May-June 2012 ◎ Fitness Business 6073フィットネス業界の未来特 集Featureまず取り組むべきはスタジオの整備今の日本のフィットネスクラブに最も求められるのは、スタジオの整備でしょう。スタジオの需要は大きいのに、キャパシティが小さすぎたり、提供プログラム数が少なすぎたりで、本来の需要を吸収できていないクラブがまだ多数あります。ターゲットすべき顧客を明確にして、スタジオのキャパシティを確保したうえで相応しいプログラムをコーディネイトし、もっと参加者を増やし満足度を高めていくべきです。必要ならジムのスペースを削ってでもスタジオのキャパシティを確保すべきです。ジムをトレーニングで使いこなせるお客さまが一定数に達するにはクラブで週に1回しかトレーニングしないよりも効果があります」。コンテンツとしては、「寝る前のヨガ」や「モーニングピラティス」といったものが人気です。面識のあるインストラクター、トレーナーが映像に登場し、語りかけるように指導すると評価されます。このなかで、使用しているツールなどもかなりの確率で購入していただけます。こうしたホームフィットネスのためのコンテンツ配信はさほど難しくなく、コストもかからないためすぐにでも実施できます。私はかなり前から提言していますが、まだ実施しているクラブは少ないようです。しかし、今後急速に増えていくことでしょう。Vision 3信念の明確化により人と技術を育成せよ株式会社フィットネスビズ 代表取締役CEO 遠藤一佳氏進歩なき停滞ここ数年、フィットネス業界は売り上げ、参加率などが伸び悩んでいます。このことに関しては、他業種に比べて、落ち込みの幅が少ないという指摘もありますが、私は楽観的すぎると思います。なぜなら、落ち込みの激しい家電業界や外食業界に比べ、フィットネス業界が高い経営努力をするによって、そのような結果を勝ち取っているとは思えないからです。フィットネス業界各社より、ソニーのほうがよほど努力していると思います。要するに、「運動」というトレンドや技術革新などの影響を受けにくい分野で、大きく伸びることも縮むこともないまま、現在に至っているのだと思います。私は20年来、業界誌などを通じて「このまま行けば将来は伸び悩む」ということを公言し続けてきました。フィットネス業界関係者が様々な社会要因や政治要因を取り上げて、「これからこの産業は伸びる」といっている時代を含めて、一貫して姿勢を変えてきませんでした。よって、現在の停滞は「起こるべくして起こった未来」だと思います。私は今、フィットネス業界各社が成すべきことは「フィットネス業界が5〜10年先どうなるか?」を考えることではなく、「自社がこれから5〜10年をどういう信念で臨むのか」を決意することだと思います。明らかな基本的原因フィットネス業界が停滞する原因は明快です。それは、今も昔も経営者の大半に「信念」がないからです。「信念」とは「国民の健康づくりこそが、自らの本分であると考えること」です。そして、「病気のない社会こそが、国民の快適な生活の最大のインフラであり、その実現こそが自分たちの使命である」と心の底から思うことです。私は最近わかったことがあります。それは、フィットネス業界の多くの経営者は以下の3つの参入動機のどれかに該当しているということです。まだもうしばらく時間が必要です。ここ数年間はスタジオエクササイズを、お勧めすべき中心的なアイテムにするとよいでしょう。スタジオを「武器」にしなければ、成長することは難しいでしょう。これから日本のフィットネス業界には異業種から新しいモデルで複数のプレイヤーが参入してくるはずです。施設数が急激に増え、確実に参加率は上がっていきますが、残念ながらすべての会社が成長できるわけではありません。マネジャーやインストラクター、トレーナーなど実際に最前線で働く人々は恩恵をこうむるでしょうが、経営者はたいへんです。今から戦略的に事業計画を立て、経営していく必要があるでしょう。
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