Fitness Business 60 ◎ May-June 201278オアフクラブ若葉台注目クラブ高齢化した団地に新たな層を呼び込む2012年4月10日、横浜市旭区若葉台のNAS横浜若葉台跡地にオアフクラブ若葉台が新規オープンした。周辺施設とともに、高齢化する地域の若返りを目指す。NiceClubオアフクラブは綱島と多摩川に展開しており、オープンから30年が経つ綱島店を’13年に大がかりなリニューアル工事をすることを予定している。同社は、同クラブのお客さまおよび同社のスタッフの受け皿となる新たなクラブを横浜市内にオープンすることに決めた。そこで、 ’11年3月までNAS横浜若葉台があった同施設に、新たに入居することとした。オアフクラブ若葉台が位置するのは、横浜市旭区の「ショッピングタウンわかば」に隣接した若葉台団地内である。県が運営している同団地は1970年代後半にできたが、高齢化が進み、人口も減少傾向にある。県も同地区を活性化させるために同クラブの入居に積極的だった。周辺のショッピング施設も集客につながるであろう同クラブの出店には協力的で、プロモーション時には場所の提供やチラシの掲示などをサポートしてくれた。同クラブは団地の住民をメインターゲットとしている一方で、「商圏を広げて年齢層が下がるとクラブも活気づくと思うので、今後は団地外の方の参加率を増やしていきたいですね」(同クラブ支配人藤巻満氏)と、団地外の半径2〜3㎞圏内からも集客を増やしたいと考えている。競合が多い同地域で集客を伸ばすために、フルタイム会員の会費を8,925円まで抑えた。しかし客単価確保のために多数のオプションをつくったことが奏功し、客単価は9,000円強となっている。「高齢者が多いことが想定されていたので、あえてデイタイム会員はつくりませんでした。結果、フルタイム会員が全体の9割弱を占めています。実際現在の会員さまの平均年齢は55歳以上です」(藤巻氏)プロモーションは、まずは団地の住民対象の特典を設けて1月中旬にポスティングを行った。その後、2月上旬からは半径約2㎞圏にチラシを配布、3月にはキッズスクールのバスルートである半径3〜4㎞圏にチラシを配布した。施設は2階建てで、置かれている植物やポップのイラストなど、ところどころにハワイの雰囲気を醸し出している。これは、ハワイ・オアフ島にも店舗をもつオアフクラブならではの強みである。施設は大きな改修工事は行っていないが、高齢者のお客さまが多いという想定のもとシャワーブースを縮小して浴槽を設けた。有酸素マシンの台数はさほど多くないが、振動マシンやジョーバなどパッシブ系のマシンを充実させている。オープン時の会員数は約1,000名と、ほぼ目標通りに推移。9月末には、ブレークイーブン会員数となる1,800名を達成することを目標としている。現時点でフィットネス会員とスイミング会員の割合はおよそ8:2だが、フィットネス会員でスイミング指導のオプションをつけている会員さまが半数近くにのぼる。スイミングスクールに定評がある同社は今後スイミング会員の取り込みに注力していく。そのために、まずはゴールデンウィーク中にスイミングスクールの無料体験やプール開放などを行い、話題づくりをしながら施設を知ってもらいたいと考えている。「大規模な集客を目指すより、団地の住民の方を中心に“辞めない集客”を目指しながら新たなお客さまも入りやすい環境をつくり、クラブはもちろん、このショッピングタウンを活気づけていきたいですね」藤巻氏がこう話すように、同クラブは県や周辺施設と連携をとりながら、地域の活性化を目指していく。
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