『月刊NEXT』 No.45
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れまでと一味違った楽しさを感じてくださったようで、保健師さんや健康運動指導士の繋がりで、仕事が仕事を呼ぶようにどんどん広がっていきました」 地域の仕事を始めて15年。当初はインストラクター2人で始めた活動だった。「チームホットハート」として続けてきた活動をNPO法人化したのは6年前。現在では60人のインストラクターが登録している。地域の運動指導を、経験をもとに独自でマニュアル化。それに沿うように指導者を養成してきたことも、倍増する地域での運動指導ニーズに応え続ける基盤となっている。「社会貢献の活動の中心は地方自治体からの受託。つまり税金で賄われています。『社会貢献』というと、ボランティア的なイメージを持たれる方も多いですが、やり続けるためには、一定のクオリティを備えた指導サービスを提供し続ける仕組みが必要。その仕組みづくりには企画力やプレゼンテーションをはじめとしたビジネス力が求められます。今後も生活者の方にはできる限り安価で参加しやすい環境づくりを進めて、全世代の方々の生活の一部に入れるように活動していきたいと思います」 ACSM、健康運動指導士、コアコンディショニング協会などの講師としても活躍する漆崎由美さんは、地元福井では「運動の先生」として、全ての年代の人に親しまれている。0才の乳幼児健診後の「親子体操」から始まり、保育園での運動指導、小学校の「思春期体験」、中学高校の授業参観などでの「特別授業」、ママ世代には「親子体操」や「ママサロン」で会い、中高齢のメタボ世代には「ヘルスアップ教室」、高齢者層には「転倒予防こつこつ体操」と、まさに“ゆりかごから墓場までの運動指導”に携わっている。その経緯についてこう話す。「そもそも生涯体育に興味を持ったのは高校の時。体育の先生が『学校体育は高校まででその後は社会体育でしか運動する機会がなくなる。社会体育の場では先輩後輩も一緒に楽しめる』という話を聞いてから。それで大学で『生涯体育』を専攻しました。卒業後は大阪のフィットネスクラブに勤めていたのですが、7年後に地元福井に戻ってきたときに、鯖江市で長年続いている市内全域を回る仕事を依頼されて。これがその後の生涯体育の仕事に繋がっていきました。クラブでの指導で学んだことを活かして運動を紹介したところ、そ仕事が仕事を呼ぶ社会貢献こそビジネス力が必要この分野の指導に必要なことは何ですか?活動を続けるうえで難しいことと克服方法は?生活者の方々から、「何でも言いやすい、相談しやすい」と感じて貰うこと。気軽に話しかけられる「普通さ」が重要。地域の活動では、家庭環境も、教育レベルも違う人が集まり、それぞれの感じ方も違う。環境の違いに理解を深めるとともに、全員に受け入れられる人柄や伝え方が必要です。生活者が参加しやすい環境や値段でサービスを提供するには、自治体からの助成金が資源となるため、自分たちの思いやサービスの価値をお金に変えて説明できる力が求められます。そこで、企画や書類作成など運動指導とは全く違う能力が必要になりますが、最初のうちは各市町村の定型書式にそって書類を作成して提出していました。それに慣れると自分で作成することができるようになります。他には「手紙の書き方」「書類の作成方法」などの本などは購入して、参考にしました。NPO法人生涯体育学習振興機構理事長 漆崎由美さん日本体育大学卒業後、グンゼスポーツ社員を経て、フリーインストラクターに。地域の健康増進に携わるべく平成8年チームホットハートを設立。これまでフィットネスセミナーを14回開催し、毎年500人以上の参加者を集めている。指導者養成をはじめ、アドバイザー業務も多数。NPO理事長として生涯体育学習を広げる啓発活動も行っているProfile福井県を中心とした地域施設での運動指導「ゆりかごから墓場までの運動指導」を理念に掲げ、実際に子どもから高齢者までの多種多様な運動指導サービスを提供。福井県、福井県内の市町村の子育て支援センターや、学校、社会協議福祉会、地域包括センターなどへの指導者の派遣のほか、運動指導者および地域スポーツリーダーの育成などを行っている。03「ゆりかごから墓場まで」のフィットネスで社会貢献!CASEAQAQ教えて!社会貢献Q&A活動内容10December,2010 www.fitnessjob.jp
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