『月刊NEXT』 No.45
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活動を続けるうえで難しいことと克服方法は?人材と資金の確保。両者が確保できる仕組みづくりが必要。人材は、社会貢献の活動を近隣の大学の単位に認めて貰えるよう働きかけています。学生が社会貢献に携わることで机上の勉強を超えた実践力が身につき、結果的に就職にも優利になるような流れができればと思っています。活動資金は地方自治体や企業に助成金を申請したり、1人1回100円という参加者負担をお願いして確保しています。将来的には社会貢献の運営面での知識とノウハウを持つ「社会貢献指導士」の創設を目指して働きかけをしていきたいと思います。この分野の指導に必要なことは何ですか?「行動力」「コミュニケーション力」「粘り強い持続力」。社会貢献の現場で、この3つの力を高めるのは、「志」。「地域の人々に運動をして元気に過ごしていただきたい」と強く願う気持ち。運動指導の現場は今やリハビリからアスリートのパフォーマンスアップまで、子どもから中高齢者、障害者まで広がっています。社会貢献に強い気持ちを持っていることが必要な資質を高めることに繋がると思います。05地域のコミュニケーションの場「公園体操」で社会貢献!CASEAQAQ教えて!社会貢献Q&A地域との連携を生かした教室運営など2005年にNPO法人健康支援エクササイズ協会を立ち上げ、指導者育成や、講演会、研究・開発を続けながら、地方自治体や企業などが開催する教室への指導者派遣事業などを行っている。現在も、保健所、社会福祉協議会、教育委員会をはじめ、高齢者サークルなどターゲット別に自主活動も展開している。 初心者や高齢者の指導にいち早く取り組み、棒を用いて歩行の基本である片足重心の質を高める「棒ビクス」や、笛を用いて呼吸筋を鍛える嘆息疾患者向け「息活き体操」など、ニーズに即したプログラム開発実績を多数持つ藤原葉子さんが注力しているのが「公園体操」。2006年に20名からスタートした活動が、現在では3カ所に増え、合わせると90名以上が参加。「長くフィットネスクラブでもクラスを提供させていただいていますが、様々な事情でクラブに来られない方も多くいらっしゃいます。日本のクラブ参加率は3%ですので、クラブに来られない97%の方々にも、何かできないかと考える中で思いついたのが、公園の活用です。公園は小さな子どもも集まる地域のコミュニケーションの場。自宅から歩いて来れる場所で運動ができれば、参加しやすく、、ご自身でも続けやすい。指導をマニュアル化したこともあり、近隣の大学生や地域の高齢者の方々も指導者として活躍してくれています」 公園体操は60分間のプログラムで、砂場の段差を利用した昇降運動、砂場のふちを歩くバランス運動、鉄棒を支えにストレッチや下肢のトレーニングを行い、広いスペースで地面に線を引いて、円や列でゲーム感覚で行う認知予防など、公園の設備を有効利用する。公園の選定は、近くにトイレがある公園を選んでいる。 公園での指導はお金がかからないと思われがちだが、通常は地域の土木事務所への申請が必要。原則有料だが、地域の大学教授からの賛同を得て、研究の一環として公園を無償で借りられることに。血圧計やAEDは、助成金を申請して調達した。「社会貢献の事業を続け、広げていくには、お金と人の面での仕組みづくりが必要です。無償ボランティアでは限界があるので、私たちは有償ボランティアという立場をとり、必要経費が賄える仕組みを作ってきています。活動を広げていくうえでは地域の自治体や企業などの理解を得ることも必要で、そのために、大学や異業種交流などにも足を運んで、社会的に影響力のある方々とのコミュニケーションも大切にしています。昨年4月に私自身、変形股関節症の手術をした経験から、運動に関する情報が少なく、不安を抱えながら困っている人が沢山いることを身をもって体験しました。生活者の方々が必要な情報と運動の場が得られ97%の方のためにできることを形に健康支援エクササイズ協会会長 藤原葉子さん関西外国語大学卒。OLを経てエアロビクスインストラクターに。出産中に目にした「ランニングと免疫」の記事を見たことをきっかけに、運動強度と健康の関係に興味を持ち追求。その過程で初心者向け指導から高齢者指導へと幅を広げていった。棒ビクスをはじめプログラム開発実績も多数。フィットネスクラブから地域の指導まで幅広く活動している☜本誌47ページに健康支援エクササイズ協会の養成講座の詳細があります!Profileる環境づくりをさらに進めていきたいと思います」社会貢献の輪が広がる仕組み活動内容12December,2010 www.fitnessjob.jp
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