NEXT63
15/68

June,2012 www.fitnessjob.jp1515産後のママにダイレクトに効果を提供する親子ピラティスエアロビクスインストラクターの仕事が軌道に乗り、自分の指導の幅を広げたいと興味を持ったのがピラティス。最初は数日間で認定が得られる養成コースに入ったが、知人に「それはピラティスじゃない」と言われたことがショックで、本物のピラティスを知るべく、国内外のスタジオを回り、2004年にカナダのSTOTT PILATESに出会う。その後、日本で勉強し、マットのみならずすべてのイクイップメントを使いこなせるよう、フル認定を取得。一昨年、ピラティスを深めるため、トロント本部とピラティスの本場NYに1ヶ月半滞在して、さらにトレーニングを積む。現在、親子体操協会ピラティスアドバイザーとしてプログラム開発に携わっている。親子体操をピラティスの視点でリニューアル 「これまでの親子体操の多くが、エアロビクスやフィットネス理論をベースにしたもので、主に運動することによる血行の改善や、気分転換、グループで行うことによる楽しさやママ同士のコミュニケーションの促進などを主な魅力としてきました。これをピラティスの視点でエクササイズを再構築することで、さらにママの身体、特に骨格の調整にダイレクトな効果を提供できるものに生まれ変わります」 こう話すのは、日本親子体操協会でピラティスのアドバイザーを務める寺田紘子さん。同協会理事の大久保裕美さんの産後ピラティスをパーソナル指導する中で、ピラティスの効果に寺田さん自身が驚いたという。大久保さんは帝王切開で第1子を出産。産後2ヶ月から簡単なコンディショニングからスタートし、徐々にピラティスを行っていった。1回のセッションで骨盤の広さが数センチ締まり、腰椎前彎・骨盤前傾型(Lordosis)姿勢が改善するなど、目を見張る効果が見られた。 「産前産後のママの身体は、子どもが産道を通りやすくしようと、ホルモンが働き、あらゆる関節がゆるみます。その不安定になっている中で陣痛から出産へと、いろいろな姿勢で痛みに耐えながら、普段は出せないほどの力を振り絞ります。その後も赤ちゃんにおっぱいを飲ませやすいように首を前に倒した姿勢が続いたり、骨盤やその他の関節がグラグラな状態で赤ちゃんを抱いたり寝かしたり、姿勢不良のままだっこが続いたり。ママの身体は想像以上にグラグラで姿勢不良になりやすく、腰痛や肩こりの起こりやすい状態になっています。インストラクターとしての勉強や今までの経験だけでは分からなかったことも多い分、そこでのピラティスの効果の大きさや、新たな可能性に改めてエクササイズとしての価値を感じました」リハビリからスタートしたピラティスだからできること 日本親子体操協会では、ママの身体がスムースにいい状態に戻れるよう、これまでのプログラムに徹底的にピラティスの要素を入れ込んだ。身体に効果的であることはもちろん、睡眠時間さえ限られているママが短時間で行えたり、赤ちゃんに配慮しながらエクササイズができるように内容も方法も絞り込んだ内容となっている。寺田さんはこう説明する。 「骨盤底筋群へのアプローチや骨盤を安定させ、ニュートラルな状態に導くためのエクササイズ、子育て中に見られやすい姿勢の崩れや、それにより呼吸が浅くなることを改善していく動きなど、産後のママの身体の状態にピッタリ合う内容を選んでいます。さらに、自然分娩の方と帝王切開の方でも、産後の悩みが違います。そうした繊細な悩みにも応えていけるよう今後は、ママ達の意見や子供やママへの指導経験豊富な大久保理事の意見を取り入れた内容に改良を加えていく予定です」 寺田さん自身も赤ちゃんを授かることを目指して、昨年後半から担当するエアロビクスレッスンの担当本数を減らし、その分ピラティスや産前産後のママの身体の勉強に時間を費やしていCASE 06PILATESStory寺田紘子さんとピラティスる。今後は、同プログラムが確実に多くのママのもとに届くよう、協会としての活動にも力を入れたいと話す。 「親子エクササイズの中でも、特に産前産後のプログラムは、病院など医療機関でも、民間のフィットネス関連施設でも、安全性の問題からプログラムを提供する環境を確保するのが難しいのが現状です。それでも産前産後にエクササイズを必要としているママは本当に多い。ピラティスがリハビリからスタートしたエクササイズであることや、数々のエビデンスが揃ってきている昨今、そうしたピラティスの実績や信頼から少しでも多くの施設や専門家からの理解が得られるような活動も進めていきたいと思います」撮影協力:BODY MODE

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です