『月刊NEXT』 No.50
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May,2011 www.fitnessjob.jp31す。西間木 今まではレッスンをするときに、いろいろ考えたり悩んでしまうことも多かったんですけど、今は普通にレッスンができることが本当に幸せなんだなと思えて、今はすごくレッスンがしたいと思うし、自然体で楽しくレッスンができればいいと思えるようになりました。考え方が変わったような気がします。西野 私は震災から2週間後に、横浜クラブでレギュラーレッスンをしたのですが、泣きながらのレッスンになってしまったんです。いろいろな思いが込み上げてきて。今思うと、あの涙はレッスンができることに幸せを感じていたんだと思います。今回の経験で、自分にとって、本当に大切なものは何かが見えてくる気がします。そして今は、使命感に流されないようにしたいと。インストラクターは使命感が強くて、無理してしまうことも多いと思うんです。横浜でのレッスン中、今思うことを言葉にしたり、泣くことができたことで、気持ちが楽になりました。ということは、泣くことも大切なことだていたいろいろなことへの有難さを思い出せた。近所の人たちとの助け合いとか、家族との時間とか、もちろん電気や水道、宅急便とか。以前は普通だったことが、すべてありがたいと思えるようになった。だから震災にも「ありがとう」なんです。子供たちも、大人が協力し合ってるのをみて、電気も水も大切に使おうとしてる。大変な経験をしてトラウマになってしまう子もいるかもしれないけど、何年か後、きっとこの体験は良かったって思えるんじゃないかな。全員 そうだね。3・11は忘れないよね。西野 関東や関西のインストラクターにして欲しいことがあるとすれば、とにかくみんながいつも通りに元気で仕事してくれることが励みになります。森 そう、みんなが普通にしてるからこそ、私たちも希望を持って頑張れる。だから普通にしていてほしい。自粛なんてしないで欲しい。――最後にひとことずつお願いしまって思います。頑張りすぎないことや、スッピンにも慣れました。あとは、友達の大切さが本当に身に染みました。「無事でいてくれてありがとう」とメールが送られてきた時は胸が詰まって、涙涙。みんなが無事で元気でいてくれることが、自分の元気に繋がることを実感しました。身近な人と急に連絡が取れなくなり、知り合いがいっぺんに亡くなるという辛い経験の中で、無事でいられることの貴重さや、友達の存在のありがたさを実感しています。引地 私は実家が仙台なので、震災後1週間はとにかく家族のために、自分の時間もなく動き回り、2週目でようやく食糧確保に走り。3週目でようやく仕事のことやこれからのことを考えるようになりました。電気がないので、すべて明るいうちにやろうと早寝早起きになったり、些細なことにも喜べるようになったことは良かったこと。子どもとも震災以来ずっと一緒にいることで、これまで知らなかった一面も見ることができました。母である自分も改めて見つけられて、本当に貴重な体験になりました。それから気持ちの存在も感じるようになりました。みんなの気持ちでどれだけ元気になれるか。目に見えなくても感じるものがある。森 私はこの4人の中で一番早くライフラインが揃って、もう健常者ですよ。被災者じゃない。多くの人が心配して「何か送ってあげるよ」と言ってくれるのですが、実際、何もいらないんですよ。その気持ちだけで、本当にありがたい。日本全体でみんなが節電したり、それぞれに頑張ってることもありがたい。でも一方で、津波や原発で大変な生活を強いられている人もまだまだいる。それを思うと、近くにいる私たち健常者でも、沿岸部の人にできることは少なくて、とにかく祈って気持ちを届けたい。そして、自分たちが元気に暮らしていくことが大切なんだと思います。「生きてるだけで丸儲け」という歌詞がありますが、生きてるだけで本当にありがたい。だから、みなさんにメッセージを送るとすれば「ありがとう」と伝えたいです。私は震災で貴重な体験をさせてもらったし、見えないことがいっぱい見えてきたことに感謝しています。近所の方と今も一緒にランチしていますが、別れるときの合言葉は「じゃ、また揺れたらね」って。地震があったことで、そういう新しい人の絆にも恵まれた。あとは、身体が強くて良かったです。震災後、病気一つせずに来れたことにも感謝しています。「フィットネス」って適応できる能力のこと。フィットネスをやってきた PrayforJapanPrayPrayforforJapanJapanJapan人は、「自分なら歩ける、自分なら持てる」って自信があるからこそ動けるし、力を出せる。仲間のインストラクターたちも、会員さんたちも強く行動してくれていることを信じています。私はフィットネスのインストラクターとして、これからもそういう人たちのリーダー的存在でいられたらいいなと思います。今はまだ自分の生活を立て直すことが一番ですが、仕事が再開できるようになったら、そういう強い人が一人でも増やせる仕事を続けたいと思います。――普段の生活に戻ったら何がしたいですか?全員 肉とか魚とか、たくさん食べたい!牛タン食べたいよね。みんなの生活が戻ったら、絶対行こうねーー!!

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