『月刊NEXT』 No.50
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30May,2011 www.fitnessjob.jpいので、まずはボランティアでできることから始めて、レッスンが再開できるようになるのを待つしかないなと。今は貯金をくずしながらの生活ですが、どうにかやっていけるんじゃないかとは感じています。私は明日のボランティアが震災後初めてのレッスンです。小さい頃過ごした名取市の中学校や小学校に、まだ数百人の人が避難していると聞いて。昨日訪ねていって、直接担当者の方に相談してみたんです。でも、その担当者の方も初めてのことで、避難所の方々にとって何がいいか把握しきれていない。避難所ではみんな座って生活しているということで、まずは全員の方を対象に体操をやってみましょうということになり朝ごはんが終わった後に、「軽い体操」から始めてみます。受け入れてくれるか不安もありますが。引地 あまり自分が何をするというより、みんなの気持ちを受け入れるくらいで、構えないで、自然体で中に入っていっていいと思う。前向きになれている人もいれば、まだそうなれない人もいるだろうから。それぞれの人の気持ちに寄り添って、前向きな人には元気に、そうでない人には、もう少し時間をかけて受け入れていきましょう、っていう気持ちを共有できればいいんじゃないかな。避難所の人もそれぞれ辛い気持ちを自分の中に閉じ込めようと口数も少なくなってしまうと聞くので、お互い背中をトントンたたいたり、手を握ったり、触れ合えることでも心が和むと思う。――フィットネスインストラクターでよかったなと思うことは?森 人とは違うモチベーションとコミュニケーション力の高さでしょうか。引地 水を汲むところに年輩の方が多くて、水も重いし、キャップしたりするのに時間がかかるのを見ると、見てられなくて手伝っちゃうんですよね。私が水入れますからキャップしてくださいって。それで、少しでも列に並んでいるみんなが効率的に水が汲めるように、列の後ろのほうの人にも「キャップ開けといてくださーい」とか仕切っちゃう。西野 それって、私たちの職業病かも。洞察力があるから大勢でいると、余計に隅々まで目が行き届く。みんなコミュニケーション力があるから、助け合いの場面でも、自然に回りの人の力になれる。森 震災直後は、見知らぬ人と一緒に寝泊まりしたんですけど、その場を和ませるのも得意ですよね。一緒に過ごした人に「本当は悲しくて辛いはずなのに、森さんといれて、何だか楽しかった」と言われたんです。それを聞いて、これからもそういう役割をしていけばいいのかなと思いました。――東北地区以外で活動するインストラクターに、何かできることはありますか森 震災後、みなさんからのメールがどれだけ温かかったか。「元気だよ。炊き出し頑張ってるよ」とかって返事すると、「こっちがパワー貰えた」ってまたメールをくれて。そういう時って、文章よりも、とにかく思い出してメールをくれた、そのことが何より有難かった。そういえば、震災から毎日、何百回って「ありがとう」って言うようになった。引地 そうだよね。自分のことを気にかけてもらったことで、がんばろうと思えた。ありがたいです。西野 毎日、感動してばっかり。森 ほんと、自分たちが今まで忘れりますが。西野 スポーツクラブは先に重油が手に入ってお風呂を解放していたので、近隣の人も、インストラクターも、すごい喜んでいました。引地 ライフラインが戻ってきて、気づいたらもう3週間経ってたという感じ。ガラスが割れたり、壁が崩れていたり、ものが散乱して多くの建物に被害が出ている状態だし、ガソリンや灯油、重油の不足も連日報道されていました。公共の体育施設や学校は避難所になっていました。お仕事のことなんて考えられる状態じゃなかった。西間木 私はシングルで子供を育てなくてはいけないので、震災で仕事ができなくなった時点で、どうやって生活していこうと途方に暮れました。私が仕事をしているクラブも営業再開は5月から。サークルで利用していた市民センターも点検が後回しになっているようで再開のめども立たず。先が見えなくて悶々としていた時期もありました。でも、気持ちがだんだん切り替わってきて、そればっかりを考えていても仕方がなかせるって。――震災からちょうど3週間ですが、この間、仙台のクラブや仕事の状況は?西野 仙台のグランスポールは、震災後すぐ営業再開。レッスンも午前午後2本ずつやっていました。震災直後は、ガスが復旧していないためにお風呂には入りたくても、身体を動かそうという気にはなれなかったみたです。ジムもスタジオもあまり人がいなかったと聞きました。森 ルネサンスの南光台クラブは、4月1日からレッスンも再開。泉中央クラブは2日から。両クラブとも一部損傷で利用できないエリアもあやインターネットだったので。緊急の電源から充電して節約して使っていました。安全確認には携帯電話の「災害伝言ダイヤル」が役立ちました。相手の電話番号を入れると、その人からの伝言が見られるというもの。これが一番機能していたように思います。引地 電気がない間はローソク。お墓参りセットの中にあったものが活躍しました。森 うちはソーラー発電懐中電灯。自発式でラジオもついて、電気もつけられて、携帯も充電できた。西野 石油ストーブがあったところは、活躍したって聞きました。石油ストーブだと暖も取れて、お湯もわ関東や関西のインストラクターして欲しいことがあるとすれば、とにかくみんなが普通に元気で仕事してくれることが励みになります

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