増えているという。その要因に、ヨガの考え方から得られる心への効果があると分析する。「特に震災後にこうした方々が増えていて、以前のように美しさや癒しを求める女性中心のレッスンとは様変わりしてきました。恐らく、長引く不況や震災を経て、人々が大切にするものが変わってきたのだと思います。人と競争したり、目に見えるものではなく、目に見えない人との絆や心のあり方に目を向けるようになってきています。ヨガでは、そうした新しい価値を自分の中に見つけることができ、そのことが日常や仕事のパフォーマンスを高めることに繋がっていくのだと思います」 特にマリコさん自身も大切にしている考え方は「知足」「非暴力」「正直でいること」。ヨガでは「サントーシャ」「アヒムサー」「サティア」としてその考えが承継されている。 「知足」とは今ある状態を受け入れて、その有難さを確かめることだ。「たとえばゴールデンウィーク明けに仕事に戻るのが憂鬱に感じる時、『戻れる日常があるのは幸せですよね』と伝えます。ある参加者の方はそこからの気づきに『明日からまた頑張って働けそうです!』と明るい表情で応えてくれました。考え方一つで翌日の仕事のパフォーマンスを高めることができるし、インストラクターとしても元気が貰えて、またいいレッスンに繋げられます」 同じように「非暴力」は、行為はもちろん、言葉でも攻撃をしないこと。周りの人に対してはもちろん、自分に対しても攻撃しないようにすること。それにより、家庭や職場の雰囲気もよくなり、自分に無理をかけることも減る。 そして「正直でいること」は周りの人の考え方も認め、自分の考え方も認めるという考え方。素直に接することで、人間関係もスムースになる。 こうしたヨガの哲学にマリコさん自身も救われてきたという。家族が病気になったり、仕事で難しいと感じる時、ヨガの考え方でものごとを捉えることで、心が安定し、前向きに過ごすことができたという。そうした体験も交えた言葉が、参加者の心に響く。動きの土台をつくり、エネルギーを発揮する マリコさんが学ぶアヌサラヨガはタントラ哲学という人間的な考え方に基づいており、心に重点をおき、精神に活力を与え、各々のポーズをとりながらアライメントの普遍的な原則を追求していくことに特徴がある。普遍的な原則とは、まず心を開き、ポーズを安定させるための土台をつくり、その姿勢の中心となる部分に意識を集中し、その中心部分にエネルギーを集めて安定させたうえで、エネルギーを外に向CASE 02けて広げていくというもの。アヌサラヨガはアライメントを重視するアイアンガーヨガがベースになっており、身体のアライメントを整えることが、心の安定にも作用するとの考え方に基づいている。「これからも多くの方々にヨガに触れていただき、健やかに日常を送ったり仕事に臨めるお手伝いをしていきたいです。今後は、日々忙しい小さな子どもを持つママたちがヨガを続けられる環境づくりをしていきたいです」YOGAStoryマリコさんとヨガ18June,2012 www.fitnessjob.jp

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