Fitness Business65
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March-April 2013 ◎ Fitness Business 6583アメリカのフィットネス業界は、過去幾度となく経済の低迷を経験してきた。しかし、そのなかで生き残ってきただけでなく、さらに新しい業態を生み出して新たな消費者を呼び込んでは、成長を続けてきた。本号では、アメリカのフィットネス業界の成長記録をまとめた最新の『IHRSAヘルスクラブ消費者レポート2012』を紹介したい。経済の悪影響跳ね返し、成長続ける『IHRSAヘルスクラブ消費者レポート2012』は、毎年身体活動評議会が主導となって行う、アメリカ人の健康と運動の状況についての調査結果をまとめたものである。2012年に入って行われた最新の調査では、38,172人のアメリカ人に対して聞き取りを行った。クラブサービスの受け手側の行動および人口統計的データの変化との相関関係について、過去3年間分の他調査によって得られたデータと結び付けてまとめている。レポートでは、アメリカのフィットネス業界について、これから先数年分の見通しを提供するなど、数々の興味深い情報を掲載している。レポートのなかで最も興味を惹くニュースは、’11年末時点のクラブの利用者数だろう。その数は、過去最高の5,900万人に達したという。年間の利用回数も上昇し、1人あたり平均102.5回という結果が出ている。過去に、長年経済不況を経験してきたからというわけではないが、悪い影響をすぐに払拭する力がこの業界にはある。次の成長度合いを知れば、それを感じていただけるだろう。’00年、クラブには3,790万人が通っていた。それが’10年には5,020万人に、そして、’11年に入ると5,140万人までに増加した。過去10年間で、およそ1,400万人も増え、ほぼ40%の成長を遂げたことになる。これは、’00〜’10年のアメリカの人口増加率が9.7%であることを考えると驚くべき成長である。これについて、IHRSAのボードディレクターである、アート・カーティス氏は次のように述べている。「この業界は、月会費制ビジネスモデルのため、安定して収入を得ることができます。また、一過性の流行などにも左右されにくいため、ほかの事業と比べて安定しています。ですから、投資家たちにも人気なのです」。また、IHRSAのシニアリサーチマネジャーであるメリッサ・ロドリゲス氏は、そのほかの成長要因として、運営側が常にプログラムや設備のアップデートを試みたり、新しい消費マーケットを模索したり、最新のフィットネスを取り入れようと努力している結果だと述べている。次より、レポートの内容の一部を紹介したい。入会増える35〜54歳会員構成をみると、35〜54歳の年代が増え続けている。別のいい方をすれば、1946年から1959年までに生まれたベビーブーマー世代の中で最も若い層と、1980年代に成人に達したX世代(1960年〜1974年生まれの人々)ということになる。この年代は特別新しいマーケットではないが、’08年以降18%も成長している。考えられる理由として、彼ら彼女らは、社会人としてキャリアも積み、それなりの給与を得て金銭的な余裕があること、また自分の健康について気にし始める年齢であるからだろう。また、レポートによると、多くの高齢者が体重の管理を目標に運動する一方で、X世代の人々は、特定のスポーツに活かすためのトレーニングに励む人が多いという。主流は中流家庭に会員の年収については、50,000〜74,999ドルの中流家庭が、’08〜 ’11年で1,010万人へと25.7%増加した。これは、以前は比較的裕福であった人々が、経済の低迷によって収入が低下したことが大きく関係しているようだ。そのため、現在は多くのクラブで中流家庭の会員が主流となっている。一方で、彼ら彼女たちは運動を行うことのメリットをきちんと理解しているため、たとえ収入が低下しても、退会する可能性は低い。しかし、これら収入の低下が、最低限のサービス提供す本誌提携IHRSA『クラブビジネスインターナショナル』からの情報■ 米フィットネス業界、2013年を起点に新たな成長を予測─『IHRSAヘルスクラブ消費者レポート2012』より『IHRSAヘルスクラブ消費者レポート2012』

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