『月刊NEXT』 No.44
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お話を聞いた方 柳下陽子さんティップネスFIT VITベビースイミングテクニカルトレーナー、バージニア・ハント・ニューマン国際賞受賞、練馬区水泳連盟理事指導歴33年。自身の出産を機にベビースイミングに参加。そこでコーチに勧誘された。当時習っていた指導法を深く知りたいと、米フロリダ州ボカ・ラトン・ライフスタイルスイミングスクールの指導者コースに参加。同泳法・教育理念の日本で唯一の指導ライセンス保持者でありその伝導者。毎年同スクールを訪れ研鑽を重ねてきている。親子スイミングで、ヘルシーベビーを育てるFIT VITベビー・乳幼児スイミング ティップネスの親子スイミングが目指すのは、25mをフリースタイルで移動できるようになること。そして、将来につながるスキルを身につけること。不慮の事故で水の中に落ちてしまった場合でも、自分の力でその場所に戻れる力を養うことを課題に置いている。そのため、身体を浮かせるヘルパーなどは使用せず、水の中でも自分で自分の身体をコントロールできる能力が培えるようにプログラミングされている。 「子どもがいつも楽しめることが最優先です。楽しみながら水に潜れるようになることで息こらえを行い、心肺持久力も向上しますし、浮力がかかる不安定な環境にいることでバランス力も鍛えられます。水中で動くことでコーディネーション力や関節可動域も広がりやすい。そして何よりプールで遊ぶとお腹も空くし、疲れるので夜よく眠れるようになります。近年子どもの体力不足が問題になっていますが、よく動いて、よく食べて、よく寝ることが、子どもの成長には何より。水の中はもとより、将来自分の身体を守れる基本的な体力要素を培うことができるのです」自分を守れる、自分で生き抜く力を養う!Programs4&HealtyベビーHappyキッズを育てようママにとっては子どもが自分で身を守れる力がつくまでは、親が子どもを守る全責任を負っています。プールの中では、手を離してしまえば、溺れてしまう危険がすぐそこにありますから、ママはその責任が実感できます。子どもを観察すること、子どもをあるがままに受け入れて、できるようになるのを待つことで「自分が子どもの最高のサポーターだ」という自覚も得られます。もちろん、子どもと一緒にプールの中で動くことで、産後の体力回復効果や、だっこやおんぶで負担がかかる関節をほぐす効果も得られます。親子スイミングでハッピーベビーが育つ理由違う環境に慣れる!自分で自分を守れるようになるには、まず「親子」だけの環境から、違う環境に慣れることが第一歩。そのためには、コーチや水が好きになること。子どもが安心できる環境をつくりながらも、外の世界への興味を引き出すことで、楽しく取り組めるようになる。楽しくもぐる!楽しく動く!子どもにとって大きな課題の一つ「顔つけ」。ここでは、歌を歌いながらヌードルで作ったブリッジをくぐる遊びをしながら自然に子どもが潜ることを体験する。プールサイドで好きなおもちゃを選んで、プールの中で待つコーチに渡したり、プールの底に沈んだカラフルな輪を拾ってくることで、水中を上下左右に動くことを覚えていく。バランス感覚をつける!水がつくる不安定な環境で身体を安定させようとすることでバランス感覚が身につけられる。この時期にできるだけ多く体験しておきたい。バージニア・ハント・ニューマン国際賞受賞!アジア、女性で初めてヴァージニア・ハント・ニューマンは1950年から乳幼児水泳を始め、 “ベビースイムの母”として世界中に知られる。彼女の指導法は世界中の多くの乳幼児水泳に取り入られている。柳下さんの受賞は、子どもを指導の中心に据え、子どもに恐怖心を与えないというヴァージニアの考え方を理解し、それを独自の方法にて根強く継続的に広めていったことが評価された。アジアで、そして女性では初めての受賞となった。NEWS!November,2010 www.fitnessjob.jp15
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