『月刊NEXT』 No.45
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この分野の指導に必要なことは何ですか?活動を続けるうえで難しいことと克服方法は?まず、高齢者の方を尊敬する気持ちを持っていること。そのうえで、老年症候群について理解し、それを踏まえた指導が提供できること。老年症候群にある、認知機能の低下や口腔機能の低下などはすべて高齢者のコミュニケーション力を低下させる方向に進行していきます。介護予防では、高齢者がコミュニケーション力を維持できるようにすることがポイントです。自分が体験したことのないことを、説明したり教えることに難しさがあります。勉強したことをそのまま伝えるのではなく、参加者の方から体験談を引き出しながら、参加者同士で情報を共有したり、共感したりできるようにしながら、助言するように伝えていくよう心がけています。立位の運動が伸び伸びできる「プール教室」で社会貢献! 06CASE教えて!社会貢献Q&A全国の施設を活かして地方自治体の活動を受託ヘルスケア事業本部として、若年層から高齢者までの健康づくりや生活習慣の指導などを行っている。全国に広がる自社施設や指導者のネットワークを活かして、主に地方自治体の活動を受託。指導内容、教室の運営方法ともに多様化させている。公園を活用した運動指導や、ウォーキングイベントなどの運営受託も手がける。 ルネサンスでは、大手チェーン企業の中でもいち早く2006年にヘルスケア事業本部を立ち上げ、介護予防やメタボ予防をはじめ、広く地方自治体の健康づくり活動をサポートするサービスを提供している。その立ち上げから関わっている鈴木有加里さんは、自治体のニーズや政策の変化に合わせ、サービスを企画提案している。その中で、昨年墨田区に提案し、参加者からも自治体からも高い評価を得ているのが、プールを利用した運動教室である。「高齢者の方を対象にしたクラスの多くは、座った体勢で行うものが多いのですが、介護予防の効果を考えると、自力で立位の動作ができることも重要です。プールでの運動は、浮力で膝や腰への負担が軽くなり、立位での運動が可能になります。水が身体を支えてくれることで転倒リスクもグッと下がります。また、水中の不安定さを利用しながらバランスを取り戻す力が高められたり、水の抵抗が360度にかかることで、筋力強化も行いやすく、水圧により血液の循環も良くなることなど、いいことづくめです。若い頃にプールに馴染みがなかった世代の方でも、地域で提供している教室という安心感からプールに入ってみると、陸上でできない動きを伸び伸びとできる楽しさが味わえて、キャンセル待ちの方のほうが多いほどの人気です」 レッスンは90分。看護師を配置し、指導者は、メインのインストラクターの他、参加者の定員15名に1人の割合でアシスタント・インストラクターをつけている。クラスは血圧測定や体調確認からスタートし、水中では、まずバランスを崩した時のバランスの取り戻し方を練習することで、不安やリスクを取り除く。水中では体温の熱が奪われやすいため、水温も高めに設定し、クラスの途中でトイレ休憩を入れることで失禁にも対処するなど、きめ細かい配慮が施されている。「フィットネスクラブは立地がいいので、高齢者の方も通いやすく、営業中にこうした教室が提供できれば、同じ年代の方が元気に運動を楽しむ姿も目にできて、励みにもなります。今年8月に地域支援事業規定の改定があり、これまで対象者の把握に義務付けられていた健康診断の受診が免除されることになりました。これにより、今後さらに利用者が増えることが予想されます。本当の意味での介護予防は、自立した生活を続けられる人を増やすこと。そのために、立位での動作を重視株式会社ルネサンス 鈴木有加里さん株式会社ルネサンス ヘルスケア企画部長。健康運動指導士、介護予防主任運動指導員、ヘルスケアトレーナー。企業や自治体向け健康づくりプログラムの企画・開発や指導、指導者育成などに携わる。☜本誌19ページに株式会社ルネサンスヘルスケア企画部の求人情報があります!Profile地域のサービスと民間のサービスの連携をとっていくことは、有効だと思います。今後は『運動教室』というだけでなく、『ひざ痛予防』『腰痛予防』『認知症予防』など目的別にも教室を設定できるようになるので、民間のノウハウを活かして、積極的に新たなサービスを展開していきたいと思います」高齢者の自立をサポートAQAQ活動内容December,2010 www.fitnessjob.jp13

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