May-June 2012 ◎ Fitness Business 607大西雅之◆おおにし まさゆき神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒ノアインドアステージ株式会社 代表取締役社長1963年生まれMasayuki Oonishi「利他の心」で行動しよう信 条親会社の工場跡地の有効活用がきっかけで、姫路でテニススクールを開業しました。順調に事業が伸びていましたが、従業員満足度に関しては、決して誇れるものではありませんでした。テニスコーチは自分の好きなようにレッスンを考え、収入が多ければ満足だろうと考えていたので、現場に行かずに支配人に任せきりにしていました。そのため、コーチが何を考えているかまったくわかっておらず、従業員に対しての愛情が不十分でした。それをスタッフは敏感に感じとっていたのだと思います。このことに気づいた私は、まず自分自身を高めようと、あらゆる自己啓発や社外研修を受講しました。そんなとき、同席した九州のある美容院の社長から、「誕生日に全従業員に手紙を書いている」という話を聞き、早速私も始めようとしました。でも何を書いてよいのかすぐにはわかりませんでした。そのとき、従業員のことを何もわかっていない自分に気づいたのです。それからは、意識的にスタッフに話しかけ、またスタッフの話もよく聞くようにしました。すると、スタッフたちも私の話をよく聞いてくれるようになりました。それから従業員の成長を自分の喜びと感じるようになり、人材育成のため、社内外の研修に多大の投資を行うようになったのです。環境整備にも取り組みました。5年ほど前から私と事務局がチームを組んで毎月・全店をチェックしています。細部にわたる項目を全部点数化し、月ごとに一覧表にして公表します。よい店、悪い店がはっきりする分、取り組む店舗のチームワークがよくなりました。例えば、最初は月1回渋々行っていた片づけも、毎日エリアを分担し、習慣化したほうが効率的で効果的だということに気づいたようです。その結果、決められたことを行う習慣がつきました。また、副次的な効果として「新しい取り組みに対しての抵抗感」がなくなりました。さらに、目的達成意欲が高まり、外部営業(チラシ配りやポスティング)にも積極的になったほか、店舗間の情報交換も盛んになり、競争意識が高くなりました。総じて、積極的な店舗ほどお客さまの継続率も高い傾向にあります。今特に力を入れているのは、コミュニケーションをさらに高めることと情報の共有です。前者では、上司と部下のマンツーマンでの面談による評価シートのチェック(月1回以上)、従業員同士によるサンクスカードの交換(月1回集計)、飲みニュケーション(3ヶ月に1回)、ラリーコミュニケーション(スタッフ全員でテニス、3ヶ月に1回)、他校交流試合(年2回以上)などを行っています。また、現場からは、日報、ボイスメールなど、私には毎日100件以上のメールが届き、見るだけでもたいへんですが、スタッフの考えや店舗の動きがよくわかります。情報共有では、すべての情報を公開するようにしました。企業理念、会社の方針、経営数値、営業方針、人事考課など、すべての情報を一冊の経営計画書にまとめ、毎年度年初に発表し、全スタッフに配布しています。また、「ノアイズム」として、お客さま感動、現場主義、チームワーク、利他の心、チャレンジ精神、学ぶ姿勢、360度笑顔などの7項目と、ノアにおける考え方や姿勢を明記し、全スタッフに配布しています。これら、思いやりとオープンな姿勢を継続してきた結果、「働きがいのある会社」ランキング、中小企業の部で第4位を得ることができました。加えて、従業員の離職率も年間7%程度で安定してきました。私の一番好きな言葉である「利他の心」とは、周りの人の支えに感謝し、常に相手のためを想って行動することです。多少こちらに不利なことでも、長い目で見れば必ず自分にとってプラスになるであろうと思います。これからもこの言葉を胸に進んでいきたいと思います。
元のページ
https://fitnessclub.jp/business/e-book/fb60/index.html#7