Fitness Business 60 ◎ May-June 201280フィットネス館 広島駅前店注目クラブ好立地、低価格、ホットプログラムで初心者層を獲得「カラオケ館」などを運営する株式会社ビーアンドブイは、2012年4月5日、同社初のフィットネスクラブ「フィットネス館」を広島駅前にオープンした。同社の新戦略を活かし、フィットネス初心者の取り込みを図り、オープン前ですでに約900名の好集客を実現している。NiceClub同社は、全国に「カラオケ館」を113店舗、「マンガ・ネット館」を8店舗展開している。同社代表取締役渡部記春氏は、ここ数年、それに続く事業の展開を模索していた。そのなかで「ライフスタイルに取り入れられやすく社会貢献できる事業」として、渡部氏自身も利用しているフィットネスクラブの出店を決めた。駅前や繁華街に施設を保有しているという同社の強みを活かし、まずは遊休スペースとなっている場所へ出店することとした。同クラブを出店した広島駅周辺は、半径3㎞圏内の人口が約16.5万人とそれほど多くないこにに加え、競合も比較的多い。しかし、もともとスパを運営していたため大規模な工事が必要なく、低投資でのオープンが可能だったことから、出店を決めた。そのような立地条件において差別化を図るため、5,000円という価格にこだわった。「新聞の調査で、フィットネスクラブに通いたいけれど通っていない人の3割以上が『通おうと思う価格は5,000円以下』と回答していました。その価格を実現したときにどれだけ集客できるかを知りたかったのです」(渡部氏)同施設は延床面積が150坪以下とやや狭い。そこで、株式会社コザックススポーツ五十苅知博氏からのアドバイスを受け、女性専用施設として運営することにした。スタジオではすべてのプログラムをホットで行い、若年層の取り込みに成功している。チラシによるプロモーションでは30〜50代の入会が多かったが、フリーペーパーからの反響は20代の割合が高かった。駅前立地、低価格、女性専用という好条件により、見学者の98%が即日入会に結びついている。スタジオプログラムは15〜45分のショートレッスンで構成している。初心者が会員さまの99%と非常に多いため、JOYBEATで基本をつくり、TRYで定着を図るというのが五十苅氏の考えだ。レッスン時間を短くすることで、ジム利用の促進とともにクラブの滞在時間短縮の実現を図った。結果、利用率20%、坪当たり会員数7名と高効率での運営が可能になっている。初心者が多いため、スタッフのオペレーションが、退会を抑えられるかどうかの大きな鍵となる。同社はクラブ運営のノウハウをもっていないため、スタッフの採用・教育に関しては、ルーキーズを運営する株式会社ファーストリミテッドに委託し、「市場を潰さないためにも、退会率を抑え、プロモーションを行わなくても維持できるクラブづくり」を目指している。同クラブの成功により、同社は今後、首都圏・関西圏を中心に積極展開していくことを視野に入れている。「首都圏への出店となった場合、価格帯は変えざるを得ません。そうなったときに会員さまを得るために、単純に値上げするのではなく付加価値を提供していかなくてはならないと考えています。当社の場合、立地条件がよいことが多いので、プロモーションは行わずとも集客が可能だと思います。フィットネスに集客力があることは同施設で証明されたので、カラオケ館、マンガ・ネット館とともにひとつの建物全体に相乗効果が生まれることを期待したいですね」(同社社長室付特命事業部長黒羽幸一氏)フィットネス館の展開により、新たなフィットネス参加者の創造が期待される。
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